あらすじ
戦時中に結婚して初めて一緒に住んだ大きな藁屋根の家、そして戦後に疎開先から戻って住み込んだかつての飛行機工場の工員寮を舞台に、大寺さん連作のうちでも若かりし日にあたる三作と、恩師である谷崎精二を囲む文学者の交流と彼らの風貌を髣髴とさせる「竹の会」、アルプス・チロルや英国の小都市を訪れた際の出来事を肩肘張らぬ筆致で描いて印象深い佳品が揃う短篇集。
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Posted by ブクログ
毎日食べても飽きないごはんのような小説。藁屋根の家から見える樹海も、先輩作家から理不尽な仕打ちを受けたことも、異国で食べた味のしないカレーも、同じくらいの「平熱」で覚えていること、語ること。
そこそこ幸せに生きるためのヒントが、そこにはあるような気がする。