【感想・ネタバレ】永田鉄山軍事戦略論集のレビュー

あらすじ

「彼が生きていれば、太平洋戦争は起こらなかった」――近年再評価が進む、帝国陸軍の至宝・永田鉄山(1884-1935)。これまであまり世に出てこなかった永田自身の文書や発言録から、戦間期に残した論考6編を収録。その冷静かつ合理的な分析が訴える、あるべき国家の姿とは? 詳細な解説を加え、昭和の大日本帝国を支えた理論・思想の背骨を明らかにしてゆく。

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Posted by ブクログ

永田が思い描く理想の日本とは、政治的、経済的、軍事的に苛烈な国際競争にさらされながらも自主独立を堅持する国家である。しかし理想を達するためには、来るべき次期世界大戦を勝ち抜かなければならないことが確信されている。彼にとってその勝ち負けが、日本が国際社会において落伍者になるか、先頭集団にキャッチアップし続けるかの分かれ道であった。
次期大戦は第一次大戦以上の総力戦になるという予想から、第一次大戦でドイツが敗北した決定的理由が探られる。それは軍事的なものに限らず、思想的、経済的なものが大勢をしめた。したがって日本での平時戦時を問わない国家総動員体制構築の重要性が語られる。
当時の国際社会を冷静に見渡せば正しい認識なのかもしれない。しかし、このビジョンのイニシアチブを政治家が主導し得ず、ただ軍人が持ち続けたがゆえに、様々な国際的ハードルに対して武力解決の道を重ねてしまう失敗があったのだと思う。

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2017年10月10日

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