あらすじ
母子家庭で育つ中学3年生の麻美は、「一番ボロい」といわれる市営住宅に住んでいる。家はゴミ屋敷。この春から心療内科に通う母は、一日中、なにもしないでただ寝ているだけ。食事は給食が頼りなのに、そんな現状を先生は知りもしない。 夏休みに入って、夜の仲間が、万引き、出会い系とつぎつぎに非行に手を染めていくなか、麻美は同じ住宅に住む同級生がきっかけで、学習支援塾『まなび~』に出会う。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
私の身近にない主人公の暮らしぶりが胸に突き刺ささりました。
その過酷な環境のなかで
15歳の主人公が考え、少しずつ強くなっていく姿がとても印象に残ります。
人に手を差し伸べられるのは、やっぱり人間。
今は誰かの助けをかりてても
いつか誰かを助けられるようになれば良い。
前を向くためのチカラをくれるような物語でした。
Posted by ブクログ
児童文学というカテゴリーだけど、大人にも読んでもらいたい一冊。
世の中、理不尽なことが多いけど
誰かのせいにして不貞腐れてないで
自分のできることからやってみよう!
そんな気持ちにさせられます。
Posted by ブクログ
うん、さわやかな読み終わり。
終始頑固というか素直になれない主人公なんだけど
だから物語がしみてくるのかも。
推進力をもらえるエネルギーのある本。
Posted by ブクログ
子どもの貧困という言葉をニュースで見たことはありましたが、そこには私の想像以上の事があると思います。
フィクションですが、こうして小説で子どもたちの思いを疑似体験する事は、考えるきっかけの一つになりました。
作中にも出てきますが、まだまだ子どもの貧困って理解していない人が多いんだと思います。
私の職場にも、「一日中ご飯を食べない日がある」と言っている子が遊びに来ます。正直、体臭もキツイです。
その子が帰った後に、他の職員に、
「ご飯を食べてないって言ってたけど、貧困家庭なのかな?」と何気なく言ったら、笑いながら、
「貧困?今貧困って言った?wひどくないw?どんだけw」
と冗談のように受け止められてしまって、こういう人がまだまだ多いのかもしれない と思いました……。
なので、小説で現状を広めていくこともとても大事だと、改めて思います。
最初から貧困家庭の子ももちろん辛いでしょうけど、主人公のように最初は普通の家庭だったのに、急に貧困家庭になってしまうとさらに辛いでしょうね…一般的な幸せを知っているだけに…。
こういう子を増やさないためにも、妊娠、出産はもっときちんと考えて欲しい…。
こういう現状も小学校から子どもたちに教えていってほしいな…。
じゃないとこれからもっともっと不幸が世の中に蔓延しそうで。
お金があるから必ず幸せ、ではないけど、幸せになる為の勉強にもお金がいりますから、親になる人たちはもっと考えて欲しい…
って、小説のレビューではなくなってしまいました。
小説は、とても良いです。
ただ、場面の切り替わりの部分が、1、2行ぐらいの空行だけで次のシーンに行くので、最初戸惑いました。
あれ?今まで家にいたのにいきなり外?みたいな。
シーン切り替わりの空行に「1」とか「***」とかサブタイトルとかあったらもっと読みやすかったかなと
でも後半は慣れましたので、気にならない方は全く気にならないと思います。
泣いたかな
泣いたかな。
現実的には身近にはなくて。ふるさと納税とかのプログラムで支援したりはするけど。この作家はSOS
を口に出せない子供達のそばにいたのかな。
主人公のその後を見たくなりました。
Posted by ブクログ
貧困家庭の女の子が、学習支援塾に出会い、希望を見出す。食事っていいなと思えた。
塾の人ができすぎな点、主人公が不思議にまっすぐな点をのぞけば、自分の世界とも地続きなリアルさを感じて共感できました。
Posted by ブクログ
経済的に困窮している家庭がいくつか出てくる。主人公の中学生の麻美の家庭もそんな家庭のひとつ。父と離婚した後、母親が精神的に病んでしまい、部屋が汚くて食べるものも着るものも欠いている。
フィクションだが、経済的にも精神的にも自立できていない家庭の子どもたちの現状がよくわかる。子どもを取り巻く先生や同級生や見ず知らずの大人たちは、貧困家庭に育つ子供たちの背景を理解しないで阻害したり批判的だ。
そんな中でも、無償の愛を注ぐ、学習支援塾のまなびーに出会うことで、麻美は変わっていく。
近年、子ども食堂が話題になっているが、この本を読んでその価値を改めて認識した。
私は大人として、自分の行動を振り返ったが、中学生はどう読み感じるのか、正直分からない。
Posted by ブクログ
貧困家庭で暮らす、グレてはいないが半ば自暴自棄の中学生が、ある事をきっかけに少しだけ立ち直る話。現代日本において、決してフィクションとは言えない内容で、読むのが辛い。政治家にこそ読んでほしい本。それで税金が兵器の購入ではなく、こういった子どもたちを助けるために、使われるような社会になって欲しいが・・・
Posted by ブクログ
初めの方は、読むのが辛いほどだったが、意味のある部分だと思う。
貧困家庭問題は難しいと思うが、少しでも明るい方向に向かっていくには、何ができるのか考えさせられた
Posted by ブクログ
貧困家庭の児童生徒が主人公の小説で、これまでに身近にはいなかった世帯の話題ですが、その置かれている状況の凄まじさに怯まされることが多々ありました。
片親でありながら、親は精神的な問題で働けず、家はゴミ屋敷、食事は学校での給食のみ。支援団体の取り組みは「哀れみで、ほどこそうとしているのでは」とプライドを傷つけられるように感じ、非行少年のグループでの「遊び」には道徳的な抵抗があって心から楽しむことはできず、あまりの生きづらさに、まるで「ぬけがら」のように心を殺して日々を過ごす彼女の姿に、やるせない気持ちを抱きます。
日本の平均的な世帯からは大きく乖離した状況であるが故に、その実態を想像することが難しく、簡単に「貧乏だから」などと心無い言葉を浴びせられることも少なくないのも、読んでいて辛くなります。
一方で、彼女の救いとなったのは、支援施設「まなび〜」での美味しい食事と、彼女の話を正面から受け止めて答えてくれる塾長の存在でした。
教員が生徒の気持ち、感情を全て正確に把握することは困難ですが、きちんと向き合う姿勢を通して、信頼関係を築くことが(理想論ですが)やはり大切だし、意識して行きたいと思います。
Posted by ブクログ
読んだのは去年。いまだに読み終わった瞬間の哀しさと遣る瀬無さを覚えている。つくづく思うのだけれど、これは物語のお話なんかじゃなくて、実在する人間の話だったのだ。きっとたびたび思い返す。わたしには何ができるのかと思いながら。
Posted by ブクログ
今の豊かな時代に、今日明日の食べ物に困っている子供たちがいると思うと、切なくなる。物語の中では、学習支援塾でご飯を出してくれたり、勉強を教えてもらったり、話を聞いてもらったりする場所があったから、少しは救われたと思うけど、ホントに切ない。
Posted by ブクログ
海外の作品はかなり果敢に厳しい問題に挑戦するけど、日本のYAは学校で読まれることを配慮してか、厳しい問題もソフトに描く傾向がある気がしているが(『カーネーション』『小やぎのかんむり』など。岩瀬成子は例外)、これは、日本の貧困家庭をかなりリアルに描いている。(一般向けなら厳しい現実を描いた作品はいくらでもあるが、この本は児童文学、つまり子どもに読まれる前提で書いている。)
主人公は両親が離婚し、母と暮らすが、母の精神状態が悪く、家事も仕事もできない状態。狭い家に男を連れ込むこともある。
貧困とネグレクトが一体化すると、とたんに大人社会の闇が接近する。女子は売春し、男子はチンピラになり、児童は放浪し、万引きする。最近になって「子どもの貧困」なんて言われだしたけど、いつの時代にもこういうことはあった。多分ほかの国でも同じだろう。しかし、貧しい国ならいざしらず、国家としては豊かな日本が、こうした子どもたちの救済に乗り出さないのは異常だ。
この本でも食事を与え、勉強をサポートするのは民間のボランティアだ。こういう善意の人々に頼って良しとするのではなく、きちんと行政がサポートしなくては。
食欲に負けてサポート団体に行き、少し将来に光が差してきた主人公に比べ、18になったため何のサポートも受けられず、売春で身を立てなければならない優香のことを考えると胸が締め付けられる。(たった一人田舎の祖母に引き取られた和馬も、将来グレる予感大。)しかし、これが現実。すべての人が救われるわけではない。
著者は公立中学の教員だったとあるから、きっとこういう現実を目の当たりにしたのだろう。甘くない現実と同時に、夢物語ではない希望も描いた作者に拍手を送りたい。