あらすじ
時間と空間が融合した「時空」とは何か? 個別に分けて考えることができないのはなぜか? 「時空のゆがみ」こそが重力の本質であるとはどういうことか? この宇宙に「絶対的」なものは唯一、光速度だけであり、時間と空間を含むその他すべてのものを「相対化」したアインシュタインの画期的アイデアが時空を生み出した! おどろきとふしぎに満ちた時空の性質を一から解き明かし、相対性理論の「宇宙観」をゼロから理解する。
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Posted by ブクログ
「アインシュタイン方程式を読んだら『宇宙』が見えた(講談社ブルーバックス、深川俊太郎・著)」の数式を追いかけるうち、自分が今なにをしようとしているのかが分からなくなることが度々あったため、補助線として購入。数式から理屈を読み解くのも確かにスリリングで面白いが、「理系の言葉」に不慣れな門外漢にはこのような「タテ書き」の解説本もあったほうが良い。前述の深川本に出てくる計量テンソル、リッチテンソル、クリストッフェル記号などの難解な概念について、それぞれがアインシュタインの重力方程式の中で担う役割を平易な言葉でまとめてくれている。
ビッグバンから38万年後という「一瞬」の後に起こった急速なインフレーションにより、それ以前に発生した光は「宇宙の地平線」の向こう側に閉じ込められてしまい、もはや観測不可能。しかしこのインフレーションを引き起こしたインフラトン場(正体は今なお不明)の量子ゆらぎが、アインシュタイン方程式の「時空」即ち計量テンソルgμνの量子揺らぎを引き起こしたという。これが宇宙にまだ質量がない時代であるにもかかわらず生じたとされる「原始重力波」であり、もしこれをビッグバンの残光である「宇宙背景放射」の中から観測できれば、宇宙の地平線の向こう側、即ちこれまで観測不可能とされたインフレーション時代の宇宙の姿を掴むことができるというわけだ。
やや難しいところもあるが、全般的に平易な書きぶりで読みやすい。「からくり」シリーズは他にも何冊か出ているが、この著者の巧みな伝達の仕方が読者に受けているのだろう。
Posted by ブクログ
時間と空間について、ニュートン的な時空からアインシュタインの時空へと至る過程や、一般相対論が示す時空の姿について解説している。一般向けの本ではあるが、入門書というよりは入門レベルは何となく理解している人に向けた脱入門編のようなところがあり、そういう本が少ない中で、このレベルのものを読みたい人というのも多かったのではないだろうか。ベクトルとかテンソルとか、難しい行列も出てくるが、深入りせずに、これまた何となく分からせてくれる。
Posted by ブクログ
特殊相対論と一般相対論のさらっとした解説本は多いけど,これはかなり踏み込んだ内容で面白かった。
テンソルの概念もざっくり説明して,アインシュタインの重力方程式も,測地線方程式もしっかり出てくるなどなかなか思い切った内容。最後はインフレーションによる原始重力波について,Eモード偏光とBモード偏光の仕組みにも触れつつ紹介していて,雑誌ニュートンくらいの解説では飽き足りない人にちょうどいいレベルなのではないかな。
Posted by ブクログ
山田さんの本は、文系でも結構わかりやすい。
だがそこは流石ブルーバックス。
テンソルとか色んな話が前提無しに出て来たあたりで面倒くさくなってきた。文系向けならもっとわかり易い本がある。
ただ、改めて、アインシュタインは変態だったなってのはよく判った。
Posted by ブクログ
時空というものをキーに宇宙の誕生から現代物理学までを解説した本。山田克哉の本は難しいことを割と平易に書いてあるので、とても読みやすい。ただし本書の中の長屋落語的な掛け合い部分は正直無駄。より面白く分かりやすくするつもりのようだが、難しいことは少し砕けても難しいし、そもそも字数の無駄にしか見えなかった。