あらすじ
永瀬はある朝、同じクラスの生徒、雨宮翼が列車に飛び込む瞬間を目撃してしまう。なぜ死を選ぶのかその理由を考えるが答えは出ない。そんな永瀬は友人の深井からあるカプセルを渡される。それはとても小さなタイムマシンなのだという。半信半疑ながらその日の夜にカプセルを飲んだ永瀬が目覚めると、二週間以上も過去に戻っていた! そして永瀬は、雨宮と雨の屋上で出会うのだが――青春を鮮烈な筆致で描く<大賞>受賞作が登場!
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Posted by ブクログ
1巻完結。
"死ね"、を簡単に吐く人への警告なのか呪詛なのか、あるいは告解なのか。
主人公は自分の吐いた"死ね"で同級生が自殺したことを気に病んで、過去に戻った。てっきり同級生=雨宮翼を救うために奮闘するんだろう、と思ったら自殺の手伝いをするとは驚いた。手伝いをする、といったが正確には雨宮にさせられる訳で、この雨宮翼という少女かなり怖い。船乗りを死へ誘うセイレーン、といったところか。もう一人、屋上仲間の深井はメフィストフェレス。主人公の弱みに忍び寄り、より深い罪に誘う果実=タイムリープする薬を与えるのだ。
この作品自体にも死神が潜んでいる。文章の端々に"希
死"、いや"否生"がある。なんとなく思っていることがリアルな文字で突きつけられる。あぶないあぶない…
この作品を新人賞大賞に選んだ講談社の選考者、冒険者だね。
ラストシーンは罪深い。もしかして雨宮翼、割りとイイ女?