あらすじ
「本当は恐ろしいグリム童話」などで著名な作家・桐生操が、ヨーロッパや宝塚歌劇団などで人気のある「エリザベート」(19世紀、16歳でオーストリア皇后になり、旅のはてに暗殺された皇妃)を、新解釈し書き下ろした野心作。その数奇な運命と、オーストリア皇帝・フランツ・ヨーゼフと、ルートウイヒ2世というふたりの男たちとの葛藤、息子ルドルフの自殺、暗殺までを、「生身の女」として小説に書き下ろす。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
二人の男というと、夫の皇帝フランツ・ヨーゼフ二世と息子ルドルフ?と想いきや、従弟でエリザベートに気があったと言われるバイエルン王ルートヴィヒ2世だった。しかし後者は後世に知られている通り同性愛者であり、エリザベートには憧憬こそあれ愛情を抱いていたわけではない。ワーグナーに入れあげるも決別し、経済状態を無視して打ち込み、国民からは総スカンを食らった城が、未来において、世界各国で作られるディズニーランドの城のモデルとなって広く知られるとは、造った本人も想像していなかったに違いない。ルートヴィヒも散々映画になったが、若い頃は美貌で知られていたのに、死ぬ直前は顔面からして肥満しており、見る影もない。
宝塚歌劇にもなったので、そもそも嫁候補ではなかったこと、皇太后との確執、エリザベートの旅行好き、美容好き、最初の娘を旅行先に伴ったために病死させてしまったこと、マイヤーリンクでの息子の心中、自身の暗殺など既知の情報として知られている内容も多く含まれている。自由奔放さを気に入って結婚したのに、皇帝が与えた環境は、彼女の良さを消しにかかるものだった。どこかの誰かみたいに全力でお守りすればよかったのに。
事実かどうかは定かではないが、エリザベートが夫の愛情に応えられないために、別の女性を用意していた点、マイヤーリンクの心中を隠すために、相手のマリー・ヴェッツェラが、いたく人間の尊厳を踏みにじられた状態で埋葬された点が目新しい情報だった。そんなに皇太子は偉いのか。