【感想・ネタバレ】十二世紀ルネサンスのレビュー

あらすじ

中世の真っ只中、閉ざされた一文化圏であったヨーロッパが、突如として「離陸」を開始する12世紀。東方からシチリアへ、イベリア半島へ、ギリシア・アラビアの学術がもたらされる。ユークリッド、プトレマイオス、アル=フワーリズミーなどが次々とラテン訳され、飛躍的に充実する西欧の知的基盤。先進的アラビアとの遭遇が生んだ一大転換期を読む。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ルネサンスと言えばイタリア!14世紀のフィレンチェ!
こんな常識は歴史を無批判に解釈しすぎて、なんなら間違ってますよ!
ルネサンスはイスラムとアラブ社会を経由して12世紀に達成されたんですよ!
という講演録を活字にした本です。
1984年の講演だそうですが、何故こんなに大事な内容が中学高校の教育内容に反映されないのか謎です。なんなら未だに十字軍がきっかけとか書かれてるらしいですからね・・教科書とかには。
<もう少し具体的に>
一度消えてしまったギリシア・ローマ文化を継承していたのはビザンツ帝国を追い出された異端のキリスト教徒。彼らがシリア、アラブでキリスト教を広めることで、その教義の元に流れるギリシア文化を伝播し、ヘレニズム文化をすでに継承していたイスラム社会との融合が起こり、新しい文化に発展させることができた。
この新しい文化を受け取る許容(教養とするべきかも)があったのは、すでにイスラム教徒になじみのあったシチリアやスペインであった(フリードリヒ二世とかを思い出しちゃいますよね)という循環が12世紀に起こったルネサンスである、という内容です。
「巨人の肩に乗る」の本家がでてきたくだりは感激でした。
<教訓>
新しい文化を継承できる人たちはえてして移民であるというのは、なんだか現代の問題のようにも感じられました。特に問題がなければ何も変える必要ないですからね。ということで過去を知って今に活かす、という大変興味深い内容でした。
<レベル>
市民むけの講演ということで分かりやすいですけど、初級者向けとは言いがたい。。あれですね受験とかの感覚でいうと、基本は学んだけどイマイチ意味が分からなかったというような人が読むと楽しめるんじゃないかしら。そして、意味がわからないのは合理的な説明になってないから、ということも同時に感じ取れるんじゃないかしら。大学の授業らしくて大変面白かったです。まだ疑問点は残ってますけど、その辺はまた別の本で勉強していきます。

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2021年11月07日

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