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一巻は宇宙兄弟のような試験の内容が主体だが、火星で起きている謎の事態が強力な牽引力になっている。先が読みたい。
後に「へうげもの」で有名になった山田芳裕の作品。
時系列的には「デカスロン」の次回作にあたり、本作の後舞台をモーニングに移して2作描いた後、「へうげもの」が同誌でスタートすることになる。
個性的なキャラ絵が特徴の作者だが、「デカスロン」と比べればかなり現実的になっており、むしろ「へうげもの」...続きを読むよりも常識的。
寡黙で正直な主人公のキャラも含め、読みやすいと思う。
その内容だが、「宇宙兄弟+SF要素」と言った感じ。
宇宙飛行士になる為の選抜試験の過程なども描かれており、またNASAがダメでもロシアから…という展開も含め、宇宙兄弟とかなり似ている。
これを、宇宙兄弟の連載がスタートする2007年末よりも8年も前、2000年冒頭から描いていたのは凄い。
劇中でもそうだが、まだJAXAが成立するよりも前、前身のNASDA時代の物語。
当時まだ日本人宇宙飛行士が5人しかおらず、日本初の宇宙飛行士であり、かつ民間(TBS所属)からの宇宙飛行士でもあった秋山さん以外、全てがNASAのスペースシャトルでの宇宙飛行だったことを思えば、ロシアを使うという発想も慧眼と言えるだろう。
ただ、単なる宇宙飛行士では話が成り立ちにくいと考えたのか、本作ではSF要素がかなり大きくなっている。
これは当時を考えると仕方のないことだし、マンガという媒体で言うならこの方がむしろ盛り上がるのも事実。
(逆に言えば、それなしで成立させている宇宙兄弟もすごいという事だが)
編集部とのゴタゴタで僅か4巻で打ち切りとなり、物語としては未完と言わざるを得ない状況で終わってしまったのが非常に惜しい作品。
続けていれば、「へうげもの」以前に賞を取るような大作となっていた可能性もあるだろう。
もっともその場合、「へうげもの」が世に出なかった可能性も高く、そう考えると微妙なところではあるが。