【感想・ネタバレ】苦心の学友 少年倶楽部名作選のレビュー

あらすじ

読書青年が熱狂し、数十万部を発行した雑誌『少年倶楽部』に昭和二年から連載され、絶大な人気を博した長篇小説。伯爵家の三男の学友に選ばれた普通の家の少年が、上流家庭の生活に面くらい、とまどい、苦労を重ねる日々をユーモラスに描く。当時の世相を自然主義やプロレタリア文学とは一線を画した視点から鮮やかに描いた「社会小説」の傑作であり、ユーモア文学の最高峰。

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Posted by ブクログ

佐々木邦が昭和2年から2年間『少年倶楽部』に連載したユーモア小説かつ名著である。
地方に住む旧藩士の息子(中学生)が学業優秀であるとして、維新後東京に住んで伯爵となった藩主のぼんくら子息の同級生兼家庭教師として東京に呼び寄せられ、一緒に生活する物語である。
伯爵の屋敷は広大で、例えて言えば国立競技場より広そうだ。鬱蒼と木が茂っているところもあれば、見事な回遊式庭園もある。家来とも言える使用人も100人近くいそうな生活をしているが、旧幕・新政府の高官の屋敷と生活は震災前だったらさもありなんと思わせる設定である。
学友扱いの同級生とは言いながら、世が世なら主人公の父の位では藩主にお目通りも簡単ではない下級武士である。当時の伯爵の権勢は今の政治家や大金持ちも及ばない。
このような中、上品なユーモアをふんだんに展開させた著者は、その後に続くユーモア作家、例えば筒井康隆や星新一などを遥かに凌駕する。三浦朱門が絶賛する所以である。
今は無料で青空文庫でも読むことができるので、再評価を期待したい。

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2022年08月08日

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