あらすじ
戦争は本当に日本社会を公平化したのか? 昇進につきまとう学歴という壁。食糧をめぐる将校と兵の違い。兵士への応召手当をめぐる格差――。戦時下、不公平を強いられた「皇軍」兵士と家族の群像を描く。 第1章 「皇軍」兵士はこうして作られる / 第2章 軍隊での生き方 / 第3章 兵士と家族――戦争の「不公平」 / 第4章 「戦死の伝えられ方」をめぐって
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Posted by ブクログ
特定の思想の人々に美化されがちな「皇軍」の実態はどうだったのか、資料を元に検証したもの。現実は学歴差別もあるし、位が低いとメシも食えないし、教育と称してぶん殴られるし、戦地へ行けば偉いやつだけいいもの食って、死んだって遺骨もまともに扱ってもらえないのである。
Posted by ブクログ
戦前、まだ階級差の有る時代に、当時の人には軍に入れば平等に扱ってくれるという感覚が有った。そんな旧日本軍の中の平等と不平等を一つのテーマとして資料を元に組織の中での扱われ方を紹介している。
Posted by ブクログ
淡々と積み上げられたデータを使って皇軍兵士の日常を提示して、戦争で徴兵制度により社会がリセットされるこう思考(あるいは嗜好)を丁寧にひっくり返してくれる。社会の構造って戦前から変わってないorz
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
軍隊という格差社会をどう生きたのか?
徴兵・手当・食事から死亡通知まで。
[ 目次 ]
第1章 「皇軍」兵士はこうして作られる(皇軍兵士となるまで 兵士が入隊するとき)
第2章 軍隊での生き方(平時の軍隊生活 戦時下の兵士 少年兵たちの軍隊)
第3章 兵士と家族―戦争の「不公平」(「手当」をめぐる不公平 軍事郵便をめぐる不公平 戦死者墓石・戒名の不公平 「食」をめぐる不公平)
第4章 「戦死の伝えられ方」をめぐって(戦死の真相を探る 引揚援護庁『死亡認定の参考』をめぐって)
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
筆者はまだ若いのによく日本軍につき調べ、まとめた。
筆者のまとめによれば、日本軍はメチャクチャで、特に「メシ」が酷い。
将校と兵は「メシ」の量、質が違ったという。
将校は「指揮する」から「違って」当然といったそうだが、
もし、そうなら、兵の士気に当然影響する。
「メレヨン島」で「某中尉は羊羹200個盗食した」というが、
それが、事実(当然事実だろう)なら、銃殺だっ。
それやこれやで、相当に面白い。
Posted by ブクログ
兵隊さんはどんな事を思いながら日々を送ってたんだべ?と言うのは確かに興味がある。本著は上手い所に焦点を当てていると思う。
ただ出てくる例がチョット極端で、沖縄や、ガタルカナル、ベリリュー等超激戦区ばかりで「そらあそこに送られたら死ぬなよな」といった感じな戦場が多く、台湾や、ラバウル、内地などあんまり戦闘がない地域をヒューチャーした方が本著のタイトルに沿ってる気はする。
ただ、作者良く調べ、内容は相当充実しており、読み応えはある。特に最終章の戦死告知を扱ったパートは作者が相当気合を入れて想像力の翼を逞しく羽ばたかせた上で良く調査しているので非常に面白いのでそこだけでも読む価値はある。オススメですよ。
Posted by ブクログ
徴兵制が話題となる昨今。嘗ての日本帝国軍隊の兵士がどういう扱いを受けていたか、どういう資質の兵士だったか。そして、彼らは時代によってどう変わっていたのか。
Posted by ブクログ
本書は入営から戦死まで軍隊という社会がどのようなものであったのかが書かれている。著者は軍隊は平等社会ではなく、学歴(学力)、貧富の差、階級の差などによる不公平があったという。
本書を読んで初めて知った事がある。著者は不公平の一つに挙げているが大企業では応召者に対し、手当を出して月給を保証していたそうである。(対して中小企業や自営業、農業者には保証が無かった)
本書では、これも含めいくつかの点について「不公平」という言葉を使っている。私は全てを不公平だとは思わないが是正すべき格差ではあると思う。
大企業の手当の件については、長引く戦争に伴う負担増に喘ぐ経営者側が、社会的公正の名の元に低い方へ合わせコストカットを図ろうとしている。社会の底上げを図らない点は、現代社会に通じる問題であると思う。
本書では、軍隊内での私的制裁にも触れているが、果たして日本軍だけの問題だったのか?他国ではどうだったのか気になるところである。
Posted by ブクログ
「日常生活」とタイトルから、もっと、兵士自身の24時間の話かと思ってた。応召手当てとか死亡通知とか留守宅の話しの部分が多くて、そういう意味じゃタイトルから想像するものと内容が違ったな、と。不公平という観点で面白くはあったけど。
Posted by ブクログ
私はもちろん 親も祖父も 戦争にはいってないのでなんですが軍隊は平等でよかった という人がいるという事実があるのだとしたらそれはすごい飢え死にする兵士たち?とか 内務官僚のその後? とか蟻の兵隊とか そっちを先に読んじゃっているから軍隊っていうのはえらい人が死なないで下っ端が死んでいくモノなんだと思っていたので
Posted by ブクログ
一ノ瀬さんの本は『戦場に舞ったビラ』のように、モノに語らせるという特徴がある。
そのためのエネルギーとお金はばかにならないのだが、よく集めている。この本でも、赤紙をはじめ、兵士にかかわる文書をこつこつ集め、一人の人間がどうやって兵士になり、戦い、そして最後には戦死記録としてもどってくるかをモノをからませ書いている。本書では、これまで兵士となれば、それまでどんな身分であっても平準化されるという通説に疑問を呈し、そうでなかった事例を具体的にあげる。戦死者に対する墓にしても、貧しいのにもかかわらずその大きさにこだわった遺族の気持ちが痛々しい。