あらすじ
「われわれは、どんな過去にさかのぼっても音楽に出会う」。ビッグバンから始まった「宇宙の音楽」の歴史では、ベートーヴェンもビートルズもちっぽけな砂の一粒に過ぎない。鳥や鯨の「作曲術」から人体という楽器が奏でる音楽まで。ピタゴラスの天球の音楽からアボリジニのソングラインまで。「音」と「調和(ハーモニー)」をキイワードに壮大なスケールで描く、これまでにないユニークな書。
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水は答えを知っているという話が出たときはえ?と思ったけど、圧倒的な知識を背景に音楽とは何なのかということを書いていて大変勉強になった。宇宙、神、政治、権力、感情、理性、芸術、大衆、自然、人間のそれぞれという音楽。
自分にとって当たり前になっているCDなどのメディアを通じて音楽を聴くことが最近になってのことであって、歴史の中ではほんの少しの期間でしかないこと。
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【宇宙という音楽】
原始大気の振動=音楽
→宇宙の誕生を探る手がかり
宇宙マイクロ波背景放射
ゆらぎ を捉えることができる
ヒッグス素粒子 神の素粒子
観測データが音符に変換 ヒッグ粒子ミュージック
古代インドのナーダ・ブラフマー
「世界は音である」
老子 人籟・地籟・天籟らい
荘子 「詩は人の心を語るもの、書は昔の事蹟を語るもの、礼は人の実践を語るもの、楽は世界の調和を語るもの」
琉球の三線 天・地・人
インド ラーガ
古代ギリシア ハルモニア
音楽療法士ピュタゴラス
音楽学者ケプラー 『宇宙の調和』
【神という音楽】
グレゴリオ聖歌
【政治という音楽】
礼記 「声音の道、政と通ず」
古代エジプトの壁画
音楽によって労働させ政治課題を
【権力という音楽】
【感情という音楽】
歌舞伎 傾くかぶく
デカルト処女論文「ムジカ・コンペンディウム音楽大要」
→「情念論」
【理性という音楽】
マックス・ウェーバー遺稿「音楽の合理的社会学的基礎」
【芸術という音楽】
【大衆という音楽】
【自然という音楽】
ドイツ詩人アイヒェンドルフ
「すべてのなかにひとつの歌が眠っていて
すべてのものは夢をみつづける
おまえが呪文を唱えることさえできれば
世界は歌を歌い出す」
【人間という音楽】
細胞
水
血液
音楽療法
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とにかくスケールの大きい音楽史の本が新書にまとまっています。帯にも書いてあるとおり「圧倒的教養」という言葉がふさわしいと思えてしまうほど。なぜなら、人類の音楽史の本ではなく、この宇宙が誕生したときからの音楽史を語るものであるから。ビッグバンによりこの宇宙が誕生したときにも音があったという驚きから始まり、神の音楽から世俗的な政治や権力の音楽、さらには芸術としての音楽の解説、人間の細部における音楽の可能性まで、とにかく音楽が語りつくされています。すごく楽しく読めました。音楽がもっと好きになりそうです。
Posted by ブクログ
タイトルに「音楽史」とあるが、その前に「138億年」とある通り、宇宙規模の音楽史という、愉快な発想だ。
138億年前とは、ビッグバンが起こり、宇宙が誕生した時だ。
そこに音楽があった?
それは「宇宙背景放射」という魅力的な名前で呼ばれている「音楽」だ。
宇宙は、その誕生から「音楽」を響かせているのだ。
しかし、この理解は、本書が初めてではない。
1200年前、平安時代に、この理解を示していた日本人がいる。
それは空海だ。彼はそれを宇宙に響く声(言葉)と捉えた。
空海の到達した境地に、現代科学はようやく追いついたと言えるかもしれない。
音楽に関する「教養」の連打が楽しい。
例えば、
細胞が奏でる音楽がモーツァルトのセレナーデ、ベートーベンのメロディに似ている。
つまり、音楽は遺伝情報として人間の身体に埋め込まれているのだ。
また、
生命の秘密は水にある。
音楽の振動で、水の結晶が変化するように、水には記憶が刻み込まれる。
また、
物体は粒子で且つ波動、全ては固有の周波数を持つ。人体は音を発する楽器と呼べる。
また、
生きていることは、振動していることだ。
調和のある音楽が心地良いのは、調和のシステムが体内に備わっているからだ。
また、
日本の伝統音楽は、西洋の近代音楽に比べて、遥かに高い周波数領域を含む。
豊かな自然音に対して、CDの周波数は極端に狭い。
また、
人は音を耳だけでなく、肌で感じ、脳でも感じている。
音楽が学問であったリベラルアーツ時代の復権を目指す「教養」連打の新書。