あらすじ
日々の暮らしの中で「生」の現実とのかかわりを通じて、人間存在の内奥を探り、ただ純粋に考えてきた言葉で綴られた、ライフワーク長編エッセイ。本書のタイトルにある『「生」の日ばかり』とは、「生」の器を傾けて、日に一滴、二滴の、生の雫を汲むことからつけたもの。日々の探求を綴ったノートのタイトルでもある。2010年10月31日から2013年2月15日の絶筆までを収録。巻末に富岡幸一郎氏による解説を付す。
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Posted by ブクログ
秋山駿さんの遺作。2011〜2013年の群像での連載がまとめられている。
最晩年のエッセイだ。
人生で膨大な本を読んできた秋山さんの心に残った一握の思い出が語られている。
中原中也、ポール・ヴァレリー、ドストエフスキー、風土記、英雄列伝・・・
きっと私も死ぬ前にこんな風に生きるんだろう、といち早く体験させてもらった感じがする。
2011年といえば東日本大震災があった年だが、崩れた本棚を見て「お前の仕事の仕方は間違っているのではないか」という天の声を聞く気がしたというのは痛々しかった。最晩年でもそんな風に思ったりするのかと。
この本の最後には富岡幸一郎氏の解説があるが、秋山駿さんの言葉を紹介している。
「誰も読んでくれない言葉を書くのは何かということなんだ。それが日本には欠けている。言葉は社会性だけではない。自問自答の、自分1人だけの言葉があるんだ・・」
誰も読んでないと思っても私にはしっかり届いた。私が死ぬまで、彼の精神は私の中に残っていく。