あらすじ
16歳のランチ、28歳のプロポーズ前夜、34歳の結婚記念日、47歳のクリスマス、3歳のお昼寝タイム、63歳の何もない一日。リンデは「お互い心から一緒にいたいと思える相手」を求め続ける。密やかな孤独と後悔、それでも残るほのかな期待を丁寧に描いて、女性たちの圧倒的な共感を呼んだ第27回三島由紀夫賞受賞作。『異類婚姻譚』で2016年度芥川賞を受賞した人気作家による長編。
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Posted by ブクログ
自己啓発風タイトルの小説。
怖い。
孤独というか、運命の人を諦められない人を間近で見ている気分。滑稽だが、私にも確実に同じ面がある。たまからより怖く感じる。
歳を重ねて、経験を重ねたから何でもハッピーエンドにはならないのかなと最近思う。
しかし、この小説が、あくまで滑稽で怖い瞬間を切り取って見せているからそう思うのであって、私たちも楽しい日と苦しい日を交互交互に過ごしている。
Posted by ブクログ
自分を好きになる…ということは、少なくとも現時点では自分のことを好きではないということだろう。僕は自分が嫌いだし、他の誰かのことだって、手放しで好きだと宣言できるほど好きな人なんて…いない、いなかったと言い切ってしまうのは正確ではないし、何よりそんなことを口にしてしまったら、きっと悲しくなってしまう。好きな人は、いたこともあったけれど、たいていの場合刹那的なもので、うやむやになってしまうか、こっぴどい幕切れとか、後々思い出したりして、良かったな、なんて思い出など数えるほどもない。そもそも思い出になってしまった時点で、僕には芳しくない結果だったと証明しているようなものだ。僕にとって望ましい結末というか、そもそも結末などは必要なくて、つまり現在進行形で好きな人がそこにいてくれたら、と願うばかりなのである。僕は、ややもすると自己嫌悪に終始してしまう。なにより自信がない。自分がいちばん信じられない。
“自分を好きになる方法”というのは、自分の期待を裏切ることなく、自信を持つということだろう。僕は、いま、ようやくそんなことを思い始めている。
『自分を好きになる方法』
本谷有希子さんの本としては、正直で優しさに満ちた物語だった。リンデは63歳にして、ようやく“自分を好きになる方法”に気づき始めている。自分のことだからこそ、ままならないことってたくさんあるし、それを実感しない日などないし。リンデの生きづらさ、ままならなさ、もどかしさ、すべて僕自身にも心当たりがある。僕だって、それなりの年齢になるなどすれば、何かしら手がかりを得ることができるのかな、なんて考えた。
本谷さんの文章で僕が好きなのは、彼女の比喩表現です。それが、いちばんの本谷さんらしさと思うのです。この物語でも、存分に。
Posted by ブクログ
リンデという女性の、16歳、28歳、34歳、47歳、3歳、63歳。それぞれのたった1日を切り取っただけで、リンデがどのような思考の持ち主か、どうやって生きてきた(いく)のかが浮かび上がってくる。
クラスでお弁当を食べるグループを天秤にかける。海外旅行先で渡すチップごときに、うだうだ言う。第三者の目からみて絶対に合わない相手と結婚する。クリスマスパーティのために買った15mの電飾ごときでその場の空気を悪くする。宅急便の配達員にくだらない見栄を張る。ほんとにしょーーーーもないことばっかりなんやけど、このリンデにイライラしてしまうのは自分にも似た部分があるからなのかもしれない。
「自分を好きになる方法」というタイトルに勝手に期待して、勝手に期待外れだと言う人は多そう。自分を好きになるどころか、自分の器の小ささを思い知ることになると思う。
Posted by ブクログ
16歳のリンデとスコアボード
◇ランチ。ボーリング。遠慮し合う友達。
28歳のリンデとワンピース
◇結婚前夜の旅行での諍い。試し合い。
34歳のリンデと結婚記念日
◇旅行を思い出す記念日。後悔。
47歳のリンデと百年の感覚
◇クリスマスパーティー。新しい男。配達人。
3歳のリンデとシューベルト
◇お昼寝の時間。先生とのやりとり。
63歳のリンデとドレッシング
◇一日のうちにやること。配達人。
非エキセントリックなもっちんは、どこか物足りない。
しかしこの作品では、物足りなさが含蓄となっている。
特に「47歳の」における、諦念。
後追いになるが、もっちんの新境地だと静かに興奮した。
Posted by ブクログ
リンデという女性の16歳、28歳、34歳、47歳、3歳、63歳の日常の一場面を切り取ったような短編集。生きるのが不器用そうなリンデ。いつ「お互い心から一緒にいたいと思える相手」に出会えるのかと思い、どんどん読んだが、どの年齢のリンデもあまり幸せそうではなくてモヤモヤした。そもそも心から一緒にいたい相手と暮らしている人はそういないのではないだろうか。それを求め続けるリンデの純粋さに感心し、愛しさも感じたけれど…。めんどくさいなと思いながらも友達になれそう。
リンデに、淡々と自分のペースでそれなりに満足して生きていくたくましさがありそうで良かった。
は?
表紙の美しさにひかれて読んでみましたが、リンデがあまりに自己中心的で、イライラしました。
作者が表現したいものは何なのでしょうね。
無責任に野良猫にエサを与えるようなオバサンなんて、所詮こんな風に生きてきたのだ。ってことが言いたかったのでしょうか。
後味の悪い本でした。
おすすめできません。