あらすじ
40歳を目前にして、人生のイベントベストテンを自虐的に並べてみれば、我が身には25年間、なにも起きてはいないのだ。年相応の達成感も充実感もない日々に愕然としながら、私は岸田有作に会いに行く。13歳の夏に恋をした相手に――どこにでもある出会いが生み出す、おかしくいとしいドラマ、全6篇。
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Posted by ブクログ
短編集。人生ベストテンが圧倒的にアラフォー喪女に突き刺さる。グサグサと。
13歳の夏に数週間だけ付き合った男に会いにいった同窓会で元カレ(だと思っていたが実は偽物)にまんまと騙されホテルに行き、自分は恋もたくさんしたし今は結婚の予定もあるという嘘八百をべらべらと気持ちよく喋り、挙げ句の果てにはその男に高額な鍋を買わされてしまう。
そこまでならああああ痛い経験だ痛すぎるで終わるのだが、そこまで騙されて彼女は「あの男は13歳のあの夏からわたしに会いにきた彼なんだ」というこれまた都合のいい妄想に浸って幕を閉じる。
上手いなあ。
自分もアラフォーの冴えないおばさんで同窓会なんて行ったこともないがやはり行くもんじゃねえなと胸に刻んでおくことにするよ。
Posted by ブクログ
凄い勘違いをしておりました。この小説、てっきり、長編だと思っていたんです。「人生ベストテン」という名の、長編小説だと。一章ずつ、人生で起こった出来事ベスト10を一つずつあげていっている形式なんだろうなあ、という、
「第一章 人生ベストテン第十位 ほにゃらら」
「第二章 人生ベストテン第九位 ほにゃらら」
で、最終章が、ベストテン第一位で終わる、という、そんな形式の長編なんだとばっかり思っていたら、読み始めて、あれ?なんだか違うぞ?と。いきなり、全然関係ない話っぽいぞ?と。
なんと、ふつうの短編集でした。で、その短編の、一応は一番のメインが?タイトルにもなっている、「人生ベストテン」だぞ。という。そーゆーことか!という感じでして、ゴメン、勘違いして、ってな感じでして、ゴメンナサイ。
床下の日常
最初読んでいる時は、まだ「人生ベストテン」という長編だと思っているのでね、「ああ、この話が序章で、次の章から、407号室のこの、幸薄そうな女性が、訥々と自分の、人生ベストテンを思い返すのかなあ?とか思って読んでおりましたが、全然違いましたね。これはこれで、一つの完結した、短編の物語でしたね。
まあ、一言でいっちゃうと、すげえありふれた、集合住宅のトラブル。上の階から水が漏れてきた!という、当事者にとってはとてつもない迷惑なんだけど、地球上でみたら、おそらく必ず、日々どこかで発生しているトラブルを題材にした、なんだかしみじみくる話、とでもいいましょうか。自分も普通に集合住宅に賃貸で済んでいるんですけど、水漏れトラブルの経験、あります。チャチな作業をする業者って、ホンマにいるんでしょうし、この今自分が生活している生活場所の床下一枚はいだら、こんな剝き出しのなんらかの現実、あるんだろうね、って思うと、感慨深い。
それにしても主人公のヨッシーのキャラクター、凄く好き。初めて会った女の人を「やれる部類か?やれない部類か?」って考えちゃうところとか、すげえ好き。ちょっと優しいけど実際冷たいんだろうな、でもコイツやっぱいいヤツだな、みたいなところとか。いいキャラクターだよなあ。
(たとえばななちゃんちならななちゃんち)は、名文だと思います。句読点をいれずに全部続けたところがホンマに好き。
観光旅行
ずっと同棲してる男と別れようか、どないしようか、、、と決断とするには、エイヤッとイタリアまで旅行せねばならんのかい?という、なんだか人間って大変ねえ~、って思わせる作品でした。でも、わかるよ。わかるよ主人公のあんたの気持ち、って思わせちゃうところが、角田光代お見事ですね、って感じでしょうか。あの親子は、いったい何だったんだろうか?楽しみに行くためにするのだけが旅行じゃねえんだぜ、って感じでしょうか。
飛行機と水族館
主人公の森本は、なんで、山下深雪みたいな、全然魅力的に思われない女に、半分ストーカーまがいな行動にでたのだろうか?わからん。わからんよ。個人的には、全然意味わからん話でした。でもなんか好き。という謎な印象ですね。いやあでも、なんだか、角田光代っぽいなあ!という気がしないでもない、そんな短編でしたが、面白いか?というと、すみません、、、今の自分には、あんまりピンときませんでした、、、という悲しさよ。ゴメン。
テラスでお茶を
この題名は、レッド・ツェッペリンの曲「一人でお茶を(Tea for one)」を、意識したのだろうか?でも、ツェッペリンのあの曲も、あんまりちゃんと聴いたことがないのです。すまん。とか思いつつ、うむ。なんだかこう、ガッツーンとくるか?といわれましたならば。あんまガツーンと来ませんでした、という感じで、すまぬ。そんな感じでした。すまぬ。で、主人公は結局、あのウン千万単位の買い物であるであろうマンション購入契約、したのか?あんなにアッサリと、なんというか、ウン千万単位の買い物、するのかなあ?するのかもしれねえなあ。人間って不思議な生き物だよなあ。そんな事を思いましたね。
人生ベストテン
これはやっぱ、この短編集の中では、白眉だと思います。40歳になってからの中学校の同窓会。現在未婚。そして初恋の人と再会する。うーむ。設定は完璧やんか。そっから、どんな物語を生み出すのか角田光代!と意気込みながら読んだら、おおう。そう来ますか、、、というなんとも不思議な味わい。すげえ不思議にハッピー?な感じ。うーむ。なんだか、こう、凄い。それにしても、40歳になって、人生ベストテンの出来事が、10代以前にしかない、という描写。圧倒的にリアルだな。「身につまされる」という感じを、ヒシヒシと感じる。そもそも、「寝る前に人生ベストテンを思い返してから眠りにつく(あるいは強烈に眠れなくなる)人生」って、すげえ辛いやんか。でもそれは、真にリアリティーのある感じだ。さすがだ角田さん。お見事です。
貸し出しデート
これまたかなりおもろい。うむ、お見事です。離婚間近の平凡中の平凡を絵にかいたような主婦が、デートしてくれる若い男を金で買う。うむ。で、その男の、ちょっと小太り勘違い具合が、見事に素晴らしい。で、名前は、「翔」ときたもんだ。パーペキすぎる。この男。でも、どうにもこう、憎めない話。なんだか、こう、あくまでも、明るい感じがあるのが、どうした角田さん?案外これ、いい話やぞ?とか思えてしまうマジック。うん。好きです。
めちゃんこ面白かった!とは言う事はできないのですが、やっぱこう、グッとくる角田さん節は、ありました。この人の書く言葉は、ホンマにこう、「他人事ではない」感じがヒシヒシなのです。もう、好きとしか、言いようがない。そんな素敵な作家さんなのですよね。
Posted by ブクログ
読んだのは2回目だけど、レビューを書いてなかった。
短編小説集で、たくさんのストーリーが書いてある本。
内容も知っているので、すぐに読んでしまった。
私は読んだことのある本を何度も読んでしまう癖がある。
小説も、漫画も。。。
この本の中でどの話にも共通しているのが、
「未来は分からないけどどうにかなるさ」みたいな要素が話の中に入っているということ。
先が見えない状況に対して、誰しも不安を覚えたことはあるのではないだろうか。
でも、この本を読むと、なんとなく「先が見えなくても不安に思うことはないんだな」
なんて思えてくる。
それが良いことなのか悪いことなのか自分には分からないけれど。
とりあえずこの本は、今の私にはぴったりかもしれない。笑
起こりそうのない設定ばかりの話だけれど、
現実的ではない話だからこそ面白く感じるのかしら???