【感想・ネタバレ】小説 金融庁のレビュー

あらすじ

「銀行が嫌いだから、金融庁に入った」。まじめで、公正。最も信頼される金融庁検査官、松嶋哲夫。ある日、大合併による綻びが噂される大東五輪銀行の怪文書が届く。哲夫に下った、そのメガバンクへの査察命令。しかもそこは弟が勤める銀行で――。巨大化した組織の闇。金融庁vs.銀行。企業統治(コーポレートガバナンス)の心はどちらに。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

【小説 金融庁】 江上剛さん

金融庁の辣腕検査官・松嶋哲夫。
彼が金融庁へ入ったのは銀行が嫌いだからだ。

哲夫の弟・直哉は兄の気持ちを知りつつも
五輪銀行への就職を決めた。

バブルがはじけ、不良債権問題が銀行を直撃した。
不良債権に押しつぶされそうになった銀行は巨大化
することで生き残りをはかった。

異なった風土の銀行同士が合併するのだ、権力争いは
ガバナンスを無視して激化し内部に様々な軋轢を生んだ。

直哉の務める銀行はその巨大化に乗り遅れ、望んでいた
銀行との合併はかなわず、大東銀行と合併することになり
大東五輪銀行と名前を変えた。

大東五輪銀行の中では五輪銀行の行員が幅を利かせ
大東銀行の行員は形見の狭い思いをしていた。

そして、大東銀行の得意先であった企業への
「貸し渋り」や「貸しはがし」なども行われつつあった。


その大東五輪銀行へ金融庁から哲夫が統括検査官として
査察を行うことになった。


大東五輪銀行の専務・倉敷は支店勤務だった直哉を本部へ
呼び戻し金融庁の検査対策を練る。


融資先の格付けが下がれば銀行の引当金が増す。
引当金が増せば、決算で赤字になり、役員は責任を
取らなくてはならなくなる。

融資先の格付けが下がらないようにするには、資料を
改ざんをし金融庁の目をごまかさなければならない。

銀行を守るために手段を選ばない倉敷。
しかし、倉敷のやり方は問題を先送りする過去の検査回避
の常套手段で、そのために現在の不良債権問題に苦しめら
れているのだ。倉敷のやり方に疑問をいだく直哉。

そして私憤を入れずルールに則り原則に検査を遂行する
哲夫。

哲夫は銀行の膿を出し切ることで、銀行に立ち直ってもらい
本来あるべき姿に戻ってほしいと願っていた。



「かばん屋の相続」につづく金融小説2冊目。

原理原則にのっとり、一切の妥協を許さない哲夫
上司の倉敷と哲夫の間で苦しむ直哉

銀行と検察官の駆け引きや、内部告発など
長編ですが、おもしろくて一気に読み切りでした。

 

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2012年09月19日

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