あらすじ
売上高27兆円超。営業利益3兆円弱。いずれも圧倒的に日本一。ではトヨタはなぜ強いのか?答えはじつにシンプル。「世界の人が『買いたくなる』クルマを設計しているから」。本書では、ものつくりの世界において「優れた設計情報をつくること」が決定的に重要になった現代において、世界中が学ぼうとしているトヨタの設計情報がつくられる仕組み=トヨタの製品開発を丹念に解き明かす。
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Posted by ブクログ
トヨタ生産方式+トヨタ流製品開発のセットで概要がつかめる本。
リーンやアジャイルがトヨタの逆輸入という話は初耳。いまさらながらトヨタと学ばねば!と思った。
著者の主張にキレがあって、そこまで言い切るかという内容もあり、印象強い。
トヨタの開発は、機能別組織であり主査制度(プロマネ)が横串を刺して、全体として機能している。それを支えているのは、①十分な権限付与 ②重量級のタレント性、である。つまるところ、”人の問題”であり、ここに大企業も中小企業もない。
当たり前の帰結だけど、人を育てる仕組みがあるかが長期的強みに左右する。中期的強みは、情報資産の蓄積。
逆説的には、トヨタは、タレントを生かせる制度を導入しているとも言える。ティール組織はフラットな組織で多くの「個を生かす」ことを特性としているが、トヨタは階層組織で「優秀な個を活かす」体制を構築しているという対比はなんか面白い。
また、トヨタは、情報資産を蓄積する仕組みを日々の業務の中にうまく作っているようだ。蓄積のための蓄積はやる側のモチベーションも持たないから、コストを下げるか、報酬を増やすか、それに特化した管理組織が必要と思う。
トヨタの組織や制度は大変参考になる。特に、中長期的に人材開発・組織開発が大いに貢献できる可能性があるとわかったので、もう少し詳しい書籍も手に取ってみたい。
Posted by ブクログ
日本ではトヨタについて、生産工程だけが着目されているというのは、言われてみればその通り。企画設計工程は、外国では注目されているという。
トヨタの思想はよくわかったし、大衆向け製品の開発の王道だと思う。市場をみつけるところから始めるのは、さらに大変だと思わされた。
Posted by ブクログ
トヨタのTPD+TPSを逆輸入のリーン開発、カンバンなどから学ぶのではなく直接エッセンスを知ることができる本だった。国内だしオリジナルなのでもっと深く仕組みを学んでみたい。
Posted by ブクログ
人事、組織、製品開発戦略のコンサルタントによる本。時々難しいカタカナ言葉は出てくるが、時に歯に衣着せぬ言い方もありながら「売れるモノを作る」仕組みの本質を、トヨタを例に分かりやすく解説している。
色々参考になる中でも印象に残ったこと。アメリカの自動車メーカーは政治圧力を使って日本メーカーを締め出そうとしたが、かえって日本メーカーは逆境を乗り越えて強さを磨き、アメリカ車は凋落に繋がった。トヨタの「主査」という総合プロデューサーのような役割。優秀なプロフェッショナルたちを適材適所でコントロールしつつ、「売れるモノ」を作り上げていくトヨタの重要ポジション。
トヨタのカンバン方式を解説したりそれを元にしたコンサルは数多あるが、カタチだけを真似しても失敗する。それこそ「手段が目的化」して肝心の売れるモノを作れなくなった会社は退場していく。トヨタの強さは「売れるモノを継続して生み出せる仕組み」全般であり、簡単に他社が追随できないものであると教えてくれる。
Posted by ブクログ
トヨタの強さの本質を見事に突いているなと感心しました。
著書でご指摘の通り、世間で有名になっている「トヨタ生産方式(TPS)」ではなく、製品開発(TDS)を中心とした、売れて利益の出せる製品開発の仕組みだと思います。
マネジメントの仕組みとしては、製品開発の司令塔である主査制度で、マトリクス的な組織構成を実現しており、製品軸と機能軸を合理的に運用している。
まさに他社には容易に真似できない仕掛けが、世界一企業へ昇華したといっても過言ではないでしょう。
Posted by ブクログ
トヨタというとトヨタ生産方式が有名だが、この本はトヨタの製品開発に焦点を当てた本
正直文章はわかりずらい
以下キーワード
・1製品に1主査を置く主査制度
・設計者は①商品の価値②利益③実現手段に責任を持つ
・TQM 「どうすると失敗するか」という情報を残す
・ものつくりは人つくり
・3つの情報資産①設計情報②全ビジネスプロセス③人材の頭脳
・3つの情報資産について、うまくいっている状態を管理する
・なんでも文書化し、文書はつくりかえられ続ける
・自社ができることは外に出す、自社でできないことは中でチャレンジ
・うまくいった事例はすぐにヨコテンする
・結局最後は人(タレント)
結論はちょっとがっくり来るが同著者の「タレントの時代」を読みたくなった
Posted by ブクログ
トヨタが利益を上げているのは、トヨタ生産方式ではなく、その製品開発・設計のやり方によるものなのだ、ということはよく理解できた。それが主査制度を中心とする人材の選抜と評価の仕組み、タレントを大事にする文化によるものだというのもわかった。が、それだけでは、そのやり方が常にうまくいく理由、うまくその制度を維持できるプロセスとはどんなものなのか、そしてその勝率が高い(コンスタントに利益を上げ続けられる)理由がいまひとつわからない気がした。
Posted by ブクログ
トヨタ生産方式ではなく、トヨタ製品開発方式に関するキーフレーズを紹介している。さっと読むのには良いが、掘り下げが浅いことと他社への批判が強く残念な形となっている。