あらすじ
琵琶湖に近い余呉(よご)湖畔で女性の死体が発見された。殺害時刻に彼女の夫は博多、双子の弟は酒田にいてアリバイは完璧。しかし兄弟を疑う被害者の妹は推理作家の空知とともに探偵に調査を依頼する。そして謎めく第二の殺人が……。犯人が作り出した驚愕のトリックとは?有栖川作品の原点ともいえる傑作長編。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
ノンシリーズなので誰が犯人かも誰が探偵役かもわからなくて終盤までどきどきした。
アリバイトリックが細かくて、読みながらも謎解きは完全に登場人物にお任せ。
アリバイトリックもロジカルな推理も楽しめて、事件とは少し違ったところでの驚きもあって読んでてとても楽しい。
これがデビュー三作目なのまじか。
デビュー作が発表される前の作家に「ペンネームが気に入ったから」で依頼してきたまともではない編集者もこんなミステリをお出しされたらさぞ驚いただろうなと想像して嬉しくなってしまった。
Posted by ブクログ
すごく緻密な犯行。日本を股にかけての壮大なアリバイを見事に崩したのがただただ圧巻。そして怪しい2人が殺されてしまうのは正直びっくりした。
そうね、やっぱり警部より探偵の方が小説的には映えるかも。古桑さんがカッコよかった。
そして読み終わった後に冒頭を読む。この発言はどちらなのか。考えるのも楽しかった。、
余談だけど、時刻表があるので時刻表系鉄には涎が垂れるかもしれない。旦那に渡したらニコニコして眺めてた。
Posted by ブクログ
1作目、2作目とロジックに重点を置いたパズラー風作品を上梓していた有栖川有栖の第3長編。
今作はフーダニットではなくハウダニットものであり、本格的なアリバイ崩し作品。
アリバイ講義などもあり、氏のアリバイへの熱が見てとれる。
一つ目のトリックはいわゆる時刻表トリックなのだが、そこに切符という「物」を絡めているのが巧い。とても分かりやすく、切符のトリックには驚かされた。
二つ目のトリックは、秀逸なのは間違いないが、少し予想がついてしまった。「双子を両方殺して死体を移動したりすれば何とかなるんじゃね?」というしごく簡単な発想ではあったのだが、驚きが半減してしまったのは残念。
二つの秀逸なアリバイトリックに加え、探偵の小桑までも双子だったという皮肉的な真実や、「マジックミラー」という象徴的なアイテムなど、様々な趣向が凝らされており、読み応えがあり非常に完成度が高い。
有栖川作品の中ではあまり知名度が高くないように感じるが、なかなかの秀作。
Posted by ブクログ
どこかで結末を知ったうえで読んだから、読み始めた段階で苦しさはあった。
最初から最後まで双子に惑わされた。
数字に弱いので、時刻表見ながら目眩を起こしたことは内緒だ。
空知さんには幸せになってもらいたかった……
Posted by ブクログ
アリバイ崩しながら、話に捻りがあってうまい。
双子が犯人というのは倒叙タイプのオープニングで分かるがどうやってというところが前半のポイントとなる。そしてそこからが予想外の展開になるところがうまい。殺人を犯した双子を探偵役(と微妙に思わせる)の作家が殺し、アリバイを作るという二重の構造。まあ、それを追う探偵が双子というのは必要のない設定の気がするが。まず最初の殺人の時刻表&切符トリックは確かにスゴイのかもしれないけど、どうしてもこういうタイプは現実味の内容な気がする。その点、後半の殺害時間をごまかすための双子の殺人の方が物語ではあるものの意外性がある。いずれにしろすごく高いレベルでやはりこの作者の作品は質が高い。
主人公の殺人の動機が弱いのも含めて、これでもう少しキャラが魅力的なら言うことなかったかも。
Posted by ブクログ
空知のこと好きになりたくなかった!!こんな…悲しい…
絶対に片桐さんとずっと楽しく飲んだり話したり小説書いたりしててほしかったじゃないですか…
時刻表ミステリってただ文字を読むだけになってこのルートハマった!みたいな快感を得られなくて、自分は全然考えながら読んでないんだな…と思った。
Posted by ブクログ
双子の兄弟の兄の奥さんが殺害されるところから物語が始まる。
メインの登場人物は双子、被害者、その妹、被害者の元恋人、探偵。
作中でも出てくるが、日本特有のアリバイトリックに焦点が当てられたた作品。
350ページとわりかし短いので早く読み終わりました。
時刻表を使った緻密なトリックなど推理小説要素強めで、
被害者の殺害動機、犯人の描写がもう少し分厚いと面白かったなとおもいます。
Posted by ブクログ
時刻表トリックは散々読んできたが、今回のトリックはなかなか面白かった。実現性は疑問だが、私はそもそも本格ミステリーに現実性など求めない読者なので、別に気にならない。
そして第二の事件もなかなか面白い。いずれも犯人がわざとらしいので直ぐに分かる。
しかし探偵はやり過ぎかな。ちょっと興醒め。ここで『盲点』を使ってくれたら良かったのに。
アリバイトリックの分類はなかなか興味深く読んだ。鮎川さんは好きなので、鮎川作品がいくつも出てくるのは嬉しい。
そして何故表紙が二枚?何かの仕掛けか?と思ったら、新装版だった。
Posted by ブクログ
時刻表トリックは解く気がなく、第一第二の殺人共に犯人はほぼ明かされているのでそこまで盛り上がることはなかった。よく考えたなあとは思うものの、穴が多すぎる。切符を捨てられていたら?覚えてもらうための行動が露骨すぎやしないか?乗り換えに失敗したら?などなど……
『マジックミラー』というタイトルが好きだし、小物としての使い方、双子の出し方も個人的にとてもよかったと思う。ダイアローグがピークなのかもしれない。
読み方が悪かっただけなのだけれど、作家アリスと設定が被っている語り手(推理小説作家)が出てきた時点で「あ~こいつ絶対1話キャラにされるし被害者にならなかったから犯人だな」と見当をつけてしまったため驚きはなかった。メタ的な読み方をやめたいのに読んだ本が増えていくほどそうなってしまうジレンマ。