あらすじ
キリスト教の呪縛、オリエンタリズム、国民主義的歴史、世界システム論……「歴史」はどう書き変えられたか!? 「世界史」はどのように創られたのか。キリスト教的歴史観の成立と変遷、国民主義的歴史の誕生など、西欧的世界観・歴史観を根本から考える。(講談社現代新書)
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Posted by ブクログ
ヨーロッパ世界が世界史を著す過程について論じた本。著者の前著『聖書vs世界史』よりも一般向けの内容となっている。
古代には”アジア”、”ヨーロッパ”、”リビア”(アフリカ)という世界の三区分(ヘロドトス)、「人間の本性が同じである限り、過去に起きたことはまた将来にいつか起きる」という円環的な時間観念(トゥキュディデス)、自分たちの世界の外にはバルバロイや化物がいるという”化物世界誌”という思想体系が生まれる。この間には”自由”を享受するヨーロッパと専制君主に”隷属”させられているアジアという対比の構図が生まれ、後世に影響を与える。
ローマ帝国崩壊を経て中世には普遍史が確立し、ルネサンス、大航海時代には転換期を迎える。ニュートンが人間を神の似姿から自然体系の一員として見なし、物理学における絶対的時間という概念を発見して以来、文明や進歩の美名の下に植民地主義を肯定する風潮が生まれる。モンテスキューはアジアが未だに専制政治の下停滞しているのは風土によるものだ、としている。
19世紀にランケが登場することで、史料批判に基づく近代歴史学が確立する。また、マルクスは唯物史観に基づき、歴史は資本主義段階を通じて人類を解放する過程であると主張する。
このレビュー自体、あまり纏まりがないが、歴史というものは過去の人間が未知の人、モノ、考え方に直面したときに取った対応の過程を記したものであるという認識を改めて確認することになった本だった。