あらすじ
フランクルは精神神経科医・心理療法家として「ロゴセラピー(実存分析)」を創始・活躍していたが、1942年にナチスのユダヤ人収容所に送られた。3年近くの苛酷な収容所生活を生き延びて解放されると、ふたたび心理療法家として、また著作家として精力的な活動を再開し、「人生における意味」を追究する。本書は名著『夜と霧』の著者フランクルの思想と実践的活動を合わせた全体をわかりやすく解説する。
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Posted by ブクログ
人は何を大事にしているかによって違った生き方になる。金、権力、名誉を大事にしている人は他人を踏みつけても平気になる。つまり自分が一番大事なのだ。この本の著者は「生きる意味を問え」と主張している。金や名誉が生きる意味になり得るのか?彼が強制収容所に送ら尊厳を踏みにじられ希望を失っていく中でも彼は「それでも人間に生きる意味はあるのか」と問う。生きる意味を問う生き方は自分が生きている理由にもなる。何のために生きているのか?当然、金や名誉のためではないはずだ。しかし、そこから前にはなかなか進めない。仕方ない、難しい問いなのだから。時間をかけて考えよう。
Posted by ブクログ
ヴィクトール・フランクルの入門的な本。第一部でフランクルの生涯と、フロイト・アドラー・シェーラー・ハイデッガーらの影響の中でどのような思想を形成していったのかを紹介し、第二部ではキーワードからフランクルの人間観や思想を解説している。著作がいっぱいあってどれを読めばいいか迷っていたので、巻末の著作紹介がありがたかった。
「内省なんてしなくていい」というのが自分には響いた。自分のことをうじうじ考えるからよけい精神の調子が悪くなるのであって、とにかく自分の内側よりも自分のするべきことに目を向けた方が良いというのは言われてみればそうなのだが、思慮深くて落ち着いた人間になるために内省は必須なんだとどこかで思い込んでいるところが私の中にあったので目からうろこが落ちた気分だった。さらにここで「人生の意味を私たちが問うのではなく、人生が生きる意味を私たちに問うている」というフランクルのメインテーマというべき思想がよりいっそう深刻に自分に迫ってくるのだ。
「人生の先には必ずわたしを待っている人、待っている何かがある」というところまでは信じきれないが、そんな私にも希望が感じられる気がした。これを読んだのは読書会のためなのだが、さらにフランクルの本を読んでいきたいと積極的な気持ちになる本だった。