【感想・ネタバレ】雪が降るのレビュー

あらすじ

母を殺したのは、志村さん、あなたですね。少年から届いた短いメールが男の封印された記憶をよみがえらせた。若い青春の日々と灰色の現在が交錯するとき放たれた一瞬の光芒をとらえた表題作をはじめ、取りかえようのない過去を抱えて生きるほかない人生の真実をあざやかに浮かびあがらせた、珠玉の6篇。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

表題作『雪が降る』
男同士でネクタイを結ぶシーンは本当に作者の粋なユーモアを感じさせる。
かなり凝っていて丁寧な作品。よく短編でまとめあげられるなと思う。
雪が降ることの意味について。
まず、アダモの楽曲名であり、歌詞の意味はおそらく雪の日に待ち合わせで相手が来ないことを嘆く歌だろう。
陽子のメールのタイトルであり、息子の高橋道夫から主人公志村へと向けたメールのタイトルでもある。
雪が降ったことで志村と陽子は一緒のホテルに泊まることになる。
そこで、陽子は何を思ったか? 「人はいっぺんにおとなになることもある。」
少しずつではなく、とある出来事がきっかけで、大きく気持ちに変化がついてしまうということだ。
彼女にとって、その出来事がとてつもなく影響力のあるものだった。
だから、彼女は雪が降る日を待った。気持ちはもう完全に志村に首ったけであり、それはメールにも示されている。
あとはきっかけだけを待っていた。
主人公にとっては、本当に歌のタイトル通り、待ち合わせに来ない相手をひたすら午前1時まで雪の降る中待っていたわけだ。
最後に息子の道夫が父親に言った言葉は旭川は雪が降るからいいんじゃないの?と。
考察力不足でこれ以上は書けないけど、そんな感じの話。雪というものの装置としての役割について考えたほうがいいのかも。
基本的に雪というものは人を動けなくさせる機能がある。その移動を封じる手段としての雪だけど、曲の中で使われている雪の意味合いはどちらかというと
その人が「待ち合わせ」=「そこ」から動けなくなってしまうことの暗喩でもあろう。雪は降るけれど、待ち合わせのあなたは来ないって言うね。
雪が降ることで、志村はそこから動けなくなってしまい、陽子は動き出すことができる。灰色の空虚の日々を走ることなく(ランニングオブエンプティ―の話)
あとは目の色についても考えるべき。

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2025年09月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

6話の短編からなる1冊。
いまはサラリーマンとなった男が、かっての部下が上司のいじめに耐えられず刃傷沙汰になったのをきっかけに思い出すプールバーの息子だった時の事件を描く「台風」

かつて、同僚とその男は一人の女性を争ったが彼女は同僚と結婚した。その後偶然に再会。雪が降ったためホテルに投宿した二人だった。
彼女は男に「次に雪が降った時に待っている」と言う。
次の降雪の日、男はホテルで待つがとうとう彼女は来なかった。雪のためスリップ事故を起こしたのだ。
ある日送られてきた(母を殺したのはあなたですね)という同僚の息子からのメールで思い起こされる愛を描く「雪が降る」

6話の中で特に心に残ったのはこの2話だった。

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2012年08月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

短編集
・台風 主人公の記憶を辿り、人生で一度だけ出会った殺人を犯した人との出来事が静かに語られて行く。ラストで物語が繋がり、安堵のような気持ちに。

・雪が降る 主人公の男性視点で物語は進むが、お相手の女性の心理描写が良い。初めに息子がキーマンとなり話が進み、ラストの男同士の会話が私は好きだ。

・銀の塩 中盤まで物語の大枠が掴めずに進んだ印象。本書の中では普通の評価。

・トマト 短編、最後までよくわからなかった。

・紅の樹 手のひらの闇シリーズのモチーフとなっている短編との印象。短編なだけに、それぞれの人物描写がそれほど描かれていないと感じてしまった。

・ダリアの夏 人物の繋がりは面白いが、こちらも手のひらの闇第一部と似た筋書きのように感じた(女性とそのパートナー)。

短編の良さもあると思うが、私は作者の長編に比してこの評価にしました。

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2022年07月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

テロリストのパラソルを読んでから読むと面白さが増すのでは??
どの話も面白かったし何より解説が面白かった.

人魚とトマトの関係って...

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2013年01月20日

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