あらすじ
勝海舟の父、勝小吉の自伝。江戸有数の剣客にして、放蕩の不良旗本。浅草・吉原の顔役、刀剣ブローカーでもあった。身持ちの悪さに父親により三年余り座敷牢に入れられ、その間に生まれたのが麟太郎(海舟)。四二歳、天保の改革のときに不行跡から隠居謹慎となり、夢酔と称し、自己の来し方を子孫への戒めとして著したのが本書。幕末頽唐期の江戸裏社会を知る夢酔老の面目躍如たる、率直端的な独特の文体が、妖気を放ち心に迫る
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Posted by ブクログ
勝海舟の父である勝小吉の自伝
知る人ぞ知る豪傑のエピソードが盛りだくさんでした。昔の文体であるため、正直、理解できたのは7割程度でしたが、それでも有り余るエネルギーを感じることができます。また、飾りがない語り口のため、当時の習俗を身近に感じることができることも本書の醍醐味だと思います。
私の祖父母の幼少期には、まだ江戸生まれの御年寄が沢山おられたと考えると、別世界の様に思われていた、勝小吉が闊歩していた時代と今にそれ程の距離はないのかもしれません。改めてそう思わされるほど、当時の生の風景が、小吉の生活と共に写し出されていたように思います。