【感想・ネタバレ】カレーライスと日本人のレビュー

あらすじ

インドで生まれたカレーが、いまや日本の食卓の王座についている。日本人はなぜカレーが好きなのだろうか。われわれが食べているカレーはインドから輸入されたのか。アジア全土を食べあるき、スパイスのルーツをイギリスにさぐり、明治文明開化以来の洋食史を渉猟した著者が、「カレーとは何か」を丹念に探った名著。刊行後、『美味しんぼ』で詳しく紹介されるなど、日本の食文化論に大きな影響を与えた。著者による補筆を収録。(講談社学術文庫)

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

日本人にとってもっとも身近な食事であるカレーライスの歴史をめぐる研究の記録。調べるほどに謎が深まる展開はまさに研究。オススメ!

0
2020年05月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「もはや日本食」といって誰もが納得するであろう、
インド発祥、イギリス経由で入ってきて、
それから日本化したカレーライスについての、
インドでのその様を探っていく段階から、
歴史や変遷をたどっていく、
非常に面白い本。
食いしん坊でカレー好き、さらに読書も好きな人ならば、
小躍りしてしまうこと請け合いの良書でした。
もともとは1989年に講談社現代新書から出た本で、
数年前に講談社学術文庫としてリイシューされました。

さまざまな興味深いトピックに溢れてます。
たとえば、明治五年のことですが、
天皇が肉を食べた、と宮内省(当時)が発表したそうなんですが、
それまでは日本人って、肉食が禁忌だったとのこと。
それでも山村部などでは今でいうジビエ肉が食べられていただろうと思われ、
さらにいえば、表ざたになってないまでも、
庶民の間でたまに食べられていたりもしただろうし、
どこかの藩で将軍に献上している記録もあるようでした。
タブーであって、全面禁止ではなかった。
また、鳥肉は食べていたようです。
さらに、ウサギを一羽二羽…と数えるのは、
獣としてカウントするとタブーにひかっかるからだそう。
そうやって心理面で操作して食べていたんですね。

で、明治の文明開化による洋食誕生、
つまり、西洋の調理法が日本に入ってきて、
日本化されていく過程で同時に日本の食文化も変わってくるんですけども、
肉食の解禁によって牛鍋が流行った。
ステーキくらいの牛肉を味噌だとか醤油だとか砂糖だとかと鍋で煮たみたいです。
夏目漱石の小説を読んでいても「牛鍋」なんてものが出てきますから、
牛丼の具のようなものかなあと想像していたのですがちょっと違っていますね。
で、それが文明開化の象徴だったのかもしれない。

そんななか、カレーがイギリス経由で伝来する。
イギリスでカレー粉が発明されていたので輸入して、
手軽に作れたんでしょう。
現存している最初の頃のレシピでは、カエルカレーがあります。
ほか、玉子カレーだの牡蠣カレーだの、
さまざまな食材でチャレンジしているところに、
明治の人たちの楽しんでいるさまが感じられる。
明治の後期になると、もうその段階で、
乾燥カレーなるものも商品化されている。
お湯を注いで混ぜればカレーになったそうで、
今でいうフリーズドライ製品的なものだったのかもしれませんね。

とまあ、そんな感じで、著者の視野は広く、
昭和にいたって、いわゆる原風景としての
じゃがいもと人参と玉ねぎと豚肉のカレー、
それも、肉はちょっぴりだけど…というものに辿り着いていく。

軍隊や寮の影響が大きかっただとか、
いわゆるルーカレー、つまりシチューカレーになる前の、
伝来初期の頃のソースカレー、つまり肉がメインでそのソースとしてのカレーも、
家庭的なカレーとは別の道を行き、
高級カレーとして生き残りましたし、
中村屋で生まれたインドカレーも、
現在まで広がりを見せて、さまざまな店が繁盛している。

最近では、札幌でスープカレーが定着しましたし、
大阪ではスパイスカレーが生まれて東京にも進出しているというし、
そういった種類のカレーだって受け入れられていることも、
日本人のカレー好きを再確認する事象だといえそうですよね。

本書ではカレーだけを扱っていても、実に奥深い。
思っていた以上に「食」という分野は相当の深さです。
本書は、エンタテイメントでもありながら、
歴史とそれぞれの時代の空気まで学べまでしておもしろいです。

小学生のころ『美味しんぼ』を読んでいて、
「食」の世界の広さと深さは感じていたんですが、
今回、それを再確認しました。

カレーライスは好物です。
ただ、僕は北海道在住ですからスープーカレーも比較的早い段階で食べてはいるんですが、
どうも合わなかった。
レトルトのマジックスパイスのスープカレーは、
人に教えてもらって食べて、これは美味しいと感じはしたんですが、
どちらかといえば、ルーカレーのほうが好き。
また、ほぼ日刊イトイ新聞で販売しているスパイス・『カレーの恩返し』という発明品は、
家のカレーが本格インドカレー化するのが楽しいし香りが良いしで
何度かまとめて注文したことがあります。
職場で数人に配ったこともあります。

そんな僕の住む街の名物がカレー蕎麦なのでした。
もともと炭鉱町で、
大量に汗をかいて坑内から出てきた炭鉱夫たちが、
おいしくて味が濃いものを食べたい、と
カレー蕎麦をよく食べていたみたい。
名店もありましたしね。
今ではもっと町に広まり、
内外にアピールして観光に一役かっていたりもします。
豚バラと玉ねぎのカレーがたっぷり蕎麦にかかっていますが、
美味しいんですよね。

というように、食欲のほうもそそられてしまい、
ダイエット期にはちょっぴり辛い読書でしたが、
脳内は満足の満腹状態。
おいしゅうございました。
本書のようなよい仕事を読書というかたちで享受できてうれしいです。

0
2020年03月03日

Posted by ブクログ

それにしてもインド料理のスパイスは多種多様だ(p46-56).我々が日本で普通に食べているカレーはインド原産ーイギリス経由ー日本での改良品だ.アジア諸国の多彩な食べ物が日本に入ってきても,それをうまくアレンジして賞味する技は素晴らしいと感じた.日本料理の特殊性として,プロによる高級料理と家庭料理が大きく異なってきたことを指摘しているが(p181),納得いく話だと思う.

0
2016年01月26日

Posted by ブクログ

カレーをネタににして、日本の食の近代化、肉食の受容を検証した内容と思われる。

ちょうど、岩波から出ている辛島昇さんの『インド・カレー紀行』がインドにおけるカレー文化の発達と展開であったのと対になる内容であると思われる。

明治に入り肉食を受け入れた時、その肉をいかにして食うかという問題に当たったときに、香辛料により肉の臭さを消したカレーという存在は重宝されていく。また、舶来の食い物であるという点も受け入れられた一因となっていく。

また、最後に記された、イギリスが食の平等化を果たしていく過程でいったん受け入れたカレー文化を、家庭から排除していくという点は、社会の近代化と同時に移民社会の多様化という点で、なるほどと思わされた。

0
2015年10月20日

Posted by ブクログ

カレーライスは、インドでも、ヨーロッパでも見ない、日本独特の料理である。その起源がいつ、どこにあるのかについての本。よくこんなことを調べるものだと感心すると同時に、そんな奥深いカレーをいろいろと食べたくなる一冊。

0
2015年10月13日

Posted by ブクログ

インドからイギリスをへて日本に来る。まぁまぁ、面白かった。一番はカレーを調べにイギリスに来た著者に対して「なんでイギリスに?」的な反応をするイギリス人。

0
2025年06月03日

Posted by ブクログ

1989年の本。著者はインドを歩き、イギリスに渡り、"カレーはいかに日本のカレーライスになったのか"を探る。

ネットもなく、まさに自分の足で稼ぐしかなかった時代。インド映画の「エンドロールのつづき」でお母さんがご飯を作ってくれるシーンを思い出した。

0
2025年05月04日

Posted by ブクログ

カレーとはどこから来たのか、
日本人にとってのカレーとは、
何がカレーなのか、
かなり歴史を深く掘り下げ客観的に考察。

0
2023年12月29日

Posted by ブクログ

カレーのルーツを知りたかったので、面白く読めた。
ルーを使ったベーシックなカレーを無性に食べたくなる本。

0
2018年12月08日

Posted by ブクログ

カレーライスがいかにして日本の国民食の立場になっていったか、その歴史を、イギリスまで行って確かめた人の本。
他にもカレーのこといろいろ書いているようだけど、特に食指が動かない。
そんな感じの文章と内容でした。

0
2017年04月05日

「学術・語学」ランキング