【感想・ネタバレ】ああ玉杯に花うけて 少年倶楽部名作選のレビュー

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Posted by ブクログ 2021年09月20日

戦前の旧制浦和中学校を舞台とした小説。学園生活だけでなく、社会の貧困問題なども描かれる。冒頭から浦和町の助役の息子が権威を背景に豆腐屋の豆腐を無料で食べる。日本の公務員は途上国並みに利権にまみれて腐敗している。『青天を衝け』第27回「篤太夫、駿府で励む」(2021年9月19日)でも官軍の兵が町人への...続きを読む強請りたかりしているとの指摘がなされた。

「商売をしたからって助役の息子に食われてしまうばかりだ」との台詞がある(44頁)。これでは真っ当な商売ができない。公務員に上納しても商売が成り立つくらいに頑張るような精神論根性論は有害である。公務員に上納しても商売が成り立つならば、その分、消費者から搾取していることになる。そのような商売は有害である。

しかも、抗議した人を警察を使って有罪にした。さらに冤罪を作り上げようとする(122頁)。どうしようもないほど悪辣である。一方で助役の息子の改心は、あまりに物語として都合良すぎて興覚めである。とはいえ改心した人物と友情物語にならずにフェードアウトした点は良かった。昨日の敵は今日の友展開は一層の興覚めである。

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Posted by ブクログ 2017年10月17日

政治活動に行き詰まって落ちぶれた家の息子が
かつての同輩に軽蔑されながら豆腐屋の手伝いをやって
毎日のように不良少年から恐喝を受けつつも
私塾に通い、やがて高等学校の入試に合格するという話
昭和2年である…田中義一の機密費流用疑惑が取り沙汰され
芥川龍之介が自殺した年
非常に厭世的な空気のある中、連...続きを読む載されたこの小説は
個人主義、自由主義、快楽主義を強く批判して
勤勉克己をうながし
天下国家への忠節の大切さを人情味あふれる筆致で説いている
根本にあるのは天皇のもとの平等
シンプルな世界観で全ての雑音をシャットアウトするようなところはある
だが汚い現実を排除しつつ
少年たちの承認欲求を充分に満たしうるものでもあった

戦後、梶原一騎に影響を与えたとされる
梶原はある種の敗北主義でこれをアレンジしたが

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