【感想・ネタバレ】シオニズムとアラブ ジャボティンスキーとイスラエル右派 一八八〇~二〇〇五年のレビュー

あらすじ

「(アラブ人との)合意につながる唯一の道は『鉄の壁を建てる』ことであり、それはイスラエルの地ではいかなる状況下でもアラブ人の圧力に屈しない力がなければならないことを意味する」(1923年の論文「鉄の壁」より) 2002年に着工、今なお未完成のヨルダン川西岸の分離壁。その理論的基盤となる思想を唱えたのが、リクードのイデオロギー、修正主義シオニズムの鼻祖ジャボティンスキーである。紆余曲折を経て先鋭化されていった彼の民族論は、イスラエルの対アラブ強硬論を読み解く重要な鍵となる。民族と国家との関係はどうあるべきか? この紛争に未来はあるのか? 混迷の続くパレスチナ問題の核心と本質に迫る意欲作。(講談社選書メチエ)

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Posted by ブクログ

シオニズムの理論的支柱となっていた
ジャボティンスキーという人物に焦点を当てながら
その後のシオニズムの変遷についてもカバーした力作である。

国家主義から排斥された民族主義の活路として
シオニズムが打ち立てられ、
他民族への徹底的な非妥協の姿勢を打ち出す。
その実現物こそが「鉄の壁」であった。

それと同時に民族主義運動として
他民族への共生(去勢を前提としてたとしても)も
視野に入っていたことは驚きとともに納得もする。
あれほどに苛烈で野蛮な排外主義が
横行するとは理解し難いものがあったから。

しかし理論は現実の政治においては
たやすく歪められ敵ー味方の認識だけが残ってしまう。
何かを線引きするような姿勢はどこにあっても
利用だけされてしまうだろう。

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2014年03月16日

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