あらすじ
中内の生涯は、われわれ日本人に対して「無から有を生み出す者こそもっとも尊い」というメッセージを残したと言えるのではないかと私は考えている。無から有を生み出すというのは、なにも「ものづくり」にかぎった話ではあるまい。社会に新しい価値観、新しいライフスタイル、新しい社会システム、すなわち新しい社会のあり方をこの世に現出させること。中内のやったことは、まさしくこれだった。――〈「序章」より〉
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Posted by ブクログ
ダイエー創業者・中内功氏の生涯とダイエーの盛衰を、1983年から氏が亡くなる2005年までを取材してきたジャーナリストが追いかけている。氏本人と多くの関係者への取材で生々しい証言も多い。良いも悪いも、氏の人となりと熱量が伝わってくる。生い立ち、家庭環境、戦場での体験、闇市での奮闘から日本最大の流通業へ登り詰める過程と晩年の凋落の軌跡。流通業界に身を置く者として、ダイエーは自分が社会に出た頃はまだ絶頂期で仰ぎ見る存在だったのを懐かしく思いながら読んだ。
功罪両面余すところなく語られる。氏は自分の理想通りにならないと幹部社員には特に容赦なく怒鳴りつけ、絶対君主になったが故の凋落を招いてしまった。そして「社員がイエスマンばかりになった」と嘆くも、自分がそういう組織にしてしまったことには無自覚だったようだ。それくらいの強烈な個性がないと、戦後の混乱の中から巨大流通企業を作り上げることはできなかっただろう。
晩年の凋落は残念だが、日本の流通に革命を起こした功績は紛れもない事実。やはり戦争に行って地獄を体験した人のエネルギーは凄まじいものがあると改めて思い知らされる。