【感想・ネタバレ】牧野富太郎自叙伝のレビュー

あらすじ

わが国の植物分類学を独力で切り拓いた巨人・牧野富太郎。幼少より植物に親しみ、小学校中退後の人生を独学による植物研究に捧げた彼は、権威による研究妨害や貧困に屈することなく、95年の生涯の晩年まで現役であり続けた。彼が採集した標本は実に60万点、命名した植物は2500余。「植物学の父」が独特の牧野節で綴る波瀾万丈の「わが生涯」。(講談社学術文庫)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

小学生の頃、学校の図書室にあった牧野富太郎の伝記を読んで、その植物への情熱に驚いた記憶がある。
というか、驚いた記憶しかなくて、内容は極めて不確かにしか覚えていなかった。

小学校を中退したのは家が貧乏だったから、と思っていたけれど、当時は結構なお坊ちゃんで、行きたくなかったから行かなかっただけ。
その代わり自分で植物だけではなく、物理や地学や地理なども自分で勉強した。
身体が弱かったのは幼少期までで、その後は人並み以上に健康であったこと。

なんだか勝手に牧野富太郎像を作り上げていたんだなあ。

小学校を自主的に中退したにもかかわらず、その後小学校で教師をしたり、後には東大で植物の研究をして学位を取ったりして、その才能は間違いないのだけど、この本を読んで思ったのは、人間付き合いの下手くそさ。

もちろん彼を庇護したり彼に師事したり友情を育んだりしている人は多くいるけれど、大学の研究室でことごとく上司に嫌われるというのは、彼の方にも問題があったのではないのかなあ。
権威におもねらないと言えば聞こえはいいけれど、上司に対して見下すような態度を取っていたのではないか。
というのも、文章の節々にそのような思いを感じとれてしまうから。

天才からすると世間的に権威のある人でも、才能がなければただの人なんだろうけれど、往々にしてそういう人の方が他人の評価に敏感なので。
小学生の時にはわからなかった、そういう読み方をしてしまう自分が淋しくはあるけれど。

この本は自叙伝として書かれた本というよりは、発表された多くの文章の中から自身について語っているものを選んで編集したもののようで、同じ出来事が何度も繰り返し出てくることに食傷。
また、最後の章は牧野富太郎の娘が父について語っているものなので、これまた自叙伝とは言えないと思う。

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2019年10月08日

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