【感想・ネタバレ】ストレスとはなんだろう 医学を革新した「ストレス学説」はいかにして誕生したかのレビュー

あらすじ

「ストレス」を発見した天才科学者ハンス・セリエをめぐる物語。私たちは当たり前のように「ストレス」という言葉を使うが、実は、この言葉が誕生してから、約80年しか経っていない。すべての病気の原因が病原体にあると信じられていた1930年代、若き天才科学者 ハンス・セリエは、心や肉体へのストレスが体の変調をもたらすという画期的な「ストレス学説」を提唱した。医学を革新した天才的な閃きはいかにして生まれたのか? 科学者たちが織りなす人間ドラマを通じて、「ストレス学説」誕生の秘密に迫る力作。(ブルーバックス・2008年6月刊)

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Posted by ブクログ

ストレスの概念を確立し広めたのはハンス・セリエ。その出発点となったのは、1936年のたった半ページのNature論文。被験体はラット、著者はセリエひとり。ただ、論文に「ストレス」の文字は出てこない。どうしてそんな実験をしたのかもわからない。私はそれがずっと疑問だった。
本書には、その答えが書いてある。当時の内分泌学の研究の流れのなかに位置づけると、いろんなものが見えてくる(人間関係までも)。なるほど、そういうことだったのか。
著者の専門は筋収縮の生理。「あとがき」によると、定年後、生理学全般の講義をもつことになり、ストレスについても勉強せざるをえなくなったということらしい。
でも、もうひとつ、強力な動機がある。父親はセリエの著書の翻訳もした杉靖三郎。大学生の時、来日したセリエに自宅で会ってもいる。ならば、書かざるをえないだろう。書かれるべくして書かれた一冊なのだ。読みやすい。とくに前史が詳しく、有益。

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2025年05月05日

Posted by ブクログ

ハンス・セリエが「ストレスを発見」してストレス学説を生み出すまでの物語と、ストレスが神経系と内分泌系に影響を与える構造についての解説。

なのでストレス対処法みたいな内容ではなく、あくまで「ストレスの発見」までのワクワク感を楽しみつつ、その発見にいたるまでの様々なストーリーを楽しめる「読み物」でした

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2020年04月06日

Posted by ブクログ

[ 内容 ]
私たちは当たり前のように「ストレス」という言葉を使うが、実は、この言葉が誕生してから、約80年しか経っていない。
すべての病気の原因が病原体にあると信じられていた1930年代、若き天才科学者ハンス・セリエは、心や肉体へのストレスが体の変調をもたらすという画期的な「ストレス学説」を提唱した。
医学を革新した天才的な閃きはいかにして生まれたのか?
科学者たちが織りなす人間ドラマを通じて、「ストレス学説」誕生の秘密に迫る力作。

[ 目次 ]
第1章 若き日のハンス・セリエの抱いた疑問
第2章 ホルモンの発見―高峰譲吉のアドレナリン発見物語
第3章 ストレス学説誕生前夜―インシュリン発見物語
第4章 セリエの研究の行き詰まりとストレス学説の着想
第5章 ストレス学説の成立―ストレス反応の三つの時期
第6章 視床下部ホルモンの発見戦争
第7章 精神的ストレス疾患はなぜ起きるのか?
第8章 ストレス解消による健康長寿への道

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

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[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2010年05月22日

Posted by ブクログ

【要旨】
 20世紀の初めまでは、病原菌の発見や免疫療法の開発によって、感染症の死者が激減してきた。これを背景に、「すべての病気は人体に侵入した病原菌によって起こる」とされていた。これに一石を投じたのが、ハンス・セリエの提唱した「ストレス学説」である。19世紀末から20世紀初めに掛けて、内分泌学が発達したため、革命的な学説が打ち立てられる機が熟していたと言える。
 さて、ストレス反応の経路は2つあり、1つは内分泌系による経路、もう1つは自律神経による経路。自律神経による経路はいまだ仕組みが解明されていない。
 旧来の西洋医学のアンチテーゼとして注目されたが、「病は気から」「漢方医学」などもあり、日本では比較的受け入れられやすかった。

【感想】
 ブルーバックスだから仕方ないし、分かっていたけど、理系的な本。ストレスに対して、社会的な視点で人文学的な捉え方ではなく、あくまでも当初の医学的なストレス学説に基づき、体内でのストレス反応のメカニズムに主眼がある。最後の方に、貝原益軒の『養生訓』など人文学的な視点も持ち出すが、非常に消化不良。ストレス反応のメカニズムは客観的に書かれていてよいのだが、その意味・価値・考え方というようなところが薄い。これでは、この本そのものがストレッサーになりかねない、かもしれない。

【目次】
第1章 若き日のハンス・セリエの抱いた疑問
第2章 ホルモンの発見
第3章 ストレス学説誕生前夜
第4章 セリエの研究の行き詰まりとストレス学説の着想
第5章 ストレス学説の成立
第6章 視床下部ホルモンの発見競争
第7章 精神的ストレス疾患はなぜ起きるのか?
第8章 ストレス解消による健康長寿への道

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

ストレスを感じている時に人体では何が起こってるか、そしてどういう身体の異常がおこるのか?そういう質問に答える本。興味深く面白かった。

ちなみに、どういう場合に人間はストレスを感じるか?っていう質問にはほとんど答えてないので注意。「ストレスとはなんだろう?」っていうタイトルが曖昧すぎるので勘違いする人もいるかも知れない。

中身はざっくり言うと、1~3章はストレス学説以前のお話、4~6章がストレス学説の紹介、7~8章が未解明な分野に関する筆者の考察

科学史にはあんまり興味がない自分には、発見に関する物語はちょっと多すぎた感じがする。そういう物語に関する著者の思いは受け取った。世の中には研究者の仮面をかぶった単なる役立たずのマネージャーがいる…など。しかし、ここでは焦点をメカニズムに移して内容を深くし分かりやすく面白く書いてくれればいいのにと自分の場合は思った。

興味深かった事項
・ストレスによって生じる欝は活動性を低下させるが、自然界の動物にとっては傷ついた身体を回復するために有効だった。しかし、現代の文明社会においては、外傷によるストレスよりも精神的なストレスの割合が極端に高いためその有効性が薄れている。

・ストレスによって生じる自律神経系の失調は、血液循環や心臓に異常をもたらし、体の局部の血行を阻害し様々な疾患を引き起こす。円形脱毛症・胃潰瘍はそれが原因の一つとのこと。血行は超重要!!!!ただし、自律神経の失調に伴う疾患を血行の阻害で単純に説明しすぎている感があって、思わずホントかよ?って思ってしまった。

・8章の内容。「意志」の力で、大脳皮質から未知の経路を通って自律神経に伝わる精神的ストレスの有害な作用を防ごう!っていうのは興味深い。勿論、怪しさ満点だし、「意志」の力って具体的になんなの?って思えてしまう。でも、「やってやるぞ」と意識的に奮起すれば元気が沸いて来るってのは、なんとなく感覚的にはわかる。

印象に残った言葉
「心に平和を持ち、外に向かって有益な働きをすることが、あらゆる幸福の、あらゆる健康の、そしてあらゆる長寿の、唯一の秘訣である。」
実は「外に向かって有益な働きをすること」がなぜ幸福につながるかは本書には書いていないが、これは今後見つけていく課題とする。

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2011年06月15日

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