【感想・ネタバレ】ヴィラネス ―真伝・寛永御前試合―(2)のレビュー

あらすじ

「小説現代」に連載中、夢枕獏氏『真伝・寛永御前試合』のコミカライズ。出てくる奴ら、皆、外道! 正々堂々、一切無用の剣客ファンタジー!! さらに夢枕作品の外道キャラがオンナに!! 強さ――。ただそれだけを求め、廻国修行に励む、師・秋山虎之介(あきやま・とらのすけ)、弟子・宮本弁之助(みやもと・べんのすけ)。梵天山に棲むという、人を捨てし剣聖との果たし合いはまさしく命の削り合い!!

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Posted by ブクログ

凄い、と言うよりかは、凄まじい、と言いたい内容
感想の前に一つ、未読の方に僭越ながらアドバイスを
1巻と2巻はまとめて一気に読んだ方が面白い、と思う。そちらの方が、面白さっつーより、この『ヴィラネス―真伝・寛永御前試合―』のヤバさにKOさせられる事が出来るだろう。これは私が、ヤングマガジンサードで、この作品をリアルタイムで読んでいないから感じる事かも知れん
恥ずかしながら、原作の『真伝・寛永御前試合』は読んでいない。しかし、夢枕獏先生の作品だ、確実に毒があるのは容易に察せる
この漫画かつ雨依新空先生のどこが凄まじいかって、原作が持っている毒を更に強めているコトだ。個性が外道なキャラを美少女にする、それは相当、難しいハズだが、原作の良さを殺さずに、オリジナリティで私ら読み手の心を鷲掴み、いや、潰して息の根を止めに来るとは、この漫画家、侮れない
この『ヴィラネス―真伝・寛永御前試合―』を読んだ事で、私はしみじみと強さについて考えさせられた。強さの定義ってのは人や状況によって様々、千差万別で唯一の正解が存在しないにしても、何をしてでも勝つ、その覚悟を持っている人間は間違いなく強く、なおかつ、生き残れる。命のやり取りで結局、強いとされるのは勝った、でなく、最終的に生きて立っている方だ
相手の土俵に乗らず、自分のペースに引きずり込む、それも一種の才能だろう
剣聖、その称号を与えられている剣豪の中でも名高い塚原卜伝を登場させただけでなく、ここまで狂気を宿し、最強の座にしがみつくだけでなく、まだまだ上を目指す、純粋な求道者として登場させるセンスが実にグッと来た。強くなる事に躊躇わぬ秋山と塚原の存在感があってこそ、まだまだ弱い弁之助の魅力が活き、今後の成長に期待を持たせる
どの回も精神的に重圧を与えてくるが、個人的には、やはり、弁之助が本気の卜伝を目の前にして、覚醒の兆しを掴む第十話「天下無双」だ
この台詞を引用に選んだのは、正に私にこの『ヴィラネス―真伝・寛永御前試合―』の感想を書こうと思わせるだけのインパクトがあったから。剣に限らず、万事に通じるな、「一の太刀」の理念は。人間、次は無い、この一撃、この一瞬で決着を付ける、と決めて事に挑めば、大抵の事は突破できてしまう。やっぱ、剣聖ともなると、言葉の重みが違うわ。まぁ、その後の卜伝の行動を見ると、強さも境界線を踏み越えちゃうと、人間、まともじゃなくなるわ、とも感じるが

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2015年11月18日

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