あらすじ
原因から結果を予測する――これは、順問題。結果から原因を探る――これが、逆問題だ。古典物理では説明不可能な現象が顕在化し、その限界が意識され始めた19世紀末頃から、観察結果に基づいて現象の原因を決定する、逆問題の発想による研究が始まり、大きな数学分野に成長した。本書では、「プランクのエネルギー量子の発見」「恐竜絶滅の謎」「海洋循環」などの興味深い実例を取り上げて、「逆問題」の考え方解説する。(ブルーバックス・2014年12月刊)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
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Posted by ブクログ
読み物として非常に面白かった。
ブルーバックスの中でもヘビーな部類なのは間違いないので、気軽にサクッと読める感じではなかったが。。
自分の研究テーマが逆問題的であることを改めて認識でき、先人たちの努力が窺い知れる良書。
しばらくしたらまた読みたい
Posted by ブクログ
通常の問題(順問題)は、原因から何らかの法則に基づいて結果を推測するのに対し、逆問題は、現象の原因を観測結果から推測する。本書は、まず逆問題がどのようなものであるかを述べ、実際に、科学史の中で逆問題的な考え方がどのように用いられたかを紹介している。
個人的には6章、7章がとても興味深かった。連立1次方程式は、観測誤差など初期値に対する鋭敏性を示すが、現実には「真の値」がある筈だという考え方からすれば、そのように解の値が大きく変化してしまうというのは困った状況である。そこでどうするのか。キーワードだけメモしておくと、最小2乗解、特異値分解、チホノフ正則化解など。
あまり本筋とは関係のない話(雑談)がちょいちょい入るが、よく言えば大学の講義っぽい、悪く言えば鬱陶しい?
1 逆問題とはなにか
2 史上最大の逆問題
3 振動の逆問題
4 プランクのエネルギー量子発見
5 海洋循環逆問題
6 逆問題としての連立1次方程式
7 逆問題のジレンマ
8 量子散乱の逆問題