あらすじ
巻二の補遺及び、巻五から巻七までを取り上げる。巻五は、『万葉集』全二十巻の中でも特異であり、大伴旅人と山上憶良の二人に尽きるといっても過言ではなく、しかも、濃密かつ心に残る和歌の抒情の魅力が詰まった巻として有名。『万葉集』の面白さを存分に感じる一冊。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
第二巻には、『万葉集』の巻二の補遺と、巻五から巻七までの内容が収められています。
著者は、巻五に収められている、大伴旅人の妻の死にさいして、山上憶良が彼に送ったとされる歌をとりあげ、博引傍証をきわめたその内容の特異さに目を向けています。著者は、この歌を受け取った旅人の気持ちに想像をめぐらせ、「旅人はおそらく、最初は異物を噛むような思いでこれを読み、日が経つにつれて深い慰めをそこに見出すに至ったのではないか」と語ります。
さらに著者は、この歌を送った憶良という人物の特異な性格についても考察をおこなっています。さらに彼の「沈痾自哀文」を紹介し、「ここまで徹底した現世至上主義の思想は、仏教的無常観が日本人に教えたあきらめや西方浄土への儚い祈願といったものとはおよそ異なるものと言わねばならないでしょう」と評しています。