あらすじ
経済学は、時代ごとの大きな社会経済問題と格闘し、発展を遂げてきた。その歴史をふりかえることを通して、現代社会が直面する課題──経済のグローバル化、金融資本主義化によるバブルの生成と崩壊、地球環境問題など──に、経済学がどのように応え、「持続可能な発展」のために、いま何をなしうるのかを考える。
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Posted by ブクログ
これは著者が言うように、経済学部に入ったばっかりの人に読んでもらうととても良いと思う。
経済学部というと「金融」をはじめとするイメージが多いうえ、リーマンショックを初めとする危機の原因である「金融」にあまりいいイメージがない人も多いと思う。
が、経済学の根本はこの著者の言うような5つの問題を取り扱ってきた。
①市場と国家の関係
②自然の体系と人為の体系
③金融経済と実物経済
④経済システムの主体は誰か
⑤動態的な経済
であり、中でも④は重要であると思った。
決して「金融」がここに当てはまってきたことはなく、基本的に農業従事者や工場労働者、経営者などがここに当てはまっているとされてきた。租税もここの負担を回避するようにするべきだ、などということが述べられている。ケネーの経済表がまずそれを表している。
また著者が述べる「非物質主義的転回」も注目すべき。というかこれについて3回生の時にゼミでやったなぁ、と思い出した。また「規制があったからこそ成長してきた」という主張。日本の自動車産業を例にあげている。それもまた事実だと思う。規制緩和とはいわゆる「人為の体系」から「自然の体系」への回帰であり、マルクスの描いた最も過酷な資本主義へ近づく。しかし現代では最低限の安全保障はシステムに組み込まれているため、ある程度は防がれてきたがこの社会保障分野も削減に向かいつつある。
2009年時点で原発ではなく再生可能エネルギーについて主張しており、昨今の反動的な反原発主張者よりも冷静で、それでいて熱い心を持っている、経済学者であると感じた。
とはいえマジな学部入りたてやと、そもそもよく分からん状況になるとも思う。