【感想・ネタバレ】日本型PMIの方法論――中堅・中小企業を成長させるポストM&Aのプロセスのレビュー

あらすじ

【内容紹介】
M&Aは、「成約」がゴールではない。
異なる企業同士が、当初目論んでいた成果を享受してはじめて、「成功」といえるのである。

日本M&Aセンターで、中堅・中小企業のためのポストM&Aのプロセス=PMIを手がけてきた著者が、M&Aを成功に導くPMIの考え方と手法を、理論と経験をもとに、豊富な図版を交えつつ解説。売り手企業と買い手企業が思いを共有し、シナジー効果を実現するためには、何が必要か──。
PMIコンサルティングの現場ですぐに活用できるツールとして、事例ごとの「帳票例」も掲載。M&Aを考える、M&Aをしたもののシナジー効果に悩む経営者、PMI担当者に向けた極めて実務的な指南書。
これまでのPMIについての書籍は、海外企業あるいは大企業同士のM&Aにおける取り組み事例が中心となっていたなかで、日本における中堅・中小企業のPMIに特化した初の本でもある。

【著者紹介】
[著]竹林信幸(たけばやし・のぶゆき)
日本CGパートナーズ取締役
1970年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。大手生命保険会社を経て、国内外コンサルティング会社にて経営コンサルティング業務に従事。M&A支援、企業再生、経営者向けのコーチングなど、豊富なコンサルティング経験を有する。日本M&Aセンター入社後、PMI支援室の正式発足時に参画し、日本における中堅・中小企業向けのPMIの体系構築、パッケージ化したサービスの導入に尽力。「シナジー効果を享受するまでがM&A」との信念に基づき、日本M&AセンターのPMI案件のすべてに携わる。2018年、日本M&Aセンターの子会社である日本CGパートナーズの設立に伴い、取締役就任。経営会議でのファシリテーションなど、譲渡企業と譲受企業の意思決定の緩衝材となる役割も担っている。

【目次抜粋】
はじめに
第1章 PMIの定義
第2章 いま求められるPMI
第3章 PMIは「人」で決まる
第4章 「日本型PMI」を実践する
【マインドセット編】
【実践編】
第5章 PMIの準備
第6章 PMIの事例と帳票
おわりに

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Posted by ブクログ

ネタバレ

・大手のpmiとは違い100日プランは中小にはキャパの問題で向かない
・売り手も成長戦略の一環としてm&aを考えること
・pmiによりオーナー経営から組織経営へと移行させる
・pmiに必要な知識は専門知識、角の見極め力、コミュ力
・pmiコンサルは調整役のイメージ各種の。
・業務フロー意思決定、製品情報お金の流れを理解
・取組は重要度と緊急度のマトリックスの上策定する。実務的、組織的、感情的な課題に分かれる。
・シナジーを生むためには売り手のビジネスをいつも通り流せるようにすること。そのためにインタビューによる業務フロー深堀など大事。それらに対して優先順位つけて対処。

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2020年08月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

PMI2冊目。著者は日本M&Aセンターの子会社でPMIサポートを担う(株)日本CGパートナーズの竹林信幸氏。

感想。
ノウハウたくさん。


備忘録。
・「M&Aの契約は、登山で言えばまだ2合目。残りの8合分はPMI」by日本電産の永守会長

・p20のプロジェクトの全体俯瞰図や、p26の100日プランのチェックリストは、わかりやすい。

・中小企業はPMI専任の担当者を置く余裕なし。基本は人手不足。恵まれた環境で仕事をしている人には理解しにくいかもしれないが、その現実に目を向けず正論を振りかざすと上手くいかない。

・また、売手と買手の違い、大企業と中小企業の違いは、違いであって、必ずしも問題ではない。意図せずに、買手の当たり前を、売手に強要すると、感情的こじれる要因になりかねない。

・決算書類で経営内容を説明できる中小企業経営者は29%、予算管理している中小企業は30%、by富士経済

・アメリカではPMIという単語が通じないらしい。アメリカにおいては文化のちがう会社が1つに統合するという考え方が希薄で、売手も買手も、各々の成長戦略を実行に移すのみだと。オーナーの変更にも感情的だし、システムや会計、人事の統合も外部リソースを積極活用し、淡々と。

・PMI巧者の三つの共通点。①お金の使い方を知っている。例えば100日プラン中のクイックヒット向けに支出を許可するとか。②フットワークが軽い。③要求を遠慮なく伝え、明確に求める。

・大企業が中小企業を買収した時、中小企業の欠点や課題が数多く見つかるかもしれない。ただ、強みと表裏一体の弱みもあるし、優先順位の問題もある。本当に治すべき欠点・課題を見極める力が必要。

・同様に、過剰な管理は現場のモチベーションを殺しかねない。管理会計の導入や、営業報告書、経費管理とか。従来やらずに済んだことをやらされる側の不満を理解しつつ、一方で過度に遠慮はせず。

・文化を変えるのは難しい。アメリカのGHQによる日本占領だって、結局日本の文化を残した。

・文化を変えたり融合したりするのではなく、ダイバーシティを前提としよう。管理方法は100%買手に合わせるのではなく、置かれた状況とリソースを踏まえて、最適なやり方を選択しよう。そして常に上位概念=なぜM&Aをしたのか、のビジョンで語り合おう。

・売手側との面談時には、まず「人事面談ではない」と明言すると良い。

・インタビュー時に、自身の仮説や結論を導く様、そればかり聞くのは今一つ。

・業務フローの見える化が効く。

・買収時に旧経営陣の報酬がある程度浮くはず。それをPMIの原資に。

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2020年02月09日

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