あらすじ
これを知れば、周囲も当事者も楽になる!
大人になってから発達障害が明らかになる人が増えています。
そういう人は、もともと発達障害の要素をもっていたのに、それに合った育て方をされていないため、こじらせてしまって二次障害に至っている人も少なくありません。
そんな発達障害をもつ人の思考パターンは、一般の人とは大きく違っています。外見的には同じ常識を共有できる仲間に見えますが、じつは、話の通じない外国人のようなものです。
その違いを知らずに接してしまうから、齟齬が起きるのです。
そこで、発達障害をもつ人は、何をどう考えているのかを説明しつつ、「身のまわりが片付けられない」「時間が守れない」「企画書が書けない」などの困りごとに、周囲の人たちはどう対処していけばいいかを、具体的に説明します。
周囲がフォローすることで一般社員などの負担が重くなってしまうなら、もちろん配置換えや転職を視野に入れなければなりません。あるいは、本人が手帳を取得して、福祉的サービスに移行したほうがいいと思われるケースもあるでしょう。
こうした厳しい「現実」についても説明する、他の発達障害本とは一線を画する内容です。
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Posted by ブクログ
【内容】
■発達障害→医学的には、神経発達症群(DSM-5)と呼ぶ
・知的能力障害群(ID):知的障害など
・コミュニケーション症群(CD):言語症、語音症、吃音
語用論的コミュニケーション症など
・自閉スペクトラム症(ASD)
・注意欠如・多動症(ADHD)
・限局性学習症(SLD)
・発達性協調運動症(DCD)
・チック症群
・スペクトラムとは連続体ではなく、同じ仲間とみなせる集合体(根っこは同じ)
・これらの発達障害は併存している事が多い
・発達障害=脳機能の障害であり、症状が通常低年齢において発現するもの
・これらの特性があったとしても、生活に支障がなければ障害ではない
■特性だけでなく育ち方で社会適応が左右される 育ち方の4タイプ
・まじめで信頼できる性格に育つ「特性特異的教育タイプ」
→本人に合った支援や教育を受け、苦手な事も無理のない範囲で、
気軽に相談できる環境で育ったタイプ
・不信感や猜疑心が強くなる「放任タイプ」
→発達障害に対する理解が全く得られない環境で育ったタイプ
特性を理解せず、口頭でばかり伝えるなど
・自信と意欲の低下を招く「過剰訓練タイプ」
→特性を受け入れられず、苦手な事を克服する事ばかりにフォーカスする環境
で育ったタイプ(二次障害になりやすい)
・社会人になってからつまずく「自主性過尊重タイプ」
→本人の得意な事だけにフォーカスし、苦手な事は周りが代わりにしたり、
本人に経験させてこなかったタイプ
■社会適応に必要→自律スキル、ソーシャルスキル
・自律スキル:適切な自己評価を持つ、できる事は確実に行う意欲がある
自分の限界を知っている
・ソーシャルスキル:社会のルールを守る意欲がある、誰かに相談できる力がある
■カルチャーが合わなければ、別のコミュニティへ
・特性が目立つかどうかは、本人の行動と所属しているコミュニティとのズレ
■周りの人へ
・理解しよう、支援しようと思い込まなくて良い
・まずは自身のメンタルの安定を第一に
・離れたって良い
・理解できないからと言って、攻撃や無視、心ない言動だけはしないで
【感想】
・当事者と関わる人向けで、付き合い方が分かりやすく例を用いて書かれている
・職場での困りごと等、ケース別に対応策が書かれている
・就労について等、特性のあるお子さんをもつ保護者にとっても為になる本である