【感想・ネタバレ】GREAT BOSS(グレートボス) ―シリコンバレー式ずけずけ言う力のレビュー

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Posted by ブクログ

 グーグルはボトムアップの企業として有名だった。若い社員が決定権を持てる企業として知られていた。グーグルでの管理職の役回りは、若手社員の邪魔をせず、手を貸すことはあっても、手や口を出しすぎないこととされていた。アップルの文化はグーグルとは正反対だと思い込んでいた。スティーブ・ジョブズが神様のようにすべてを支配し、天才的なビジョンを下々の人たちに告げ、反対など許さず、チームの尻を叩いてそのビジョンを実現させているのだと、勝手に想像していた。でも、そうではなかった。
 アップルの同僚が、スティーブと面接したときの話をしてくれた。その話はアップルの文化をよく表していた。その同僚は、スティーブに当然の質問をいくつかした。「どんなチームにしようと思ってらっしゃいますか?チームの規模はどのくらいになりますか?」スティーブはあっさりとこう答えた。「僕がその質問にすべて答えられたら、君は必要ないだろ?」。失礼と紙一重だが、勇気づけられる言葉だ。スティーブはこれと同じことをドキュメンタリー番組の中で、もう少しわかりやすく語っていた。「アップルでは、会社になにをすべきか教えてくれる人を雇う。その逆じゃなくてね」。わたしはアップルでまさにそれを経験することになった。



■「徹底的なホンネ」の関係とは何か
 信頼関係を築くことは、単純な作業ではない。「あれとこれとそれをやれば、いい関係ができる」なんてマニュアルはない。人間関係はみなそうだが、上司と部下の関係も思いがけないことが多く、絶対的なルールはない。しかし、次のふたつの姿勢を組み合わせれば、前進の助けになる。
 ひとつは「仕事上の鎧」を捨てることだ。相手を心から気にかけ、プロらしくない自分の姿を見せ、部下にもそうするように励ますことだ。上司は部下の仕事の能力だけを気にかけていては務まらない。信頼関係を築くには、あなたの人格を丸ごと動員して、部下のひとりひとり人間として気遣わなければならない。仕事だけの関係では足りない。上司と部下の関係は、私的な関係だ。親密な人と人との関係だ。この姿勢が、「心から気にかけること」だ。
 もうひとつは、部下の仕事がお粗末な時、正直にそう伝えることだ。またタイミングよく伝える努力が必要だ。たとえば部下が希望した仕事に就けない時や、部下の上に新しい上司を雇い入れる時。部下が力を入れている仕事の結果が期待外れで、追加投資ができない時。上司は、厳しい評価を伝え、チームの中で誰にどの仕事を割り振るかを冷静に判断し、高い成果を要求しなければならない。だけど、そんなことは管理職として当然の仕事では?いやいや、これができる人はなかなかいないのだ。部下を批判すれば相手はたいていムカつくし、最初は批判するといい関係が築ける気がしない。それに、部下を「心から気にかけて」ないように見える。しかし、ダメなことをはっきりダメと告げるのが、上司としての思いやりを示す一番いい方法だ。この姿勢こそ、「言いにくいことをズバリと言うこと」である。
「徹底的なホンネ」の関係は、相手を「心から気にかけ」ながら、「言いにくいことをズバリと言う」時に生まれる。ホンネをズバリと言うことで、信頼が築かれ、コミュニケーションが生まれ、狙った結果が出るようになる。また、「徹底的なホンネ」の関係は、管理職の心の奥にある恐れを減らすことができる。
 部下が上司を信頼し、上司が自分を気にかけてくれていると信じられると、次の5つのいいことが起きやすくなる。
1)部下は上司からの褒め言葉も批判も受け入れて、行動するようになる。
2)上司は部下にどこがうまくいっているかを教え、ダメな点も正直に教えられるようになる。
3)部下同士の間にホンネの関係が伝染し、無駄な努力と失敗を何度も繰り返さなくなる。
4)チームにおける自分の役割を理解し、受け入れるようになる。
5)結果に目を向けるようになる。


 グーグルでわたしを指導してくれたフレッド・コフマンは、「プロらしくあれ」という刷り込みに反対して、こう唱えていた。「あなたの全人格を職場に持ち込みなさい」。このコフマンの言葉はインターネットであっという間に拡散された。ググってみれば800件を超える検索結果が表示される。シェリル・サンドバーグは2012年のハーバードの卒業スピーチでこの言葉に触れ、作家のマイク・ロビンズは2016年のTEDトークで、この言葉だけに焦点を当てて語り、スラックCEOのスチュワート・バターフィールドはこれを社是にした。
「全人格を職場に持ち込め」と言われても、具体的にはどうしていいのかわからないかもしれない。たとえば、上司が部下に自分の弱い部分を見せたり、嫌なことがあったらそれを打ち明けたりするといい。部下に自分の内側を晒しているうちに、「全人格を持ち込む」という感覚が掴めてくる。上司がお手本を見せると、部下たちも安心して同じことができるようになり、いい環境ができてくる。

 中でもとりわけ、「面と向かってズバリと言う」のは難しい。特にはじめはそうだ。上司になれば、部下の仕事を批判したり、配置を変えたりしながら、同時にその部下たちと信頼関係を構築していかなければならない。部下との関係の構築法について、この本ではかなりの部分を割いている。でも、一番大変なのはそこではない。信頼関係を築く上でなにより難しいのは、部下の方からあなたに対して言いにくいことをズバリと言ってもらうことだ。あなたと同じくらい、部下にも率直になってもらわなければならない。上司のあなたが動転したり怒りを感じたりするくらいにビシバシと、部下にあなたを叩いてもらう必要がある。上司であるあなたが、それに慣れなければならない。とりわけ、「俺についてこい」タイプのリーダーには、慣れが必要になる。だが、それを続けていれば、自分について多くを学べるし、人が自分をどう見ているかを深く知ることができる。その知見があなたとチームをよりよい結果に導くことは間違いない。

 わたしが南部育ちだったことは日本人の視点を理解するのに役立った。どちらの文化もマナーを大切にし、人前で相手に反論しないことに重きを置いていた。そこで、東京のチームには「丁重にしつこく頼み続ける」ように励ました。丁重であることが、彼らにとっては「心から気にかける」ことを示す方法だった。そして、本社のプロダクト部門の指示に異を唱えるには、しつこく頼み続けることが一番手慣れたやり方だった。
 結果もついてきた。東京チームは粘り強かったばかりか、絶え間なく声を上げ続けた。その丁重なしつこさのおかげで、新しいプロダクトが生まれた。それが、モバイル向けアドセンスだ。

■「徹底的なホンネ」のフレームワーク
心から相手を気にかける×言いにくいことをズバリと言う
第一象限:徹底的なホンネ
第二象限:イヤミな攻撃
第三象限:摩擦の回避
第四象限:過剰な配慮


自分を批判してもらうことからはじめる。相手を批判するのはあと
「徹底的なホンネ」を出せる文化を築くには、まず最初に部下から自分を批判してもらう方がいい。その理由はいくつかある。第1に、批判を歓迎することで、あなた自身もよく間違えるということを自覚していることや、間違っていたら教えてほしいと思っていること、反対意見を歓迎していることを周囲に示すことができる。次に、自分自身について多くを学ぶことができる。部下は誰よりも上司をよく観察している。批判してもらうことで、わたしがラリーに送ったような、浅はかなメールを出さずに済むかもしれない。3番目に、批判されるとどんな気持ちになるかがわかる。すると、部下があなたの批判をどう受け止めるかを、以前より理解できるようになる。最後に、批判してほしいと頼むことで、信頼が生まれ人間関係が強まる。
 上司がただ心が広いだけでは、部下からホンネの批判を引き出すことはできない。積極的に批判を求めてほしい。部下が勇気を振り絞ってあなたを批判したら、その批判に文句をつけてはいけない。誰かが不当に批判されている場合、それに反論するのはいい。だが、上司は自分が不当に批判されていると思っても、じっくりと耳を傾けて相手が本当に何を言いたいのかを理解しようと努めてほしい。そして相手の率直さに報いてほしい。また、自分への批判を引き出すのと同じくらい、部下同士の批判を励ますことも大切だ。


 アップルのあるリーダーは、チームメンバーの夢を異なる種類に分け、その種類によって役割を振り分けていた。チームを一体に保つためには、ロックスターとスーパースターのどちらも必要だと彼女は言っていた。ロックスターは岩のように安定した存在で、自分の仕事を愛している。今の仕事を天職だと感じ、自分の職人芸が活かせないような仕事には移りたくないと思っている。アーティストがみんな画廊のオーナーになりたいわけではない。実際、ほとんど のアーティストは画廊など経営したくない。ロックスターに敬意を払い、その働きに報いれば、 彼らは誰よりも信頼できる人材になるだろう。そんな職人を昇進させて、望んでもいない役割や合わない仕事に就けでもしたら、彼らは辞めてしまう。最悪な場合は、クビにしなくてはな らなくなる。スーパースターはその逆で、つねに挑戦を求め、新しい成長機会を求めている。ロックスターかスーパースターかを見分けるには、あなた自身の価値観や目標を脇に置き、メンバーに求めることをいったん忘れて、ひとりひとりを人間としてよく知ることに力を注がなければならない。それは、部下の夢や大志を知ることだ。
 ここで、高速成長路線しか見えていなかった上司の話をしよう。わたしのことだ。わたしは メンバー全員が高い志を持つべきだと思っていた。だが、アップルに移って、自分が間違っていたことに気がついた。わたしは、大きな成果を上げるチームを作るには、メンバー全員を超高速で成長させることが一番いい方法だと長いこと思っていた。誰よりも賢く、大胆で、向上心の高い人材をいつも探していた。社会に出てから最初の20年間は、次の大きな仕事を求めていない人間がいるなんて、まったく思いもしなかった。「アップルでリーダーになること」の講座を開発した時、はじめは、チームで最も上昇志向の強いメンバーに、上司のほとんどのリソースと注意を割くこ とを勧めていた。でもそれは、チームの中で同じ仕事を続けたがっている優秀なメンバーにとっては迷惑な話だ。そんな職人的な人材こそ、強いチームの支柱だったのに。しかも皮肉なことに、その頃ちょうど、私自身が職人的な存在になっていた。


高速成長路線
・変化の触媒
・野心がある
・新しいチャンスがある
・「スーパースター」
安定成長路線
・安定的な力
・仕事以外の夢がある、または、今の仕事に満足している
・今の役割に深い充実を感じる
・「ロックスター」


■やり遂げ(GSD)サイクル
聞く→はっきりさせる→議論する→決める→説得する→実行する→学ぶ→

「聞く」
静かな人に声を与えよう
 アップルの最高デザイン責任者、ジョニー・アイブはアップル大学の講義でこう言っていた。管理職の一番大切な仕事は「静かな人に声を与えることだ」と。これはわたしのお気に入りの言葉だ。グーグル元CEOのエリック・シュミットは正反対の姿勢で臨んでいる。シュミット社員に「もっと声を上げろ!」とハッパをかける。これもわたしのお気に入りだ。どちらのリーダーも、やり方は違うが全員が意見を言える環境を作るという点では一致する。あなたもそれを目標にすべきだが、やり方はひとつではない。あなた流のやり方を見つけて、メンバーがお互いに耳を傾け合う文化を創り、あなただけにすべての負担がかからないようにしてほしい。

上司の仕事① 静かに耳を傾ける
上司の仕事② うるさく聞く
上司の仕事③ 聞く文化をつ作る

「はっきりさせる」
選択し、消去し、強調することではじめて、物事の本当の意味が見えてくる
上司の仕事はアイデアの創造ではなく編集
上司の仕事① アイデアを育む場所や仕組みを作る
上司の仕事② アイデアがはっきりとわかりやすく伝わるよう助ける
 ビジネススクール時代、ある教授がフランクリン・ルーズベルト大統領と経済学者のジョン・メイナード・ケインズとの会合の話をしてくれた。ルーズベルト大統領は猛烈に忙しい中で、ケインズと1時間以上も話し込んでいた。大統領がケインズ経済学をきちんと理解していたら、大恐慌はもっと早く終わっていたし、人々はあれほど苦しまなくて済んだという説もある。いずれにしろ、その会合の終わりになっても、大統領は納得していなかった。
 教授はわたしたちにこう訊ねた。「誰の責任だろう?理解できない大統領が悪いのか、それとも上手く説明できないケインズが悪いのか?」。それは、わたしの人生が教育によって変わった一瞬だった。わたしはそれまで、理解できない聞き手が悪いと思っていた。説明する側には責任はない、と思っていたのだ。でもその時、ケインズの才能が彼の頭の中だけにしまわれていたら、ケインズ経済学はこの世に存在しなかったかもしれないことに気づいた。ケインズが当たり前だと思うアイデアを、同じくらいはっきりと大統領に知らしめるのは、ケインズの役目だった。だがケインズにはそれができなかった。わたしたちは、自分の言っていること相手が理解できないと、相手が「バカだから」とか「心が狭いから」だと思ってしまう。でもたいていはそうじゃない。わたしたちは、自分が話したいことについてはよく知っているが、話を伝える相手のことは知らないものだ。だからアイデアを伝えるのに失敗してしまう。
 時間を割いて、話す相手のことを理解すれば、もっと正確に話が伝わるはずだ。相手は何を知っていて、何を知らないのか?どこまで具体的に話せば相手が理解しやすくなるのか?何を言わない方がいいのか?
 部下の話を理解するのは、あなたの責任だ。つまり、しっかりと聞くのがあなたの仕事だ。伝える責任を部下に負わせてはいけない。でも、部下が周囲にアイデアを説明する場合には、相手が同僚であれ、他部署の人間であれ、経営陣であれ、その部下がわかりやすく説明できるように、上司のあなたが助けてほしい。誰にでもその主張がすぐに理解できるように、またアイデアを正確にはっきりと伝えられるように、部下を導いてほしい。

「議論する」
石ころもアイデアも研磨機にかければ磨かれる
エゴを捨て、アイデアに的を絞る
反論を義務にする
疲れたら休む
冗談を交えて、議論を楽しむ
議論の終わりを決める
議論に飽きて結論に飛びつくのはやめよう

「決める」
エゴを脇に置き、事実を基に決定する
上司は決定者ではない
上司の仕事① 意見ではなく事実を集める
上司の仕事② 洞窟を探検する

「説得する」
アリストテレス『弁論術』に学ぶ「感情、信頼、論理」
感情ー話し手ではなく聞き手の感情が大事
信頼ー深い知識と謙虚さを見せる
論理ー宿題を見せる

「実行する」
限りある時間を有効に使う
チームの時間を無駄にしない
自分も現場の実務を続ける
 …現場から遠く離れると、仕事がわからなくなってメンバーのアイデアをはっきりさせる助けも、議論に参加することも、どの決定がいいのかも、上手な説得のし方を教えることもできなくなる。
実行の時間を確保する

「失敗から学ぶ」
頑固さは狭い心の表れである
原因① 「ブレないこと」へのプレッシャー
原因② 打ちのめされて、学ぶどころではない


「批判はふたりきりの時に」という鉄則は、上司には当てはまらない
 ギルト・グループ前CEOのミッシェル・ペルソは人前で批判してもらうことの利点を教えてくれた。ニューヨーク・タイムズのインタビューでは、こう語っていた。「360度評価とは少し違うやり方をしてるんです。経営陣がお互いに評価し合うんですが、まずわたしから切り出します。「ここはわたしが得意な点で、ここは上手くできてない点」。全社員の前でこう言うこともあります。「この部分を助けてほしい」。そうすれば、ほかの人たちも打ち明けやすくなるし、信頼も築けます」
 わたしの場合は、チームの中でわたしを批判してくれる人を見つけて、チームミーティングや全社会議の際にみんなの前でその人にわたしを批判してもらうように頼んでいた。批判してくれと頼むとはじめはみんな嫌がった。「批判はふたりきりの時」という鉄則が頭にあるからだ。しかし、そのルールは上司には当てはまらない。人前で部下に批判してもらうように頼むことで、あなたが本心から純粋に批判を求めていることをチームに示すことができる。また、チーム全体に模範を示すことができる。「誰もが批判をありがたく受け入れるべきだ。それが仕事の質を上げる」と伝えることになる。チームの規模が大きいほど、人前での批判を上手に受け入れることが大きな影響を持つ。

■謙虚になるためのテクニック
「状況・行動・影響」に絞って伝える
 エグゼクティブ研修会社のセンター・フォー・クリエイティブ・リーダーシップが開発した「状況・行動・影響」というテクニックがある。リーダーが傲慢にならず、より正確にフィードバックを与えることを助けるためのテクニックだ。
 このテクニックで確認するのは次の3つのポイントだ。
1) あなたが見た状況
2)その人が取ったいい行動、または悪い行動
3) あなたが見た、その行動の影響
 これらの点に集中することで、その人の知性や常識や善意やそのほかの生まれ持った性格から意識を逸らすことができる。思い込みで判断を下すと、フィードバックが傲慢に聞こえてしまう。
 日常生活の例を挙げてみよう。駐車スペースを横取りされた時、「ふざけんな!」と怒鳴るかわりに「さっきから5分もここが空くのを待ってたんです。そこにあなたが割り込んできて、スペースを取ったんですが。わたしの方はもう遅刻しそうなんです」と言えば、相手はこう返すかもしれない。「あぁ、ごめんなさい。気がつかなくて。今動かしますね」。もちろん、相手がまったく耳も貸さず「うるせぇ」と言う可能性もある。そうしたら、堂々と「ふざけんな!」と叫べばいい。



部下の良き伴走者になろう
放任上司/伴走者/マイクロ マネジャー
手も口も出さない・耳も貸さない/手と耳は動かすが 口は出さない/手と口を出し、 耳を貸さない
好奇心がない・ 知りたがらない/好奇心に満ちている・もっと突っ込んで知る 必要がある・タイミングをわかっている/好奇心に欠ける・何でも 知っているふりをする
耳を貸さない・ 何も言わない/耳を傾ける・理由を聞く/人の話を聞かない・ 命令する
詳細を怖がる/重要な詳細について訊ねる/詳細に気を取られすぎる
チームのことが 何もわからない/ハンズオンなのでチーム のことがわかっている/プレゼン、 報告、アップ デートの資料を作らせる
目標を設定しない/みんなを目標設定に導く/勝手に目標を掲げる
問題に気づかない/問題に耳を貸す・問題を予測する・解決策をブレインストームする/問題をよくよく理解せずに解き方を指示する
地雷に躓いて周囲を巻き添えにする/障害を取り除き爆発を防ぐ/部下に障害を取り除くよう・状況を緩和するよう言い つけるが、自分は安全な場所から見ている
質問も答えもわからない/自分が知っていることを共有する・知らない時は聞く/知ったかぶりをする
文脈がわかっていない/重要な文脈を共有する/情報を独り占めする


 効果的なスタッフミーティングの目的は3つ。前週に起きた重要なことを見直し、進捗を共有し、そして次週の大切な意思決定と議論をはっきりとチームに表明すること。それだけだ。ここは議論の場でも意思決定の場でもない。あなたの仕事は、議題を決め、そのことだけにメンバーを集中させ、だらだらと話し続けたり議題から逸れたら、本題に引き戻すことだ。

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2023年06月04日

Posted by ブクログ

真に人を導き成長させるのは「徹底的なホンネ(ラディカル・キャンダー)」であり、それをチーム・組織に行き渡らせることができるのは他ならぬ「上司」であるということが臨場感のある実体験をもって語られる。

面白いのが、「こうすればうまくいく」という単一の方法を提示するのではなく、組織の文化やコンテクストによってもアプローチは変わってくるということを明示している点だ。
これはGoogleとAppleという両極端な会社を経験している筆者だからこそ、説得力が生まれている。

本書中にもあるように、私達が済む日本では「徹底的なホンネ」で語る場をつくることは決して簡単ではない。けれども、目指す価値のある場であることは間違いない。

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2022年01月25日

Posted by ブクログ

職場にはスーパースターもいればロックスターもいる。どちらかに寄せる必要はないが、環境や状況によって趣向が変わる可能性も考慮すべき。
チーム作りには、徹底的な本音が大切、フィードバックはすぐに行い、時間を必ず守ることも重要。
無駄な予定を防ぐには、各人がチーム公開のスケジュールに1人の予定、考える時間、仮の予定もいれることが大切。

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2020年02月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

率直で具体的。ビジネス書に”面白かった”という感想はなじまないが読み物としても十分面白い。生き生きした人柄が伝わる訳文にも好感を持った。
自分はこれまで”それぞれが内心でどう思っててもいいし相手さえ選べば陰口言うのもあり。大人として表向きの職場の円満さをみんなで維持することが大事”という考え方であり、その考えが急に変わることはないが(仕事がアドミニだからかもしれない)、組織運営について異なるアプローチのヒントをもらった。実践はかなり難しいけど・・・
アップルとグーグルの社風の違いは興味深かった。

P11 「ロックスター」とはしっかりと地に足がついていて、チームのみんなが頼りにできる岩(ロック)のように安定した存在という意味だ。【中略】その一方で、どんどん上を目指す、同じ仕事を1年もしていると気が狂いそうになるメンバーを「スーパースター」と呼んでいた。

P46 どうして「徹底的(ラディカル)」でなければならないのか?それは、わたしたちが本心を言わないことに慣れきっているからだ。【中略】しかし上司が対立を避けると悲惨なことになる。どうして「ホンネ(キャンダー)」なのか?チームメンバーがお互いにズバリと言い合えるような文化を作るには、全員が批判に慣れなければならない。【中略】し「正直さ(オネスティ)」ではなく「ホンネ(キャンダー)」という言葉を選んだのは、自分が正しいという思い込みが謙虚ではないからだ。

P52 優越感ほど信頼関係を損なうものはない。

P52 「心から気にかける」ということは、誕生日を覚えたり家族の名前を覚えたりすることではない。私生活のこまごました秘密を打ち明けることでもなければ生きたくない集まりに参加して無理におしゃべりをすることでもない。当たり前のことを実行することだ。それはつまり、部下の仕事以外の人生と夢を認めることだ。お互いにとって何が大切かを知ることだ。【中略】それでも、部下を気にかけるだけでは上司の役割は全うできない。部下を心の底から気にかけながら、それと同時に、嫌われる覚悟を持たなければならない。上司は時に孤独で、気持ちが部下に伝わらないと感じるものだ。でもそれでいい。あなたがパンチを受け止められれば、チームメンバーが部下を持った時いい上司になれる可能性は高まる。

P58 「徹底的なホンネ」と言ってもなんにでもケチをつけていいということではない。本当に大切な相手にだけ、「徹底的なホンネ」を使ってほしい。【中略】「徹底的なホンネ」は愚痴ではない。ストレス発散にはなるかもしれないが仲間を知るのに一番効率のいいやり方でもない。あなたが彼らを心から気にかけていることも示せない。

P92 誰かをほめるときは、誰が何をして、なぜそれがすごいのかをよく調べてからほめろ」

P102 自分が正しいかどうかより、正しい答えにたどり着くことを気にかけている人は、最高の上司になれる。

P116 高速成長の人に安定成長の仕事をさせない。逆もしかり。
P117 ほとんどの人はキャリアと人生を通して高速成長と安定成長の時期を行ったり来たりする。

P120 大聖堂の再建を率いた建築家のクリストファー・レンと3人のれんが職人の逸話)一番参考になったのは、レンが仕事の目的を考えだしたり、みんなの頭にすり込んだりしなかった点だ。レンが職人はそれぞれ違うことを気にかけながら、同時に同じことのために働いていた。レンの役割は、職人の話を聞き、聞いたことをしっかりと心にとどめ、全員がそれぞれに意義を見つけられる環境を作ることだった。

P189 (ジョブスが子供のころの石ころを磨く研磨機の逸話)チームの議論を経ると、アイデアも人もさらに美しくなる、とスティーブはのちに語っている。結果を見れば、摩擦や騒音には十分に価値がある。上司としてのあなたの仕事は「石ころ研磨機」のスイッチを入れることだ。スイッチを切ることが上司の仕事だと思っている人が多すぎる。

P209 メンバーを導きながら実務を続けるべきだ。現場から遠く離れると、仕事がわからなくなってメンバーのアイデアをはっきりさせる助けも議論に参加することも、どの決定がいいのかも、上手な説得の仕方を教えることもできなくなる。

P209 スケジュール帳に会議などの誰かと一緒に行うタスクだけが書き込まれる。すると実行の時間が取れなくなってしまう。マネジメントの仕事の一つは、計画を実行する時間がなくならないようにすることだ。

P231 価値観を共有する必要はない - 「全人格を仕事に持ち込む」ことを訴えている私が、価値観を書き出してもらうことに反対なのはどうしてだろう?大切なのは自分の価値観に忠実であることだし、それをチームの管理に生かすことだ。「勤勉」とか「正直さ」とか「イノベーション」なんて紙に書かなくてもいい。価値観を実践すればいい。

P258 正確なフィードバックを与えることを助けるテクニック
1)あなたが見た状況
2)その人が取ったいい行動、または悪い行動
3)あなたが見た、その行動の影響
これらの点に集中することで、その人の知性や常識や善意やそのほかの生まれ持った性格から意識をそらすことができる。

P302
心から相手のことを気にかける - でも自己犠牲はいらない
強きを助け弱きをくじくのは間違っている。でも逆が正しいとは限らない(上司にはなぜか攻撃的になることに気を付ける)
男性を見限らない - (無意識の偏見を持つ)相手を見限っても問題の解決にはならない。相手が理解するまでずっと言いにくいことをズバリと言い続け、心から相手を気にかけ続けるしかない。

P319 (中抜きミーティングのやり方)部下の了承を得る。上司の成長を助ける目的であることを徹底確認する。全員についてできないのならやらないほうがいい。ミーティングの残りが8分になったら参加者全員にメモを見てもらう。

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2020年01月24日

Posted by ブクログ

英語で読んでみたい。
シェリル・サンドバーグのエピソード、彼女から著者へのアドバイスが的確で有効だったようなので、次はシェリルの本を読んでみようと思います。
この本は三年たったらまた読んでみよう!

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2021年02月14日

購入済み

GREAT BOSS-シリコン

徹底的な本音で言い合うことができる信頼関係の構築することが信頼されるリーダーになる上での条件であると謳っているが、どんなときでも言いたいことを言うのではなく、仲間に対して徹底的に本音を言い合うことが最も重要で大切であるということがポイント。リーダーとしてのフレームワークを、徹底的な本音、嫌味な攻撃、過剰な配慮、摩擦の回避の四つのマトリクスで考える。ズボンのチャック空いてますよと言うくらいの気持ちで、本音を伝えきることから始め、次に「聞く、ハッキリさせる、議論する、決定する、説得する、実行する、学ぶ」のサイクルの習慣づけを行い、部下と信頼関係強化に繋げたい。

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2020年01月07日

Posted by ブクログ

成長志向の人と、安定志向の人は両方組織に必要でちゃんとそれぞれ評価しないとダメ。人生の中では成長志向の時期と安定志向の時期の両方ある。
ってのが一番印象に残ったかな。

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2019年08月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

著者はキム・スコット氏。アドセンス、ユーチューブ等でチームを率いた後、アップル大学の教員に。現在はツイッー等のアドバイザーを務める。タイトルに惹かれて購入。

感想。
この本のテーマ「徹底的なホンネ」は好き。同じ組織で、同じ組織目標に向かうんだから、価値観の違いはあれど、分かり合える部分が大半だと信じている。
422ページあるが、前半200ページで満足。後半のツールやテクニックはよくわからない。


備忘録。
・上司の権力の源は、権力ではなく、強い信頼関係であるべき。
・信頼関係を築くには、撤退的なホンネの関係を作るのが良い(本書のテーマ)。
・その為には、仕事上の鎧を脱ぎ捨て、相手を心から気にかけ、プロらしくない自分の姿を見せ、部下にもそうするように励ますこと。

・部下の仕事がお粗末な時、正直にそう伝える。部下を批判すれば相手はたいていムカつくが、ソコこそ勝負。相手を心から気にかけて、言いにくいことをズバリ言う。
・「批判」ではなく、「ホンネ」だ。

・優越感ほど信頼関係を損なうものはない。部下よりも自分の方が優秀だとか、賢いとか感じている態度をちらつかせると部下はついてこない。
・部下の仕事以外の人生と夢を認めること。互いにとって何が大切なのかを知ること。
・上司は時に孤独だ。我慢しよう。そのうち花開く。

・怒りや傷つくことを恐れていては最高の関係は生まれない。チームメンバーがあなたに対して激怒することもあり得ることを受け止めよ。

・一番犯しがちな過ちが、過剰な配慮。良かれと思っての優しい他当たり方は、最終的に不幸。

・「はっきり伝えて、理由を説明し、本来の軌道に戻す」「相手の能力を信じていることを伝えなながら、解釈の余地を残さないように指摘する」byジョブズ。

・高速成長の人にはチャレンジングな仕事を。安定成長な人にはそのスピードにあった仕事を。
・全く仕事が出来ず、どこに問題があるかは明らかなのに、改善の兆しが見えない社員もいるだろう。その社員には、まずは徹底的なホンネで向き合い、チームへの悪影響有無を確認し、セカンドオピニオンに意見を求め、先延ばしせずに辞めてもらう。

・上司は喜んで自分の過ちを認めよう。自分が正しいかどうかは関係ない。組織が正しい道を最短で歩むことが大切。

・静かな人に声を与える。
・部下に「私が何をしたら、何をやめたら、もっと働きやすくなる?」と聞く。
・意見ではなくて、事実を集める。
・ベビーシッターか精神分析医になった気がすると愚痴りたい時、「それがマネジメントだ!」と思いなさい。

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2019年06月23日

Posted by ブクログ

シェリルサンドバーグかっこよすぎだろ…。
タイトルや前書きは挑発的な感じも受けたが、内容は実例を豊富に交えた真面目な本。「心から相手を思いやる」×「言いにくいことを言う」の2軸4象限でコミュニケーションを可視化することが重要。

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2019年04月04日

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