【感想・ネタバレ】シメールのレビュー

あらすじ

満開の桜の下、大学教授の片桐は精霊と見紛う少年に出会う。その美を手に入れたいと願う彼の心は、やがて少年の家族を壊してゆき――。逃れ得ぬ陶酔と悲痛な狂気が織りなす、極上のゴシック・サスペンス。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かったです。
幻を求めた為に、ひとつの家族を壊してしまうお話。
主人公のひとりである美術家の片桐が、もう一人の主人公の美しい少年・翔へ向ける、崇拝と所有欲は狂気じみていました。
翔には双子の兄・聖がいるようですが、巧みな描写でラスト付近までどちらが生きているのかわからずでした。家族は、生きているのは聖だと思い、でも本人は、自分は翔だと答える。この辺りで、翔も少しずつ壊れていっていたのかなと思いました。
こちらでも、テレヴィ・ゲームが出てきました。でも面白そうなRPGです。
人々は転落していき、悲劇的な結末を迎えるのも好きでした。片桐はひとり、空洞を抱えて生きていくのかな。それとも、生を失った翔を本当に飾るのか…片桐ならやりかねない、と思いました。
うっとりする世界でした。「ナジャ」や「さかしま」を読みたくなり、「詩人とミューズの結婚」は検索しました。綺麗な光の画でした。

0
2020年02月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

登場人物全員が大切な人のために尽くしていたが、その裏で犠牲が生まれていた。

ゴシックサスペンスは馴染みがなかったので、表紙からは内容を想像できなかった。読み終えてやっと意味がわかった気がする。
ラストの展開が衝撃的だった。

0
2023年12月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

子どもの親に対する健気な行動、成長と共に新たな生活も含め、親に対する考え方の変化。それでも、子どもは、どうすることもできず、親が選択したものについていかなければならないという葛藤、現実。
目の届く範囲にいれば、愚痴も嫉妬も羨望も憐れみも強くなる。そしてお互いが相手をどう思っているか、いたのか浮き彫りになり、強く意識するようになる。
一人の少年と出会ってしまってからの、男の酔い方。花を愛でるように、手の届かない神をみるように陶酔し、畏れ、悶える。
シメールをシメールのままにしていれば、この男が行動を起こしたことで、ひとつの家族が、崩壊してしまう話。
最初はうまく回っていたかのような歯車も徐々におかしな方向に流れていく。

物語だけでなく、芸術、小説、絵画も知れる作品。

0
2022年06月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

あぁ美しい・・・この破滅美をどう伝えれば良いのだろう。

河出文庫様、『罪深き緑の夏』に続き『シメール』の復刊をありがとうございます♪

『この闇と光』で服部まゆみ先生の美しい世界に魅せられ、手に入った作品を読み漁っているけれど、毎回その期待を裏切られることはなく安心する。


作品紹介
満開の桜の下、大学教授の片桐は精霊と見紛う少年に出会う。その美を手に入れたいと願う彼の心は、やがて少年と少年のの家族を壊してゆき――。陶酔と悲痛な狂気が織りなす、極上のゴシック・サスペンス。(河出書房)


本作にサスペンスの要素はあまりないと思う。様々なことがわりと早い段階で種明かしをされていくし、トリックのようなものもない。

でも、だからこその、片桐と少年とその家族との薄氷越しの会話や行動が読み手の心を掴んでいくのだと思う。
片桐は紳士的でありながらも、究極の「美」を求めるその心と行動が、「美」そのものである少年を癒し、そして追い詰めてゆく。

片桐も、少年の家族もみんな少年を愛しているのに、薄氷の向こうにいる少年にはその愛が届かない。そしてその氷は解けることなく割れる。

その突然の幕引きに暫し思考が停止した。。。

ああそうか、という思いに至るまでにかなりの時間を要した。
そうだね。うん。やっぱり美しいね・・・。

0
2019年11月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『この闇と光』がとても面白く好みだったのでこちらも読んでみようと購入。
世界観がやっぱり好きで楽しめたけど、主人公の実の両親を他の大人に比べて明らかに愚かに書きすぎなのがいちいち気になってしまいもやもやした。
もちろん対比させた上で画家さんも問題のある人なのだからあえてなのはわかるけど。
作者の他作品からもそれは感じてたので、なぜ実両親をこんな人物にするんた?という疑問が最期まで付きまとってしまった。
本当に美しい世界観なんだけど、最後のページで一気にまとめる感じなのも少し残念に感じた。
子の未来を守ろうとした英子は怖いけど素晴らしいと感じた。

0
2025年10月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

わたしには結構重かった…お父さんの気持ちを考えると辛すぎる。そして母のために兄を演じるしかなかった主人公も…
決して、片桐さんはヒールではない。それだけに結末はさらに重い。

0
2020年08月22日

「小説」ランキング