あらすじ
百歳を超えた今でも筆をとり、制作に励む孤高の美術家、篠田桃紅。その墨を使った独特の作品は、世界中から注目されている。「人の成熟はだんだん衰えていくところにあるのかもしれない」「人生、やり尽くすことはできない。いつもなにかを残している」。老境に入ってもなお、若さに媚びず現役を貫く、その強い姿勢から紡がれる珠玉のエッセイ集。
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Posted by ブクログ
「読み終わった」で登録するところを「いま読んでる」に登録していたことに気がついたので、あらためてこのレビューを書いている。
その間、2021年3月1日に、著者の篠田桃紅氏は107歳でお亡くなりになった。出勤時の車の中、ラジオのニュースで聞いたのを覚えている。
私は著者の半分も生きてはいないが、東京より変化の遅い田舎で育ったこともあってか、昔の人の生活や考え方には、懐かしいと思うところもあった。一方で、もちろん、知らないこと、よい意味で世代間ギャップを感じるところも多く、日本の文化の変遷や日常生活を考える上での刺激となった。
同じシリーズの「一〇三歳になってわかったこと」「一〇五歳、死ねないのも困るのよ」と同じく、読み終わると父に贈った。私より世代が近い分、共感するところも多いようだった。
その父も、奇しくも篠田氏の亡くなった3日後に他界。もうすぐ一周忌である。
全く個人的な話だが、そうした思い出も含め、忘れられない本である。