あらすじ
ゴー・ストップの得点に絡み、相手の癖、サイン、能力を見極め、10番目の選手でもありサインを送る監督代行でも。また時にその存在を超え、士気を鼓舞する。ここが野球を制する!ノンフィクション。
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Posted by ブクログ
早速、三塁側で観戦した際に三塁コーチに注目。テレビだとあまり映らないので興味深く観察。野球を楽しむ視点が増えた。(森脇さんはかなり完璧主義な印象を受けた。)
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サードコーチって言うと浮かぶのは伊原と高代よね。森脇なぁ、守備コーチ、ノック職人のイメージはあったけど。
で、森脇の章で津田にページ割きすぎ。確かにオッさんは津田恒美の4文字を見るだけで涙腺ゆるむねんけどな…
回す方が簡単ってのは深いよね。回したらアウト/セーフいずれにせよ答え出るけど、止めたらそれが正解かどうかは永久にわからんからな。
Posted by ブクログ
三塁ベースコーチは攻撃時の「監督代行」と言われる。監督の作戦を走者や打者に正確に伝え、走者の後ろに飛んだ打球はすべて三塁ベースコーチが責任を持ち、相手投手のクセを見抜き、傾向を捉え、守備陣形を見て「常に」「最良の判断」を「瞬時」にやってのけねばならない。キャッチャーのブロックをかいくぐり間一髪セーフとなれば走者の手柄となり、憤死となれば「壊れた信号機」と揶揄され、非難の矢面に立たされる。
実に労多く報われない仕事である。
重責に耐えかねノイローゼになる人もいるという。
「勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし」の言葉は、ひとつのアウトセーフにも宿る。明らかな判断ミスでも野手の球が逸れ、セーフとなり幸運がおとずれることもあるが、概ね判断ミスは命取りとなる。そんな苦汁を舐め、判断する怖さ、難しさを知った者だけが名三塁コーチャーと呼ばれる。
本書には、牧野茂・ブレイザー・上田利治・土屋弘光・大熊忠義・伊原春樹・高代延博・辻発彦・森脇浩二…の稀代の三塁コーチが登場する。「(コーチャーズボックスを指差し)あそこに◯◯がおる」と畏怖の念の眼差しを向けられた御仁であるが、かつてはしくじり先生でもあったのだ。失敗を糧にするというのは、ある意味では能力かもしれない。
メンバーを総覧して思うのは、圧倒的にパリーグ出身者である。その源流は70年代、南海にドン・ブレイザーが、入団したことに端を発する。ブレイザーは「シンキングベースボール(現在のスモールベースボールの原点)」をチームに注入する。
パリーグはとかく豪快野球と見られがちだが、実際は集積したデータから投手のクセを見抜き、守備では打球方向の傾向から大胆なシフトを敷くといったインテリジェンスな野球を行なっていた。これを遂行する上で、戦術と判断力に秀でた三塁ベースコーチは不可欠であった。余談だけど、今や当たり前のクイックモーションも、福本の足を封じるためにノムさんが編み出したもの。
著者は「三塁ベースコーチの存在と役割」について、プロ野球界から始まりアマチュア野球界、大リーグまで取材範囲を広げていく。高校野球でも甲子園常連校では三塁ベースコーチの養成に余念がなく、メジャーリーグでは三塁ベースコーチは次期監督候補が務めるポジションとまで言われるほど「専門職」と見なされている。このあたり、かつてV9時代のジャイアンツが取り入れた「ドジャース戦法」を生んだ国だけのことはある。
「ギリギリの本塁突入の根拠をつかみ、士気を鼓舞する。スモールベースボール時代の選手兼監督代行、攻める三塁コーチが近代野球を制す!」という、本書カバーの紹介文に我が意を得て、一気読みしてしまった異色のプロ野球ノンフィクション。
Posted by ブクログ
大事な試合ほど一点の重みが違う。スモールベースボール時代の10人目の選手兼監督代行である三塁コーチが近代野球を制する。希代の名コーチャー列伝で知る野球の奥義。
野球という競技は相手より一点でも多く得点したほうが勝ちである。いくらヒット量産しても得点しなければ意味がない。そして何故かシビアな試合ほどホームベースが遠い。野球に詳しくなればなるほど、三塁ベースコーチの重要性が分かってくる。そんなコアな野球ファンを満足させるノンフィクション。