あらすじ
シモの世話、食欲低下に緊急搬送――元祖「食堂のおばちゃん」作家、ただいま要介護2の母を老老介護中! DV猫3匹にも振り回されつつ、笑いと愛情たっぷりの“朗朗”介護な毎日を綴った、新感覚“ガス抜き”エッセイ。 〈著者紹介〉山口恵以子(やまぐちえいこ)1958年東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。会社勤めのかたわら松竹シナリオ研究所で学び、ドラマの脚本のプロットを多数手掛ける。その後、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務しながら小説の執筆に取り組み、2007年に『邪剣始末』でデビュー。2013年、『月下上海』で第20回松本清張賞を受賞。14年に食堂を退職して専業作家に。著作に『食堂のおばちゃん』シリーズ(ハルキ文庫)、『食堂メッシタ』(角川春樹事務所)、『毒母ですが、なにか』(新潮社)、『工場のおばちゃん あしたの朝子』(実業之日本社文庫)などがある。
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Posted by ブクログ
恵以子さんの「食堂のおばちゃん」シリーズは愛読している。
出演された“くりいむクイズ”も観ました。
しかし、その陰で高齢のお母さまを在宅介護されていたとは!
自分も高齢の母親を持っているので、他の人はどうなのか、ましてや好きな作家さんの一人なので、気になって手に取りました。
「おばちゃん街道」を読んでいたので、自伝的部分は重なっていましたが、介護のお話は初めて読みました。
しかし、これは介護の愚痴を書いた本ではありません。
恵以子さんは、お母さんが大好き。
それは、お母さん側の、愛される性格にもあるようですが、何といっても一番は「相性がいい」ことが重要らしいです。
親子でも相性が悪ければ、距離を置いた方が、お互い幸せ。
それを見極めるのが大切。
11歳年上のお兄さん(独身)が大黒柱で、実年齢よりも精神肉体ともに若く、ずっと頼りにしてきたお母さん。
母親が急激に老い、兄も病を得て、恵以子さんは、家族を支える責任の重さとしては一番下の、気楽な立場から、どんどん順番が上がって、トップに立つことになります。
還暦にして、親離れ、成長の記録と言ってもいいかもしれません。
介護がだんだん大変になっていくこと、お母さまの老いがどんどん進んでいくこと、でも、恵以子さんは、あの世とこの世に分かれても、ずっと二人三脚で行きたいと書かれています。
お母さまに捧げる最高の一冊になったのではないかと思います。