あらすじ
やりくり上手の妻に先立たれ、失意の日々を過ごしていたランタン氏。妻が遺したイミテーションの宝石類を店に持って行ったところ、じつは……(「宝石」)。叔母の莫大な遺産相続の条件である子どもになかなか恵まれず焦る親子と夫婦を描く「遺産」。妻がじつは自分の友人と結婚直後から愛人関係にあり、溺愛する一人息子の出生にまで疑念を抱かせるという仕打ちに衝撃をうける「パラン氏」ほか3編を収録。
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Posted by ブクログ
『男と女の不都合な真実:騙し合う人たち』
人のズルさ、人の汚い面を、淡々と描いた6編の中・短編集。『遺産』や『悪魔』では、人はお金のためなら、ここまでやるか! と、人の心理の本質を垣間見た気がする。結末がどうだったのか、明示せずに読者に委ねられていて、余韻を楽しめた。
Posted by ブクログ
コツコツ光文社古典新訳文庫シリーズでござい
今回はモーパッサンの中・短編集
あー、レビューを書き始めるまではフランス文学などにはこの先も縁がないであろう輩たちのために、一番長い中編の『遺産』のあらすじやらなにやら書こうと思っていたのだが、いざ書き始めたらやはりめんどくさいのでやめる、笑う
なんていうかね、人間の愚かしさみたいなんが内包されていたような気がしないでもない
そして、当時のパリで流行ってたんかい!ってくらいハッキリとした結末を書かずに終わる作品が多い
どっちにも取れる
後はお任せしますスタイル
この後主人公は幸せになったのかそれとも不幸せになったのか?おい、筋肉どっちなんだい?
それはなかやまきんに君スタイル
そして国木田独歩が読みたくなる
もちろん独歩はムズいので気のせいということにして読まない
Posted by ブクログ
2024/03/27 13:10
まぁ、古典なのだからやはり名作なのだろう。6篇収められている短編のうち、中編と言ってもいいくらいの長さのものが二つあり、それらは主人公のどうしようもない不甲斐なさのようなものが感じられて、途中読むのが嫌になったくらいなのだが、延々付き合ううちに、何というか底知れない人間力のようなものを感じて、やるなあフランス人!
Posted by ブクログ
モーパッサンによる、約150年前の短編、中編小説集。どれもとても興味深く読めたが、特に「遺産」と「パラン氏」がよかった。遺産は、夫婦と、それを取り巻く人間たちがめまくるしく変わっていくところに楽しさを感じ、落とし所がとても気になって一気に読んでしまう。一方、パラン氏の方は大きな変化はないがやはり結末がとても気になる展開。主人公の丁寧な心理描写によりより主観的に読めるからかもしれない。短編だが「難破船」も心惹かれる。手紙を受け取るところからの始まり方もいいですね。
古い小説に共通するが、本書もその時代をあじわうことが出来て良い読書時間を過ごせました。
Posted by ブクログ
古典と任命されたら、例え理解できなくとも面白くなくとも、味わえないお前が駄目なんだ、黙って読め、もしくは読み直せ、とばかりの変なしがらみが自分にはある。しかしこの本は本当に素晴らしく話が面白くて、読み終えるのに怒りすら感じる。解説で、初めてわが国に紹介したのが明治の落語家だという。その点からしても、単純に話自体が面白くて、作家ぎ無駄に個性を作り出す必要などは感じられない。人間ってのは楽しいばっかでなく、むしろ苦悩を感じることが知的と呼ばれることなんどすかねえ。
Posted by ブクログ
面白かった!!
基本的に全ての登場人物がドタバタあくせくしていて、語り手は離れたところからそれを見ていて客観的に語っている。その落差が、別にふざけているわけではないのにコミカルさやユーモアを生んでいて面白い。
19世紀フランス下級官吏の心情にも共感できるのが、文学のいいところでありモーパッサンのすごいところだと思う。