あらすじ
なぜ、金融バブルは繰り返されるのか。17世紀オランダで起きたチューリップバブルから、1929年の世界大恐慌、さらには1980年代末の日本のバブルに至るまで、古今東西で起きた「熱狂」とその崩壊過程を描く。バブルを希求する人間の本質と、資本主義経済の根幹に迫った名著がついに復活!
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Posted by ブクログ
星6個ぐらいつけたい、良質な一冊と思います。
金融、特に金融資産の販売や運用に関わる人には、特に読んでほしい良書だと思います。
金融に関する記憶は極度に短い、せいぜい20年しか続かない、とのこと、確かになぁと思います。なぜならリーマンショックから20年も経ってませんが、すでに忘れ去られようとししていると感じているからです。
てこ=借金(負債)であり、革新的に見える金融商品も例外なしに全て、既成のやり方を少し変えてみただけのもの、というのも確かに!と思います。第三世界の債務が問題になるのも新しい現象ではない。
とにかく、金融関係者には特に必読の書です。
Posted by ブクログ
金融の歴史、特にバブルについて書かれている本を探しているなかで購入しました。この手の本の中ではとてもコンパクトに収まっており、バブルの発生する際の特徴、バブル崩壊前後の経緯が概観できる良書です。「歴史の教訓を知らない人は、過去の歴史を繰り返すように運命づけられている。」この言葉が、そっくり金融業界にあてはまっています(だからこそ、バブルと崩壊を何度も繰り返している)。個人的には星6つでもいいと思います。投資に興味ある人は絶対に読んでおくべき書だと強く感じました。
Posted by ブクログ
これまでに何度も起きてきたバブルの発生とその崩壊までを詳細に追う。「自信過剰」「過剰レバレッジ」「新奇さ」など、様々なバブルにはそれに共通する点があり、今になって思えばサブプライムバブルにもばっちり当てはまる。前回のバブル崩壊の痛手が人々の記憶から消え去り、再びバブルが起こるまでには通常20年が必要とのことなので2030年位に再び読み返せるようにしたい。
Posted by ブクログ
1929年の金融市場崩壊を描いた『大暴落 1929』が日経BPクラシックで再刊されて売れているカルブレイスさんによる、過去に発生したバブルとその崩壊の物語をまとめた小品です。日本語版は土地神話がまだ生きていた1991年に書かれたものですが、やがて来る日本の土地バブル崩壊にしっかり警告を出しています。
序文から。「以上に述べたことは、アメリカにおける当期と、それが日本を含む世界に影響を与えずにはおかないということである。私が見るところでは、アメリカ人は格別に投機痴呆症にかかりやすい心理を持っており、今述べたような報いを受ける度合いもまた大きい。... アメリカ人というのは、自分たちが成功して金持ちになるのは神の意図であり、神は自分たちに特別の金融的洞察を賦与されたのだ、と信じる傾向が殊のほか大きい。そしてこの洞察力に従って金を投資し、結局はとんでもない破局に至るのだ」... 今ではなく、20年ほど前に書かれた言葉です。その間に、日本のバブルが崩壊し、テレコムバブルの崩壊もあったのに、変われないものなんですね。
「暴落の前には金融の天才がいる」と繰り返し、「投機の世界はささやきによってではなく大音響によって終末を迎える」との断定は、まるで今回の危機を見てきたかのようです。
楽観と過信の後に来る焦燥と達観。"歴史は繰り返す、いつも新しい意匠を携えて"、ということなんでしょうね。だからといって倹しく生きよということにはならないんでしょうが。
Posted by ブクログ
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陶酔的熱病は繰り返し起こる現象であり、それにとりつかれた個人、企業、経済界全体を危険にさらすものだ。のみならず、予防の働きをする規制は明らかな形では全く存在しないのであって、個人的、公的な警戒心を強く持つこと以外に予防策はあり得ないのである。
あらゆる人は、最も幸福なときに最も騙されやすいものだ。
最低の良識を持ち続ける上で何よりも大切な自己反省ということを怠りがちになる。
「私は物体の運動を測定することはできるが、人間の愚行を測定することはできない」ニュートン
金融史において確実に繰り返し見られるところの金融上の記憶の病理的な弱さ。
唯一の矯正策は高度の懐疑主義である。