【感想・ネタバレ】中国人のこころ 「ことば」からみる思考と感覚のレビュー

あらすじ

日本人「あなたたちは、いま何時だかわかっているのか!?」 中国人「……夜の2時半です」。日本人バスガイドさん「皆さま、お疲れ様でした」 中国人観光客「いえ、私は別に疲れていません……」。「噛み合わない」やり取りは、今日もまたどこかの日本人と中国人との間で交わされているに違いない。それではなぜ、こうした誤解やすれ違いが生じてしまうことになるのだろうか? その答えのカギは、日本語と中国語のそれぞれの「ことば」がもつ特質と、それぞれの発想法の違いにあるのだという。本書は、30年以上にわたり中国語を研究してきた著者が「言語」を切り口にして、日本との比較を行いながら中国人に特有の思考様式や価値観について分析・紹介した、思わず笑える知識が満載のユーモア溢れる言語文化論である。グローバル化が進み、中国人との日々の接点が増えている現代日本人にとって、必読の一冊だ。【目次】序章 「ことば」は人を造り、人を現す/第1章 対話における反応──聞き手はどう対応しているか?/第2章 人間関係とコミュニケーション──「挨拶」について考える/第3章 中国語の伝達機能と受信感覚──「意味」による呪縛/第4章 中国人の価値観──現実世界の認識と行動の規範/第5章 言語システムに侵食する思考と感覚──法則の背景に存在するもの/あとがき──「ことば」は「思惟・感覚」を支配する

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Posted by ブクログ

タイトルに惹かれて読みました。内容はサブタイトル「『ことば』からみる思考と感覚」が、いかに日本人と中国人とで異なるかということについて、豊富な文例を用いて説明されています。一言でいうと日本人「形式的・建前・言わなくても分かる・依存性(甘え)」vs中国人「現実主義・字義どおり・ハッキリ伝える・自己本位、自分で考え自分で判断する・臨機応変」ということかなと受け止めました。その背景も「(中国人は)他力を頼まず、抽象的なことには重きを置かず、自分自身で実際に確認した事態や眼前に存在する事物を重視する認識と思考は、広大な国土の中にあって、何度か支配する民族の交代を経験しながら分裂と統一とを繰り返してきたこの国の歴史と深く関係しているとも言える。」p216とのことで、とてもよく理解できました。中国語学習者必読の一冊です!

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2025年04月19日

Posted by ブクログ

中国人の、現実主義に根差す形あるものを重視する傾向、現場での自己判断でのルール変更も辞さない現場主義は、文法や語用論などの、言語にも反映している。
この本の趣旨はこんな感じであろうか。

中国人は大きいもの、派手なものが好き、ブランド好きなどんp、よく言われる傾向を裏書きする内容だと言うべきか。
るいはそういった、ある種の先入観を実証する事例を集めて、ステレオタイプ的な理解を強化しているというべきか。

ただ、それでも、面白かった。
スポーツの実況中継で、日本では選手の内面を推測したコメントや評価をするのに対し、中国では見たままのプレーの描写だけで構成されるということ。
数字の語呂合わせは、台湾では若干見られるものの、中国ではほとんどない、とか。
主題化構文は中国語にもあるが、日本ほど自由に使わない。特に対格を主題化する頻度が少ないとか。
やっぱり語学的な情報について、中国語をかじったことのある人間にとっては面白いと思うのだ。
一足飛びに文化論に持ち込まなくても、十分に面白いのに。

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2019年07月21日

Posted by ブクログ

中国語のレッスンで中国人の先生とのやりとりであれ?と感じる小さな違和感、
即興の会話練習や作文でいつも「それは日本人の発想の答え方ですね。中国人はそういう考え方をしないです。」と言われること、
その度に文法や発音ができるだけでなく、相手の国の考え方、国民性、文化的思考、そういうことももっと知りたいし理解したいと思ってまいました。
中国語を勉強しているけれど、まだ中国には行ったことがなくて、中国語的感覚がつかめない、そんな私にぴったりの本でした。

しっくりくるあいづちがわからずもやもやしていたり、中国の人との距離感、気をつかうべきところとそうでないところのポイント、そんなところが少しすっきりしました。

思考と感覚。
どんどん実感してつかんでいきたいです。

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2024年03月13日

Posted by ブクログ

中国では見た目が一番大事で、見た目に現れず、日本人がよく重要だという精神性には関心が無いというが、この本は2018年に書かれているので、90年生まれ以降の中国の若者は精神性なことに興味をもっているのかもしれない。中国人で一括りにせず、同じ30年でも経済発展が著しい国の人を見るときにはその人のバックグラウンドを鑑みて接したり想像することが、滞りのない交流や思考のためには必要なことだと思った。

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2022年11月05日

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