あらすじ
なぜ人には詩が必要なのか? 国民的詩人・茨木のり子が遺した素朴な詩は、なぜ日本人の心に響くのか? 「詩」を感じることができれば、言葉は人生を支える糧となる。詩と出会う大切さを知ることで、自分を励ますための言葉が見つかる一冊。
はじめに──これから詩を書こうとする君たちへ
第1講 詩とは何か
第2講 感受性とは何か
第3講 生きるとは何か
第4講 言葉とは何か
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
若松英輔さんが東京の豊島岡女子学園中学校を訪れた授業。
詩の読み方が変わる授業です。
テキストは茨木のり子さんの詩。
若松さんは私たちにも詩を書いてみようと勧めています。
・書きさえすれば詩との関係はすぐによくなる。
・詩を読んで詩を書く。書いたらまた読む。それを繰り返す。そしてできるなら詩をめぐって信頼できる人と、たくさん話をするとよい。
・詩を書くことは「答え」を探すことではなく「問い」を見出すこと。必要なのは「答え」ではなく「応え」「手応え」のような実感。
・本当の「問い」と出会うことができればその「問い」がみなさんを人生の深みへと導いてくれる。
・困難はさまざまな思索と工夫を私たちに求めてくる。そこに真の創造性が宿る。詩を深く味わうための近道は詩を書くこと。
・詩を書くことには真剣に真摯に書くことが求められる。誰かに褒められようと思って書くと、本当に必要な言葉に出会うことができない。
・心でつむがれた詩には必ず、今日の一語がある。今日しか見つけることのできない言葉。この今日の一語を見つけることが詩を読むということ。
私に詩が書けるとは全く思えないけれど、この授業を受けた生徒たちは皆「詩を書いてみたい」と感想を綴っています。私も詩という形でなくとも何らかの形で「問い」を探すために書いてみないとこの本を読んだ意味はないかもしれないと思いました。
若松英輔さんが生徒の感想に宛てた詩より一篇を抜粋。
「黄金の手紙」
目で 文字を追うのではなく
こころで コトバを読む
そのとき 詩は
彼方の世界から送られた
黄金の手紙になる
Posted by ブクログ
詩とは何か、感受性とは何か、生きるとは何か、言葉とは何か。茨木のり子の詩と向き合いながら、若松さんがそれらの問いに彼の言葉で応えようとする。だから響く。中学校の生徒を前にしての講義を文章化したもので、読み手にも語りかけるような優しい言葉たち。読みやすいが内容は深い。巻末には生徒たちの感想。真摯で飾らない言葉にホッとする。その一つ一つに若松さんから詩が贈られていて、とても素敵なテキストでした。
Posted by ブクログ
思わず手帳を開いて五行詩を書いてみました。自分との対話、言葉にならない言葉を読み取る心耳、心眼という言葉も印象に残りました。茨木のり子さんは元々好きな詩人ですが、若松さんは、違った角度での捉え方をたくさん示してくださりより深く理解できました。
Posted by ブクログ
中学生対象の読書の学校を本に纏めてあるものだが、対象年齢は、限定されるものではなく、詩とは何か、生きるとは何かを問う、深淵なる自己との旅を応援してくれる一冊でした。
若松秀輔さんの人生観は、自分の中に1番良い先生が眠っている、必要な言葉は自分の中にあるというもので、中学生、読者に、コトバ、詩を読み書く事で、自分と向き合うことを提案されていました。
生きることに誠実になり、より深く自分と向き合うことに、詩が助けになるよ、ということで、読み終わると言葉を紡ぎたくなります。
Posted by ブクログ
自分の人生を支えていく言葉を、どこからか見つけるだけでなく、自分で手作りしてもよいのだなという発見があった。気恥ずかしいと思いつつも詩を書き始めたくなる。誰に見せるわけでもなく自分のために。
Posted by ブクログ
とても面白かった!普段話したり聞いたりがほとんどで、読むことや書くことは他人とのLINEや仕事でのメールやチャットでしかできていない。仕事は関係なく自分自身について向き合う際に、他人や自分と話す、聞く、読む、書くことについて、それぞれに特徴があってどれも大切だと感じた。詩について知りたいなと安易な気持ちで読み始めたが、意図せず、コミュニケーション全体について深く考えるきっかけとなった。また、言葉以外の非言語コミュニケーションについても触れていて、本当に大切なことだと感じた。茨木のり子さん、岩崎航さんという素敵な詩人を知ったので、機会を見つけて詩集を読めたらいいなと思った。
Posted by ブクログ
タイトルになっている茨木のり子の
詩が大好きで読んだが、
これは、茨木のり子の詩を題材に
詩というものが人にとって
どういう存在かを語る、入門書。
ラストの生徒の乾燥に触発された
一連の詩が特に素晴らしい。
思わず手帳に書き留めた。
Posted by ブクログ
詩を書くことは、内なる自分と向き合い、コトバを紡いでいくことなのだと教わった。
誰かに褒められようと薄っぺらい言葉を選ぶのではなく、生きる意味を深く深く問い、真摯に書くことの大切さを教わった。
昔出会った茨木のり子さんに、出会い直せた一冊。
Posted by ブクログ
■メインテーマ
詩を感じることができれば、言葉が人生を支える糧となる理由とは?
■著者の主張
生きるとは何かという人生の根本にある問いを見つけるのに必要な自分の感受性を磨いてくれるのが詩である。
■感想
普段わたしたちは、自分のうちに秘めた生きるとは何かという人生の問いを追うことはせず、どう生きるかばかりを生活の中から一生懸命掴みとろうとする。生活の中で身につけた学歴、地位、財産、権力などの鎧を作ることばかり追ってしまっている。