あらすじ
アレルギーを起こすほど卵好き、お便所に三回落ちたなど、「トットちゃんより変わっていた」伝説のロシア語会議通訳、米原万里。プラハでの少女時代を共に過ごした三歳年下の妹が、名エッセイの舞台裏やさまざまな武勇伝の真相を明かす。「旅行者の朝食」「ハルヴァ」など食をめぐる美味しい話と秘蔵写真満載! 解説・福岡伸一
【目次】
卵が大好き
米原家の大食い伝説
プラハの黒パン
クネードリキ
ソビエト学校のキャンプ
赤いエリートの避暑地
父の料理、母の料理
大好きな写真
米原万里が詩人だったころ
職業は「踊り子」
きれいな一重まぶた
飲まない万里のまっ茶な真実
毛深い家族
わたしは料理の道へ
いつも本を読んでいた
「旅行者の朝食」
あとがき
文庫版のためのあとがき
解説 福岡伸一
文庫版のための付録、その1、その2
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
タイトルの通り、姉である米原万里を妹の視点から書き下ろした本書。
米原家のルーツや家族・親族の話。妹のユリさんから見た米原万里の姿が新鮮。
米原万里の関連図書を紐解くと、いかに米原万里がお父さん子だったか、また、妹思いであったかが分かる。
父・昶さんに対してはありったけの愛情を持っているのが文章から伝わるが、母・美智子さんに対しては少し斜に構えているような少し辛口の書きっぷりだ。妹・ユリさんのことは溺愛している。
本書を見て理解した、最愛のお父さんが美しいお母さんにゾッコンだったからなのだ。
本書に掲載された若い頃の万里の写真には本人により修正が加えられているものがある。眼を二重にしてみたり、ウエスト部分を黒く塗りつぶしてみたり。
眼を二重に描き添えたのは母上が二重で彫りの深い美女だったから、父が絶賛した母のような顔立ちに憧れたのではあるまいか?
もちろん母・美智子さんは顔だけが取り柄の女性では無い。通訳者・米原万里の原点となるような、何カ国語をも操る才媛である。
きっと母は米原万里にとって終生のライバルだったのではないだろうか。理想の男性である父上のような男を惚れさせた女性として。だから、母・美智子さんに対しては、自著では少し辛口だったのかも?
いつも自然体でおおらかに生きているように見えていた米原万里だが、そんな彼女もコンプレックスや理想を追い求めた可愛らしい女性だった一面を妹ユリさんが淡々とあばいてゆく。
少女時代の多感な時期をチェコスロバキアのプラハという異国での過酷な数年を共に過ごした米原万里とユリさんは、ただの姉妹ではなく文字通り同志(タバーリシチ)
であった。
同志ユリの描く、素顔の米原万里に出会える一冊である。
Posted by ブクログ
妹から見た米原万里。妹は井上ひさし夫人。当然ながら、井上ひさしは15歳年下の万里を「お姉さん」と呼ぶ。なんとなく可笑しい。
小学生の頃、プラハのソビエト学校での踊りの授業。教師は老齢のオリガ・モリソヴナ。「おしゃれで、化粧が濃くて、口が悪くて、足がきれい」だったという。まるで万里そのものではないか。その影響で、帰国後も踊りは続けた。そしてそれらの体験は小説『オリガ・モリソヴナの反語法』として結実することになる。
家の建築にも興味をもち、訪れた家の間取りを帰宅後よく描いていたらしい。建築家を夢見たこともあった。後年、その関心や知識は、鎌倉の自宅「ペレストロイカ御殿」に生かされたという。
同時通訳者やエッセイストとしての米原万里は最高至極だが、舞踏家や建築家としての道もあったのかと思うとおもしろい。
Posted by ブクログ
米原万里さん、改めて惜しい人を亡くしたなと思いました。ご存命であれば、今のウクライナ情勢をどう語っただろうか、『同志少女よ敵を撃て』なんかにもどんな書評を書いただろうか、と思ってしまいます。友里さんの文章も素敵です。
Posted by ブクログ
井上ユリさんの視点からの、姉、米原万里さんの話。
家族として姉妹としての関係性の中で語られる米原万里さんの話は、面白くておかしくて眩しくて優しい。
米原万里さんが文春の書評でガンの治療本を取り上げた経緯が書かれてあったのだが、諸々納得した思いだった。
家族のことを書くことに葛藤があったのではないかと思ったが、書いてくださってありがとうございますという気持ちになった。
Posted by ブクログ
題名が示す通り、米原万里の妹さんが書かれたもの。
プラハの子供時代から、残念ながら2006年に亡くなられるまでの米原万里のエピソードが満載で、私のような米原万里ファンにとっては、読んでいてとても興味深い本である。
そればかりではなく、米原家というひとつの家族の物語としても読めるものであり、米原万里をあまり知らなくても、1冊の本としても普通に面白く読めるものだ。
米原万里はとてもユニークな人であったようであるが、本書の作者、妹の井上ユリさんも面白い人だ。北大卒業後、教師を2年やった後、調理師学校に入学し、料理の勉強を始める。その後、イタリアで料理修業し、帰国後、自宅でイタリア料理教室を運営すると同時に料理に関する本も著す。故井上ひさしさんの奥様でもある。
妹ではあるが、本書を読む限りにおいては、お姉さまよりも落ち着きがあり、姉・米原万里を冷静に見て、それを我々米原万里ファンに伝えてくれている。
Posted by ブクログ
『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』が大好きだったのに、万里さんの著作で読んだのはその1冊きり。10年以上前に56歳という若さでお亡くなりになっていたことも、妹のユリさんが井上ひさし氏と結婚されていたことも知りませんでした。
万里さんがたぶん自覚はなく相当におもしろい人であったのはもちろん、彼女のご両親も強烈。でも愛情に溢れていたことが感じられて、在りし日を想像しながら穏やかな気持ちになれます。汲み取り式の便所に何度も落ちたところは思い浮かべたくありませんけれども(笑)。
料理研究家のユリさんが書いているから、万里さんと食べた料理やお菓子の話がとても美味しそう。私もカツ丼が食べたくなるだろうかと、椎名誠の本をさっそく買いました。
幸せな読書の時間。