あらすじ
カント哲学の専門家であり、闘う哲学者と言われる著者の日々、ひたすら思考する。
「私が存在するとはいかなることなのか」「善悪とは何であるのか」「私は死後どうなるのか」と自らに問う。
デカルトの「これらの問いをまったく発しない人は稀であろう。では、それにもかかわらず、なぜほとんどの私は思惟する、よって私は存在する」という命題に疑問を持ち、『純粋理性批判』などのカントの著作をもとに答えを見つけようとする。
問い続けることは苦しみだが、それが哲学することだという。
「このすべてを認めた上で、それでも問い続ける人がいる。
その内の多くは、岩のような問いをほんの僅かでも自力で熔解していくことが無性に楽しいからである。
究極的真理には達しなくとも、真理に一ミリメートルでも近づくことが他の何にも換えがたい喜びだからである。」という言葉に、哲学者としての著者の実像がある。
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Posted by ブクログ
06~07年にかけて文學界で連載された、氏の日記風思考記録。
死とは、無とは、私/他者とは、時間/今とは…etc
デカルトやカント、サルトルやその周辺の先行研究を踏まえつつ、論が進んでいく。
うーん…基底となる知識・教養や物事を論理的に追っていく力が無いと、難しかったなー
けど面白かった。
絶対なんて絶対ない、という相対は絶対じゃないのか、
「私は嘘つきです」という私は嘘つきなのか嘘つきでないのか、
私が死んだ後も世界は有ることをどうやって証明すれば良いのか、
なぜ常に「今」なのか、過去は有ると言えるのか。
…こういう議題が好きな方には、内容的はオススメです。
そんなの考えて何になるん?とかえー考えるとか意味わからんだるーみたい方には、全力でお勧めしません。
裏表紙の「最終的境地への予感」について予想すると、
死が怖い
←私が居なくなる/世界が無くなる/過去が無くなるから
←最初から、私も世界も過去も無かったんじゃね?
(仮にあったとしても、それらの存在に意味はない)
⇒別に死なんて怖くないじゃーん!
・・ていう話じゃないのかなぁ、と思ったのですが、でもそれってあんまり今更な話でワンダーがないですね
だからたぶん違うんだろう・笑
それにしてもこういう退廃的でNO FUTUREな生き方には憧れます
いや、「死」を見つめるという点では最高にTOWARD FUTUREな生き方なのかもしれません