あらすじ
その日、クラスでいじめられていた女子高校生・津田楓に、意味不明の数字の羅列が書かれたメールが送られてきた。それは、アドレスを変えても送られてくる気味の悪いメールだった。噂ではそれを受け取った人が次々と自殺を遂げているという。気にしつつも、その日は同級生で親友の希美と一緒に帰る日だったため、待ち合わせの場所に急ぐ楓。目的の場所にたどりつこうとしたとき、こともあろうに希美が校舎の屋上から飛び降りる瞬間を目撃してしまう。悲鳴混じりの人垣の向こう、地面に血を流して倒れる希美の側には、例のメール画面が表示された携帯電話が落ちていた……。大人気、「禁止」シリーズ著者のデビュー作!
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Posted by ブクログ
「そのメールを受け取った人間は自殺する」
と噂される謎のメール。
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とある女子高生に届いたそのメールは、いじめられている彼女にとって、嫌がらせの延長に思われた。
しかし、親友の自殺を皮切りに物語は動き出す。死体の手には携帯、その画面にはあのメールが表示されていた。
過去に世界で行われた実験「死者との交信の記録」を間に挟みながら、様々な登場人物の視点で物語は進み、テレビディレクターの岡崎零子が主人公となって謎に迫っていく。そして、エーテルと霊体を結びつける降霊機、そのシステムに辿り着くという話。
過去の実験はフィクションだが、死者との交信の記録を読んでいて、世界には無謀だと思えるような、記録にも残らない研究が数多くあって、今は当たり前の様な事でも、証明されるまでは雲を掴むような仮説から始まって、その中の数少ない成功が今の常識を作っているんだと感じた。
ただ、死後の世界みたいな荒唐無稽な話は、脳で考えてる思考を魂と勘違いした人が、死んだ人の魂はどうなるの?とかありもしない謎の疑問を抱くのと同じ事で、特に本作のような現代のSF系にそのテーマは少し滑稽に思えた。しかし、あとがきで作者の処女作を改題改訂したものだと説明してあったので納得。
作者の「出版禁止」は好きなので、次回作に期待したい。
Posted by ブクログ
放送禁止シリーズの著者、長江俊和さんの小説処女作。
放送禁止シリーズから入った私としては、人間の腹黒さ、トリッキーな仕掛けを期待して最後まで読んでいたが、終始ホラーであり、SFの内容のまま幕を閉じたので、勝手ながら少々がっかりしてしまった。(放送禁止シリーズと謳ってないので当然だが)
小説の内容としては、「死」をテーマとして人間の本音や、恨み嫉みの描写がされていた。人間の弱い部分を巧みに書き上げる力は、読者を惹きつけ離さない。
トリックは勿論、人間の弱さを追求している点がファンを増加させている要因だと思う。
今後も新作が出ることを楽しみに待っている。