【感想・ネタバレ】ダイバーシティ(豊かな個性は価値創出の泉)―生きる力を学ぶ物語のレビュー

あらすじ

ダイバーシティ(多様性)の尊重が、社会にとっていかに価値あるものかを、二つの寓話を通して描く。人がよりよい社会をつくり、よりよく生きるためのヒントにあふれたユニークな1冊。
★電子版オリジナル付録として、著者による講演録「ダイバーシティとダイバーシティ-性別によらず多様な個人が生き生きと生きられる社会とは」を収録!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトルの通り、ダイバーシティについてファンタジーと大学での議論との二部構成から深い考察と示唆を与えてくれる一冊。
様々な社会科学や論理学の内容がちりばめられていて、なおおもしろい。
名著である。
<メモ>
・人は自分がひとりぼっちになることを恐れて、自分のことしか考えなくなるから、かえってひとりぼっちになる。
・囚人のジレンマにおいての戦略の一つ「寛容さの合理性」。裏切りを繰り返し許すことが、相手に罪の意識を起こさせるもの。
・アメリカの大学のリベラルアートでは、思考の自由と批評的精神の涵養が大切。
・日本のモラルは恩返し。アメリカは契約の順守?
・アメリカでは頼み込むような形ではなく、一人の人間として、重々しく子供に注意する。取るべき行動とその理由を説明する。日本では下手をすると、うちに変えるまで我慢。などと、場の違いにより許されるような、先延ばしのような言い方をしてしまうことがしばしばある。自分が恥ずかしいではなく、人さまに迷惑をかけることの恥を教える。そして、人様に役立つことの徳を教えること。そんなことするなんて嫌い!みたいな起こり方をすると、嫌われるといやという感受性のみが育成されかねない。
・子供や若者の間で物質主義と自尊心の間に負の関係がある。
 すなわち、自尊心が低いものは物質主義的になり、自尊心が高いほど物質的になりにくい。
自尊心の低さは向上心の低さやあきらめに結びつきやすい。
子供に物を与え、塾に通わせる一方で家族の手伝いや親子ともにするスポーツや遊びを通じて子供を誉め、認め、自信を与えてやること。
家族内で何か役割を果たすことで、家族で認められ、ほめられる。
それを通じて、責任感や肯定的意識が育まれる。
・お互いが共通のモラルで行動しても、文化が違い、言葉や態度の意味を正確に理解できないと、誤解が生じ、信頼関係は生まれない。これは人々の多文化理解が進めばかなり克服できる。価値観や文化が違っていても、一貫性のある人間であれば、信用につながる。
一方共通のモラルが薄れ、態度に一貫性がなく、説明責任を果たさずに、いると信頼はなくなる。

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2013年10月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「6つボタンのミナとカズの魔法使い」についてのレヴューです
ミナという生い立ちに欠落をかかえるがゆえに、孤独を思春期から抱える少女の短めのビルドゥングロマン(実際には童話に近い)。

僕自身、ゲイだったので思春期に似たような悩み・孤独を感じたことがあったので、けっこう感情移入しながら読みました。

なぜ自分(だけ)は他の人と違うのか?そしてその違いをネガティブなものとされてしまうのか?

だんだん、僕個人もコミュニケーションにおけるそんな感覚がうざくて、コミュニケーション自体から撤退するという作戦をとるようになっていました。孤独というのは本当に当時楽だった。ただし、楽しかった訳じゃない。ミナのように僕も、思春期に「自分は孤独が好きだ」と思っていました。今から思えば無意識に楽しそうに無邪気に戯れている同級生に、すっぱい葡萄的な自己正当化をしていた気もします。さらに、その態度が孤独の中に安住して心を開かなかった自分に対して、回りも「一緒にやれへん?」「お前も来いや」的な言葉をかけづらかったような気もします。この辺は気づいて欲しい「被害者意識」の強いセクマイが多い気がする


ある程度自分の(ゲイとしての)アイデンティティがしっかりしてきたここ何年か、ようやく自分も友達との戯れを楽しみたいという欲望に素直になれてきました。ここまでこじらせてたのは自分がミナより、自分の孤独の問題に向き合うことを遅らせてしまったからな気がします。

中でも僕にとっては上記の問題を物語として、説教くさくない形で説いてくれている「孤独の森」の章が一番グッと来ました。

☆5つはセクマイふくめ、孤独な思春期を送った人にはぜひ読んで欲しいと感じたから。社会学的なテーマを物語に折り込んでいる点は現代のドラマツルギーとして面白いと思った。そんなドラマを見たいと思った

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2012年08月29日

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