【感想・ネタバレ】甲子園、連れていきます! 横浜高校野球部 食堂物語のレビュー

あらすじ

創部から71年を数える横浜高校野球部は、甲子園で通算51勝、春3度、夏2度の優勝を果たした。輩出したプロ野球選手は61人! この名門校の強さを培ってきたものは、名将と呼ばれた前監督の渡辺元智氏が自ら「食」にあると言う。グランドで活躍する選手もいれば縁の下の部員もいる。本書は血の滲む練習に明け暮れる球児たちを「厨房」から支え続けた、その寮母と素顔の球児たちとの食堂物語。部活に励む中高生とその両親必見の書だ!

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Posted by ブクログ

甲子園の季節に読みたい。横浜高校野球部、監督の娘さんの寮母さんの体験を追った感動作。

筆者は渡辺元美さん。高校野球マニアなら横浜高校と渡辺元でピンとくるだろう。あの渡辺元智氏の娘さんが筆者である。

一部の選手だけ監督の家で預かるスタイルの頃、筆者の物心ついた頃から野球部のお兄ちゃんが家に同居している環境。時に娘さんにもケツバットの体罰もあったという体育会系の家族。いつしか預かる選手が増えて、背番号を与えられる20人のメンバーだけが入れる寮の寮母となる。

寮母さんの壮絶な毎日。
毎食100枚の食器を洗い、一日40合の米を研ぐ日々というから驚き。
育ち盛りで運動量が多い選手の食事は大変である。

とはいえ、バランスを考えた食事を考えると、どうしてもバランスは偏りがち。肉ばかりでなく野菜を少しでも摂取するためにロコモコ丼にしたり工夫は耐えない。
食事は楽しく! 食べるという字は「人」を「良」くすると書くが筆者のモットーである。

勝負師の娘として生まれ育ち教育を受けた筆者。食事を預かるばかりでなく、精神的な支援も必要。大きな試合後など特に気を遣う。甲子園出場を逃した直後(あの桐光学院の2年生松井投手(現・楽天)に県予選で負けた日)。

この日、試合が終わり、そろそろ彼らが帰ってくる時間にわたしは合宿所の玄関に立って彼らを待っていた。すでに厨房で試合結果を聞いていたわたしは、以前から試合に勝ったときは何もしないが、負けたときは選手たちを合宿所の玄関で待つようにしている。これは母からの教えでもある。

華やかなスポットライトを浴びるスター選手の影には多くの補欠選手、そして筆者のような裏方そして家族の支えがある。
このような書を読むと真の一流選手は支えてくれる方々への感謝も忘れていない。

自分も気づけば甲子園で活躍する選手たちの親の年齢。多くの選手を預かる寮母さんも、預ける両親の心配も実感できる。

本書は、多くのエピソードで、横浜高校の多くの名試合の感動を思い出させてくれるし、また他の学校も含め甲子園の選手を支える方々についても考えるきっかけを与えてくれる素晴らしい作品であると思う。

ちなみに題名は選手が寮母さんに意気込みを語った色紙の言葉からです。

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2022年07月31日

Posted by ブクログ

全国屈指の高校野球の強豪・横浜高校。

50年にわたって指導者として活躍された渡辺元智さん。

同校野球部にまだ合宿所がない頃、新婚間もない紀子さんとともに部員を自宅に住まわせて、選手をはぐくんできた。

著者の元美さんは、二人の次女。

物心ついたときには、野球部員と暮らす日々が当たり前になっていた。

大学を卒業し、就職、結婚、出産を経た著者は、「ただ、忙しいだけの母の負担を少しでも減らすことができれば」と寮母の手伝いを始める。そしていつの間にか、母の後を継ぎ、フルタイムの寮母になっていた。

毎食100枚の食器を洗い、一日40合の米を研ぐ日々。

食事作りに追われるだけの日々から一念発起。
寮母をしながら、子育てをしながら、専門学校に通い、栄養士の資格を取る。

そうして、選手たちと泥まみれになって、汗まみれになって、甲子園を目指していく。

そのための大切なコミュニケーションが「食」なのだ。

強豪校とはいえ、勝つときもあれば、負けるときもある。

すべての選手が試合に出られるわけではない。

レギュラーのサポートにまわる部員。

プロ野球に進む選手。大学で、社会人で、野球を続ける選手ばかりではない。

夢破れて合宿所にやってくるOB。

ラインで連絡を取ってくる選手。

食を通じて取り合った3年間の絆。


「人生の勝利者たれ!」

父の教えは、娘に、選手たちに、そして、孫の佳明さん(楽天イーグルス2018年ドラフト6位)に受け継がれていく。

多くの卒業生たちが、座右の銘にしている不滅の言葉だ。

そして著者は寮母を引退し、新たな道を歩みだした。

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2019年02月03日

Posted by ブクログ

2018.8.1
試合に勝った時や負けた時の選手たちのコメントでサポートしてくれた人皆のおかげとか、感謝したいとか言うけど、こういう寮生活してると余計にそのようなありがたみわ感じられますね。
今年県大会でイマイチ調子が出なかった長南くんが甲子園で活躍してくれるといいな。

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2018年08月01日

Posted by ブクログ

野球の強豪校の寮の食事、元監督の娘さんでいらっしゃる寮母さんの愛情あふれる温かいものでした
コミュニケーションて大事!!

横浜高校野球部の寮は全員ではなく選ばれた選手しか入寮できないそうなので、入寮できない多くの部員を思うと元球児の母としては切なくなってしまうのでした

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2024年02月21日

Posted by ブクログ

本文中の、「人生の勝利者たれ」に感銘を受けた。今日という日に実現できなくとも、明日には勝利を掴むことができるかもしれない。明日がだめでも明後日には…という考え方でこれから過ごそうと思った。そして、甲子園出場の背景にあるさまざまな温かいエピソードによってなのかはよくわからないが、読後うるうるしてしまった。

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2022年03月27日

Posted by ブクログ

表舞台に立つ人だけで、チームが成り立っているのではない。寮母さんである渡辺さんやマネージャーなどの裏方のサポートがあってこそチームが成り立つんだと感じた。食を通した選手とのコミュニケーション、言葉だけがすべてではないんだなぁ。

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2019年04月04日

Posted by ブクログ

高校でバレーボールに明け暮れる息子を持つ身として、著者の選手達をあたたかく見守る様子に、読んでいる途中で何度も涙が出ました
強豪校の選手だから最初から完成されてるなんてことはなく、毎日寝て起きてご飯を食べて練習して…繰り返すことで成長していくんだな
勝つこともあるし負けることもある
どんな子もみんながんばれ、大人はみんなを応援してるぞ

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2018年08月13日

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