あらすじ
演劇部のマドンナ。彼女は、男でした――。おちこぼれ部員×部一の実力派美女(?)卓越した画力で描く、Cannaが放つスーパールーキー!
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子どもの頃からスーパーヒーローに憧れている高校生・広沢大河。ビッグな俳優を目指すために入部した演劇部で、「マリア」とあだ名される美少年・有馬優に一目惚れをします。有馬を女子だと勘違いして告白した大河は、優の股間を見せつけられたうえに、「物事を表面だけしか見れないような奴」とこっぴどく振られてしまいます。しかし、優が男だと知っても「お前にち●こがはえてても! お前のことが好きだってー!」とめげることはなく……。
現実を知るのが怖くて色々なことを見て見ぬふりしてきた“薄っぺらい男”大河と、過去のトラウマから男役として舞台に上がれない“マリア様”こと優。大河は優に恋することで現実を向き合う決意をし、優は大河の成長と変化から勇気をもらい――決して完璧ではない2人がぶつかり合い、時に傷つけ合いながらも、共に成長していく物語は涙なしに読めません……。「真っ直ぐな性格の攻め✕美人だけど少しひねくれた受け」というカップリングはよく見かけますが、ここまで2人の少年の心の葛藤や成長を繊細かつドラマティックに描いた作品があったでしょうか? 何度読み返しても色んな感情で胸がいっぱいになって「これ、ほんまあかんやつ……」と涙してしまいます。
本作がデビュー作だというPEYO先生。デビュー作にしてこのクオリティ、これからの作家買い必須です!
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読み返し
作者訃報を受け、読み返しました。ストーリーもキャラの立て方も本当にうまくて、絵もリアル。何気ない描写で有馬の腕の筋肉が見えたり、男性っぽさを感じさせる。なのに動きで女性らしさを表現していて、見惚れるばかりです。内面の描写も秀逸で、セリフではなく絵とキャラの表現で、それを感じさせる技術がすごくて。クスッと笑える描写もありました。モブキャラにもしっかりと人格の肉付けがされていると感じました。
キャラを動かす事は、作者自身が演劇するのと同じ事なのかな、とこの作品を読み進めるうちに感じました。動きやセリフ、構図がとにかく自然で、漫画らしい単純な表現ではないんです。複雑で繊細で。
先生の作品がもっと見たかったです。本当に残念です。
全世界の人に読んで欲しい。
ヒーローに憧れた少年と男の子になりたかった少年の話です。ヒーローに憧れていた少年は家庭環境が少し複雑で本当は自分にとってのヒーローを探していました。すごく不器用な少年です。男の子になりたかった少年も家庭環境が複雑で両親に女の子として育てられました。ある日本当は男の子になりたいと本心を告げた人にレイプされそれからトラウマは深まるばかりです。レイプから救ってくれた人物の面影をひたすらに追いかけ、本当になりたい自分を探していました。お互いがお互いを認めようと、憧れで、ヒーローで、すれ違い、男だとか女だとか関係なく、ただお互いを性別関係なく大事にしていて本当に感動しました。
読み応えある嬉し恥ずかしラブ
2人とも主人公だよね。ぶつかりながらそれぞれの心の傷が少しずつ癒されていく過程が正統な成長物語。ハードな内容なのに深刻すぎず、笑わせながらもふざけ過ぎない匙加減が作り手の力量を感じさせて読み応え十分だった。ウブウブなこの2人のその先を早よ!続きが読みたい。続きが読みたい。続きが読みたい!!!待ってます♡
Posted by ブクログ
主人公たちは辛い家庭環境や過去の体験から高校生になった自分を守るための性格形成で葛藤している(自覚があることと無意識にしていることも)
その2人が出会うことでの化学変化がとても等身大で読んでいるこちらが自然と応援してしまう物語でした
恋が始まる2人を見れて本当に良かった
そして友達に恵まれて本当に良かった
お父さん、一人の大事な人生を支える大事な人だったんだなぁ
匿名
最高でした。BL見たことない友達にも余裕で勧めれる作品。本番後の教卓下のキスシーン悶えました。何回でも読みたいです。
一言じゃ無理
とにかく色々なことを考えさせられた作品。男とか女とかの葛藤を10代で背負う苦痛。素直で純粋培養な主人公がマリア様と融合してマリアの心が優しくなれたのなら良かったな。地味に父親との伏線もあって物語全体が面白かった。トラウマは本当にキツイしゴールは無いけど、少しはほんの少しは安堵もあった。続編で二人の今後を見たかったけど、それは叶わぬ事なのが一番辛い。
だから幸せな二人を未来で想像するけど、作者さんはどんな物語を望んでるのかな。
胸が締め付けられました
女としての姿ばかりを求められ、自分の性がわからない少年。憧れていた父が浮気症で母は病死、辛い気持ちを考えないようにしていたら薄っぺらになった少年。二人が高校演劇を通して成長し、好きあっていくお話。絵も綺麗で深かったです。
Posted by ブクログ
BLというよりは、一種のジェンダー問題に焦点を置いた作品です。
幸せな家庭に育っていたはずが両親の激しい言い合いを目の当たりにしてから、ヒロインを守れてこそヒーロー(理想の男性像)になれる・そうなりたいと意識した大河は、しかし物事の表面的な部分しか見ない癖がついた。
幼少期に母親に教育された女としての自分と、生まれ持った男としての自分の二つの心を持ち、ある出来事を機にどちらにもなれない中途半端に陥ってしまった有馬。
有馬は多分、元は普通の男児と特別変わりなかったのではないかと思います。母親が強要する『娘としての優』を根っこでは受け入れられないなりに、望まれる姿としての『女の子』を初めは頑張って演じていたのだと思います。そのうち母のみならず周囲からも好意的な反応を得る度に、自身でもそれがあるべき姿と思い込みつつ。
次第に本来の年頃の男の子として(あるいは思うままに)ヒーローへの憧れを持ったことを機に、今まで築いてきた女の子としての自分を信じ、女の子と男の子のそれぞれのあるべき姿を決める周囲との認識の差に足を取られることになった。女の子になりきれず男の子にもなれず、この時点で既に二つの心を持ってしまっていることと、世間的にどちらかでなければならないとされる風潮から『望まれるままの女の子でいるから、男の子っぽいとかではなく今ここにある自分をそのまま受け入れて欲しい』とする子どもらしくもあり、人として普通で当たり前の自我や認証欲求が満たされないことが有馬優の現実なんだと思います。女の子でいることが苦なのではなく、誰にも自分自身を受け入れられないまま女の子であることを求められることに自分を見失いかける。
そもそもどちらかでなければ、という壁にぶち当たるのはこの手の問題の根深いところですね。
女の子も男の子も差がないとかあるとかではなく、そこにある存在を否定するために『らしさ』などの言葉や表現を用いてはいけないのだと思います。
二人とも別々の角度から同じヒーローを好きになって、自分もそんなヒーローになりたくて、ヒーローなんていない……と早くに現実に打ちのめされた頃の子どもの心を持ったまま、高校の演劇部で出会いました。
だから恋愛どころか、この一冊の中でやっと他人と向き合えるようになったところなんですよね……そりゃウブです。先は長そう。
大河はあの日の父の本当の姿をいつか聞くことになるのかも知れません。今の親子関係がそこまで悪くないにしろ、ここの誤解も解ける日が来るのかと思うとより明るい先が見える気がして読後感のすっきりした一冊でした。
ホント、狂気のロリコンだけはめっちゃ怖いな……っていう。
Posted by ブクログ
ヒーローが恋をしたマリア、それは、女性として生きる事を強要された男の子でした。
「普通」とは何か?を考えさせられる、奥の深い一冊。
可愛い絵柄に反して、非常に重たいお話でした。
メイン2人とも抱えている物があり、特にマリアと呼ばれる有馬(マリアの逆になってるのが皮肉めいていて面白い)の過去は読んでいて目を背けたくなるほどに重たかったです。
なぜ、もう少し早く助けが来なかったのか…ここまで重たくする必要があったのかと思うほどです。
有馬は、トランスジェンダーなのかと思いましたが、多分、母の期待に答えることに喜びを感じていただけで、本来の彼は男の子なのだと思います。
しかし、女性として振舞っていたことで、辛い目に遭い、そのせいでトラウマから抜け出せず、男性になることも女性でいることも出来ない中途半端な人間になってしまった…。
そこへ、性別なんて関係なく自分を好きだという真っ直ぐな人間が現れます。
ヒーローに憧れ、表面でしか物事を見ることが出来ない真っ直ぐな彼。
彼もまた悲しい過去によって現実から目を背けているのですが、よく捻くれずに真っ直ぐ育ってくれたなと思います。
目の前で成長していく彼を見て、彼のようになりたいと願う有馬。
自分が嫌いな自分を、始めて丸ごと受け止めてくれる人に出会い、人は変われるのだという事を目の前で証明してくれる彼を見て、有馬の心が動いていきます…。
有馬は男なのか?女なのか?
男が男を好きになるのは普通なのか?
混乱する周りや部活のメンバーとともに、「普通」とは何か?を考えながら、一緒に答えを探っていく描き方も面白いと思いました。
悪意なく「普通」を押し付ける人間や、やり方が分からないなりにも彼に居場所を与えたいと悩む先輩など、色んな人がいて良かったです。
有馬を傷付けた変態や、有馬と母親、彼と父親のその後が気になったのですが、その辺が描かれていたらもっと良かったと思います。
因みに、キスのみで受け攻めは分からないです。
ピュアすぎて全く先に進まない2人がとても面白かったです!
個人的には有馬が攻め?と思いましたが、有馬が受けならトラウマをどう克服するのか?という問題があるので、その辺りの続編があれば読んで見たいなと思いました。
Posted by ブクログ
ものすごく感情を揺さぶられる作品。
どう書いてもネタバレになっちゃうけど
スーパーポジティブで猪突猛進なように見える大河も
心の中は幼い頃の思いに囚われてたり
女役のダンサーを自ら演じてるマリアこと有馬も
幼い頃のトラウマを抱えてもがいていたり。
それぞれの事情がものすごく重たくて苦しいけど
出会いは最悪(大河が暴走したからなのだが。笑)でも
お互いがお互いのヒーローになり
少しずつ惹かれていく物語。
伏線回収も見事で、ラストはかわいい終わり方
(特に描き下ろし)でほっこりするんだけど
なにせ事情がつらい。辛くて苦しい。
でもすごく辛くても2人が前向きにもがいてるのが救い。
あと大河父が…どうしようもないといえば
どうしようとないんだけど、
知ってしまうとなんとも…切なくて泣きそうになる。
女とか男とか同性同士とかそういうところではなくて
「有馬優」にときめいてる大河がかなりカッコ良くって
ヒーローの素質あるよ!大河!!
って肩を組みたくなった。
あと大河のお友達2人(テツくんと福丸くん)が
とてもよい味を出してるのもいい。
際どいRシーンはないけど…
特に有馬くんの事情に関してはかなり重いので
かわいいお話かなー?程度で読み始めると
ものすごく抉られるので注意が必要。
でも読んでよかった作品だった。
もうPEYO先生の生み出す作品が読めないのが
残念で仕方ない。
匿名
最後は付き合っているような描写があるものの恋愛というよりも友愛に近いものも感じました。途中無理矢理の場面があって少し辛かったですが、今後この2人は良い関係が築けそうで良かったです。
Posted by ブクログ
性への不安だったり周りからの視線っていうをBLっていうジャンルで描いてる作品かなと感じました
学園の皆から「マリア様」と言われている有馬の過去だったり好きな人は守る!と決めた大河の有馬に惚れた時のシーンは個人的に大好きです
レイプのシーンだったり過去の虐待に近いシーンがあるので苦手な人だったりフラッシュバックしてしまう方もいるかも知れません。そこら辺の注意書きというのは全くないので気をつけてください。