【感想・ネタバレ】東京格差 ──浮かぶ街・沈む街のレビュー

あらすじ

「どこに住んでいるか」によって感じられる住所格差。その前提にある「街選び」の条件――自治体の貧富・利便性・地盤等――は、単純に信じられてきた割に、街の未来を何も保証はしない。たとえば庶民の憧れであった「閑静な住宅街」は、住民が高齢化すれば、やがてそのまま消滅するだけだ。「住みやすい街」も税収が減る中、おんぶにだっこの住民ばかりではサービスの質を落とさざるを得なくなり、住む満足度は落ちていく。そうした中で、沈むことなく活性化していく街はどこか。住民自身がエリア・マネジメントに携わり、街の価値を創生する、新しい事例を多数紹介する。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

章の中でも何度も同じトピックが主張されるので、読者によってはわかってるよと思いそうだけど、知識が浅い自分にとっては前提の確認が丁寧でありがたかった。主張に対する事例も多く挙げられていて説得力がある。ただ、大体の事例に対して「とはいえ課題はまだある」「これからに期待」みたいな締めが多いと思った。

人的なメモ
・江戸時代の狭く密集した暮らしを嫌い、明治から昭和初期にかけて「閑静な住宅街」は人気が出たが、一方で郊外から時間と交通費をかけて通勤するスタイルは中間層以上の人にしか現実的ではなかった。

・昭和30年代以降、本格的に職住分離が始まる。単機能化された街である団地やニュータウンが大量に作られた。しかし1997年以降、日本人の平均年収は減り続け、共働き家庭が増加した。利便性に欠け、子連れには狭い間取りの団地には高齢化する親世代が取り残されていく。

・不動産はラクして儲かる、値上がりするというバブル世代の刷り込みによってサラリーマン大家が急増し、相続対策のアパートが多く建設されている。その結果、空き家あるいは将来の空き家が増える。

・女性誌は谷根千や清澄白河など、まだ発見されていないスポットを見つけるのが上手

・街選びの基準は
①職場に合わせる(職住近接)
②自分のやりたいことに合わせる(自己実現)

・「住みやすさ」ってなんだろう?
・ある街に引っ越してきてもらい、長く住んでもらうためにはどんな取り組みが必要なのか?

①団地再生
リノベーションなどによって高齢者以外の世代を引き込む。高齢者の就業先を提供する。それによって多世代交流を生み出す。

②「ひらいた」街づくり
物理的にも精神的にも開いた街が賑わう。テラス席や中が見える店など。大家やオーナー、不動産会社が地域の人に対して場所を開く試みが複数。

③ストロングタイよりウィークタイ
深く強い関係性というより、ゆるやかなネットワークの形成によって、アイデアを刺激するきっかけにする。

④住宅街に住む女性の就業/創業支援
通勤に時間がかかる千葉や埼玉の住宅街に住む女性は、高学歴の傾向があり優秀な人材になり得る可能性がある。自宅付近で仕事やリモートワークができる空間をつくることで、共働きを実現し、街に住み続けてもらう狙い。シェアオフィスなど。

⑤スペックよりも街への誇りや人間関係
各種手当がもらえるか、待機児童は何人くらいか……などの数値は、将来的に変動するため住人にとって「住みやすさ」の根拠になるとは言いきれない。街としても、より良い条件の街があれば引っ越される。街に住む理由として、その場所の歴史や誇りについてアピールしたり、交流のきっかけとなるコミュニティ作りに注力した方が、住みやすさにつながり、街の価値を高める。


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2025年09月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いくつか印象に残った個所。
・住職分離の無駄
 専業主婦がすくなくなり子供の世話するのに郊外ではなく、会社の近くがいいに決まってますね。
・魅力的にするには商店街に、チェーン店入れてはだめ。
そこで買わなくてもほかで買えるので価値がなくなる。
・住みやすい街にするには、住んでいる人自身も街に貢献する姿勢が大事。

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2019年06月15日

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