あらすじ
スタイリストとして成功する妻を横目に、育児に追われる主夫の浩介。家事も育児も手伝わないラジオDJの夫に、いらだちを募らせる恵。渇いた心を持て余す二人は、ある日、公園で知り合う。パートナーには言えぬ想いを抱えて都会を生きる二組の夫婦が直面する、男と女の虚実とは――? インモラルで赤裸々な家族小説。
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Posted by ブクログ
すみません、タレント本だと思って、ちょっとなめていました。けれども、おもしろかったです。
キャリア優先の美紅、その夫で大企業を辞めて育児に専念している浩介、育児のため仕事をしていないライターの恵、その夫でラジオのDJをしている英多が主な登場人物です。
恵の夫に対する殺意(といっても、脱いだ服をかごに入れないとかで芽生えるもの)や、浩介の育児ばかりの日々で気がめいってしまうところ、美紅のキャリア志向などなど、すごく共感できるところがたくさんあった。本当に、世の中男の人が家族を顧みずに仕事をしても褒められこそすれ非難されないのに、美紅のように女性が同じことをすると非難されるのは何故だろうと思った。
でも、あまりにも狭い範囲で、登場人物が絡み合っているところは、小説とはいえご都合主義的かなとも思いました。最後は意外にもハッピーエンドで、結局、結婚って打算なんだなぁと自分で納得してしまいました。
Posted by ブクログ
スタイリストとして活躍する妻・美紅を支えるために、育児に追われる浩介。仕事も辞め自分もカメラで成功しようと挑戦するが……。
美紅の生き方は憧れそのものだった。
華やかな仕事、刺激的な同僚、経済的な自立、若い男、環境の良い住まい、イケメンの夫とかわいい娘。
けれど、そこがとにかく腹立たしいのだ。女は自分にできなかったことをしてる女が憎いと言うけれど、それに近い感情を覚えた。
まぁ母性を欠落させて娘のことは全てまかせっきり、連日飲み歩いたり遊びまくったりしてるのは確かに限度ってもんがあるけど。
そんな浩介が公園で出会ったのは、ラジオDJの夫を持つ子育て中の主婦・恵。
浩介が妻に不満を抱えるのと同様に、恵も収入が少なく育児にも協力的でない夫に鬱憤が溜まっていた。
この流れだとこの二人は……?とソワソワしながら読んだのですが、まさかまさかの展開でした。そっちー?!という。
でもまっとうにきちんと生きている恵が、インモラルなそちら側に落ちていかなくてホッとした。
セレブママのれい、美紅と浩介、恵と英多、幸せなのはいったい誰なんだろう?
打算と妥協の結婚は、幸せなのだろうか?結局、夫婦は打算と妥協なのだろうか?
残念だけど、きっとそうなのだろう。心の空洞は、いろんなもので埋めることができる。地位やお金や、快楽で。愛なんて、貧者の妄想に過ぎない。一緒に嘘をついてくれる人が、私を富める女にしてくれるのだ。美紅の言葉そのまま。
だからこそラストのお花見のシーンの対比が鮮やかすぎた。深く考えさせられる。
答えが一度でても、結局何度だってまた問い返したくなるのだ。どっちが幸せなんだろう?、と。